音楽日報'03
輝け! イマケイレコード大賞2003    2003. 12. 28 (Sat.)

2003年が過去最大の貧乏暇なしイヤーだったゆえ、とんとCDを買えませんでしたが、そんな条件下の選りすぐりの作品を今年のうちに発表。ベスト盤しか聴かない社会人の気分?

■レコード大賞(欧州)
RETRO
(NEW ORDER)

■レコード大賞(国内)
NATIONAL P
(POLYSICS)

■最優秀新人レコード大賞
君繋ファイブエム (THE ASIAN KUNG-FU GENERATION)

■審査員特別功労賞(欧州)
DIRTY HITS (PRIMAL SCREAM)

■審査員特別功労賞(国内)
VERY BEST OF かせきさいだぁ≡ (かせきさいだぁ)

■買ってがっかりさせられたレコード大賞
該当作品なし

■買うのを我慢して(たぶん)正解だったレコード大賞(欧州)
Let It Be Naked (The Beatles)

■買うのを我慢して(たぶん)正解だったレコード大賞(国内)
カルキザーメンクリのハナ 漢字で書くのは面倒くさい (椎名林檎)

アイデン&ティティ    2003. 12. 22 (Mon.)

みうらじゅん画伯の不朽の名作を映画化。冒頭、バンドブーム期によく見た懐かしい顔ぶれが10人ほど、「バンドブームと俺」について矢継ぎ早に語ります。スイマーズの人とか。彼らが誰なのかおぼろげながらも全員わかってしまう俺的には「平成名物TVイカすバンド天国」に演奏ビデオテープを送ってしまった過去を持つだけに他人事では済まされないわけであります。送ったビデオは、当時のマネージャー佐藤やすしが、まだわずかにしか普及していなかったSVHS規格で録画したため、テレビに出ることは免れたのでした。

原作では、主人公の中島が京都出身の長髪ですが、主演男優「童貞ソーヤング」峯田くんに合わせたのか、おかんが東北語のあき竹城で、ヘアスタイルがアフロであること以外は概ね、原作のエピソードを現在に合わせて再構築。居酒屋での会話がやけに多いです。池田貴族を彷彿とさせる中島のライバル・岩本が戦略を語るクダリのみは居酒屋ではなく、お姉ちゃんがいるような店になってました。

作品のテーマについて(居酒屋で)語りはじめると、朝までかかるうえに一晩では足りないので今日はこれぐらいにしときますが、みうらじゅん原作田口トモロヲ監督宮藤官九郎脚本という顔ぶれから軽いノリで行ったらやられる青春内省映画なので、学生のときは学生気分で社会人になったら社会人気分な元ロッカーが観たらえらい目に遭います、ってゆーか遭いに行け。

National P(POLYSICS) 2003. 12. 19 (Fri.)

テクノポップ御三家を思い返して。P-MODELやヒカシューが3枚目か4枚目からガラリと作風を変えて傑作アルバムをモノにしてニューウェーヴのぬかるみへと入り込み、プラスチックスは3枚目がベスト盤で終了。

前作For Young Electric Popで転機チックな名曲を聴かせてくれたポリシックスの4枚目。予想に反して、見事に元に戻ったと言えましょう。一聴したところガッカリしたのでしたが、聴くほどにいいです。憎さ余って可愛さ百倍。
これまでギターが弾けてしまうがゆえに他のパートおざなり感がなきにしもあらずだったのですが、ほぼ全曲でベースかシンセのいい感じのフレーズまたは音またはアイデアまたは引用を聴かせてもらえて楽しませてもらえるのです。
歌詞は文字数多いものの内容は今まで以上にスカスカ。

それはともかく、クラフトワークだけではテクノポップはあり得なかったわけで、DEVOだけならひょっとしたらあったやもしれませんが、結局のところセックスピストルズ、つまりはパンクという感慨に至るのでした。

Dirty Hits(Primal Scream)    2003. 12. 12 (Fri.)

プライマルスクリームのベスト盤DVD付。
アメリカ黒人音楽の好きなイギリス人による楽曲に惹かれるわたくしですが、アメリカ黒人音楽といえどデトロイトなどの北部工業都市でラジオに乗りやすいようにオブラートに包まれた方がいいです。肥った黒人女声コーラスなどを含む深みにハマってる泥臭い系はディスコ期までのローリングストーンズぐらいでじゅうぶん。
そんなわけで、プライマルスクリームについても、ストーンズ期を脱した後のサイケ期以降現在のテクノ期までを評価します。が、ベスト盤として再編集されてしまうと、後半よりも前半のストーンズ臭漂うところの方が、ストーンズよりいいやん、という感慨とともによく聴こえてきました。

余談ながら、三十代半ばを過ぎてディスコをやってしまってグダグダしたけど、原点に戻って録音技術と健康志向で帳尻を合わせるマンネリ活動でとうとう爵位だか勲章だかを頂戴して晩節を汚してしまった偉大なる始祖ストーンズと比較することで、俄然プライマルの値打ちが上がったように感じています。

君繋ファイブエム(Asian Kung-fu Generation)
  
2003. 12. 9 (Tue.)

CCCDなので、CDだったら買ってたレコード大賞シングル部門にノミネートされてた「君という花」でしたが、収録LP「君繋ファイブエム」がCDだったのでめでたくノミネート取り下げ。
テレビで聴いただけではシークエンスサウンドとバンドサウンドの混じり具合とリードヴォーカルの佇まいがたいへんくるり的だと感じていました。
が、よく聴けばシークエンスサウンドはなく、キック四つ打ちと歯切れのいいギターカッティングなどでその風を醸し出していたのでした。
四つ打ちキックはシングル曲のみでしたが、オーヴァードライヴなギターにへなちょこディストーションをまぶしたようなプチ轟音サウンドに、婦女子にも多数くいついてもらえるメロディを乗せる様は、リードヴォーカルがfavoriteに上げるWEEZERのようでもあります。他に、ナンバーガールやイースタンユースもfavoriteに挙げるバンド志向の強さを感じさせるリードヴォーカルなのですが、その眼鏡とともに、音自体はやはりロックなときのくるりを想起せずにはいられません。
が、興味の赴くままに音像拡散して、傑作アルバムの次に名曲入り不可解作を出してしまうような心配には至らないのは、(若いがゆえに)まとまっているアルバムとなったからと言えるかもしれません。
LP全体を通してギターサウンドがあまり変わらないところに、若干の不安を禁じ得ませんが、望遠鏡を覗き込んだぁと唄うヒット曲以外に何も思い出せないなんとかチキンのような発展性のなさはないと感じました。

Glucklich IV   2003. 11. 20 (Thu.)

基本的に家で音楽を聴くときは2つのスピーカーと正三角形を作る位置で正座するぐらいの真剣さで向き合うゆえ、BGMにハタと困ることがしばしばあります。BGを目的にCDを買うほど裕福ではありませんし、古くはポールモーリアからジェットストリーム、そして細野流ワールドミュージックや昨今の女子十二なんとかなど、BGで売れてる楽曲はすべてわたくしにとってはイラつく音楽であります。

そんななか、わたくしの臨むBGにふさわしい楽曲をよく流してくださるのが、FM大阪World Music Paramなのですが、放送時間が30分しかありません。

あと、ここんとこの風呂敷残業の友がGlucklichIV 独逸の会社制作によるA Collection of Brazilian Flavors from the Past and the Presentという長すぎるサブタイトルの寄せ集め集。ちょっとでもサンバっぽいリズムが入ってたら参加資格アリというような選曲ですが、独逸制作のせいかどれも多かれ少なかれのテクノ色。でもウッドベースだったり。リズムが強化されたアシッドジャズ。
カフェ系Reluxな若造のセックスのBGMに使われてそうな小洒落具合が若干腹立たしいところを我慢して乗り越えれば何百回と聴けましょうぞ。

Imagine   2003. 11. 19 (Wed.)

想像してください。こんなLet It Be Nakedだったら買いたくなったはず。
1.Two of Us ハリソンとスターのハーモニーで
2.Dig a Pony ブレイク後「ビ・コォォズ」の一番いいとこで小野洋子の絶叫が
3.Across the Univers 鳥の鳴き声だらけ
4.I Me Mine サビのI me me mineがI my me mine
5.Dig It フルヴァージョン。5分
6.Let It Be アコギ3本とコンガで
7.Maggie Mae ロングヴァージョン。8分
8.I've Got a Feeling レノンのとことマッカートニーのとこと完全分離の2曲
9.One after 909 スペクターアレンジのオーケストラに女声コーラス100人つき
10.The Long and Winding Road カラオケにスターによる歌詞朗読
11.For You Blue スライドギターがクラプトン
12.Get Back オーディションに落選する

Bonus Disc(おまけ;後に発表される名曲が既に演奏されていたシリーズ)
1.Venus and Mars〜Rock Show メドレーで
2.How do you sleep? マッカートニー帰宅後録音
3.He's So Fine ハリスン弾き語りで
4.Imagine 3番の歌詞はまだ主義化していない
5.Band on the Run〜Jet メドレーで
6.God

Let It Be Naked(The Beatles) 2003. 11. 18 (Tue.)

そろそろCD発売の頃合なのですが、世界発売に先駆けて我が国で発売されたCCCDがレコード店で流れてるのを聞いた限りは、いくらビートルズといえどボツテイク集に金を払う気にはなれないぞ、という心境であります。

The Peter Saville Show 2003. 11. 9 (Sun.)

retro納期や予算に無頓着なジャケットデザインの巨匠、ピーター・サヴィルの展覧会がラフォーレ原宿ミュージアムにて開催中。9日まで。700円。

レコードジャケットとポスターに説明文だけだったらどうしようかと思いつつも、BGMがニューオーダーによるこの展覧会のための新作という情報を得たので行きました。

まずは、何故かグラナダテレビのトニーウィルソンの番組(イギーポップがゲスト)がビデオ上映。映画24houe Party Peopleにも一瞬出てきた場面などが、とくにサヴィル作品とは関係なく、拝見できます。
サヴィルは24houe Party Peopleにも3度ほど登場しますが、納期に間に合わなかったポスターを納める場面と納期に間に合わなかったチケットを納める場面と金かかりすぎるBlue Monday(New Order)のジャケットデザインを納める場面です。

展示は、単にジャケットだけでなく、版下とか色指定紙や、使ったポラ写真などがあり、職人心をじゅうぶんくすぐってくれます。Unknown Pleasures(Joy Division)の波形の元ネタとなった、バーナードサムナーが見つけてきたという百科事典や、Power,Corruption and Lies(New Order)邦題「権力の美学」の元ネタとなったポストカードなども展示されております。
DTPで作り始めるRepublic(New Order)あたり以降のは、やはりアップルマッキントッシュを利用した映像展示。

ところで、サヴィルをどう評価したものか、は難しい問題です。説明文では何度か「ポストモダンな引用から脱しようと」という記述が目に留まるのですが、イギリスの文化人ではない我々にはそんなことよりもやっつけ仕事と紙一重に見える作品群なのにこれほどの強度を持って惹きつけるのは何故なのか?ということであると思うわけです。
何か解明の糸口をつかまんと作品群を凝視した結果、明らかなやっつけ仕事は、楽曲は有名だけど目立たないところに展示されてたLast Cristmas(Wham!)のみだという結論に至りました。

地球ネコ  2003. 11. 7 (Fri.)

先月から「おかあさんといっしょ」にテクノポップの御大平沢進による「地球ネコ」という楽曲が流れています。途中からですが2度ほど見ました。
楽曲は十年程前のサイエンスの幽霊やヴァーチャルラビット以来の宇宙に現れた古代遺跡に帆船で旅する賢者と意志を持つ謎の動物という感じで相変わらずでした。
が、前の長髪ゴリライモのお兄さんではこうは歌えなかったはずで、お兄さんが変わっていてよかったと思いました。お姉さんのコーラスは可もなく不可もなくという感じでとても戸川純には及びますまい。

Pleasure!(DOMINO88)   2003. 10. 30 (Thu.)

演奏力も歌唱力も進歩せぬまま4枚目ぐらいの新作が4ヶ月ぐらい前に発売。いつの間にかラッパのお姉さんが1人減ってますがあまり影響はありません。
前作でよく聞こえたオルガンサウンドが後退したのは残念ですが、全曲歌詞が日本語。概ねドミノならではな軽い言語表現でよろしいです。
名曲が潜んでてもそうは感じさせない軽さ。音や言葉が多くても軽過ぎる突き抜け感目指してさらにがんばっていただきたいです。

2003楽器フェア   2003. 10. 25 (Sat.)

マーシャル毎度、カシオ計算機の出品のファミリー志向が強まり、我々を資産においても所得においても凌駕しておいて年金までちゃっかり受給しているお年寄りによる孫への甘やかし支出を支える構造に加担する姿勢に憤りを覚える楽器フェアですが、2年に1回毎度のぞいております。毎度、カシオ計算機のアンケートでは、サンプリングマイク機能つきカシオトーンとカシオホーンの復活希望を書いてますが叶いません。
相変わらずKORG社は敷居が高くてよくわかりません。一方、2回に1回激しく購買意欲を刺激されるRoland社ですが、今回はシンセ主体のようでとくにそそられる新製品はありませんでした。

基本的に触ってみたくなるものがあるのは上記の3社のみなのですが、ギターアンプのマーシャル社に珍しく長蛇の列ができていました。見ると、白人の爺がサインをしたり客と写真撮影などを行っていました。これがマーシャルアンプを開発したマーシャルその人なのでしょうか。
原音追究神話のあった時代から、そもそもの志向が違ったのか、できなくてあきらめたのかはわかりませんが、ロック野郎入ってる我々的にはギターアンプといえば歪んだりひずんだりしてくれるマーシャルに限ります。が、最近Orange社に鞍替えする人が多いような気がするのが気になります。
当日券1,000円。26日(日)まで今年はパシフィコ横浜で。

居酒屋ライブ   2003. 8. 11 (Mon.)

居酒屋ライブアコギ2本にアコーディオン、マンドリン。あと、パーカッションは小皿叩いて。

出演アーティスト:
旭荘201
カーブ
コール天
残像カフェ
フロッタージュ
いまわし部族 他

VERY BEST OF かせきさいだぁ≡  2003. 7. 31 (Thu.)

アルバム2枚とシングル3枚ぐらいで、次がベスト盤ですか? とはいえエッセイ集「僕がウンコを踏んだ日」をはさんで約5年ぶりのレコードリリースですから、幸いなことに新星堂のたまったポイントに約300円上乗せして購入。
慎み深いわたくしは、ミーハーな行為をできないのですが、たった二人しかいない握手してもらった有名人が来日1年目のランディ・バースとファーストアルバム発売直後のかせきさいだぁその人であります。
バースはその後三冠王になりましたが、かせきさいだぁはどう評価したものでしょう。

それはともかく、ベスト盤。やる気を感じさせないデザインで「宇宙の法則」も入ってませんから、これまたどう評価したものでしょう。新曲1曲とShout to the top! Shout!のシャウトがカッコいい(でも、まだ炬燵の中さ、なんてね)「冬へと走り出そう」の没バージョンが入ってます。このボツねたが俺的には大当たり。ワタナベイビーの薄っぺらいロックアレンジ。
宅録重ね録りだけど一発録りっ!みたいな安直と複雑が希薄と濃厚が入り混じったえもいわれぬ疾走感。炬燵でうたた寝しながら750ライダーになってアスピリン片手のジェットマシーンが二十歳を過ぎた自慰行為みたいな歌の世界にピタリなひねくれ方が凄いですぞ。定価で買っても値打ちある。(井筒口調で)

CCCD  2003. 7. 25 (Fri.)

自分のお金で初めて買ったレコードは?的な話題になると、それが小椋佳「彷徨」だったりするわけで穴があったら入りたくなるのですが、初めて買ったCDはとんと忘却してしまいました。
なので、初めて買ったコピィコントロールCDは、Hail to the Thief(Radiohead)だったということを記しておきたいと思います。
何を血迷ったのか。プログレはもう十分、パンクムーヴメントでピンクフロイドのポスターはがした俺たちだったのに。
でも、プレイヤーを壊したくないのでまだ聴いてません。

宇宙ダコ  2003. 7. 23 (Wed.)

宇宙ダコキコリレコード所属、宇宙ダコのレコ発ライブ。
先日のライブとほぼ同じ演目でしたが、1曲今回初めて聴かせていただいた楽曲はピートタウンシェンドがギターを弾いてるかのようなアクセントの効いたコードワークで、静かな楽曲の多いソロになってからの宇宙ダコの中で、とみにエキサイティングでありました。
当日発売のレコードは6曲入りカセット480円。ライブでは聴けないエレキギターやパーカッション、ハーモニー入りで楽しめます。

今回も前回以上に若干気合をいれて上画像を加工したのにはワケがあります。当日驚いたことに、以前ここでご紹介したときの画像がフライヤー(案内ちらし)に使われているではありませんか、無断で。
当サイトは著作権解放戦線に位置しますので、全然OKです。一応、トップページ最下段に「禁無断転載」のようなことを書いてますが、これは人が血反吐を吐きながら考案、作成したテキストや画像をあたかも自分で考えたかのようにして発表する田口ラのような所業を牽制するものです。
どうぞ、皆さん著作権法で言う引用の範囲を超えて使えるものは使ってください。滅多にないけど。

セレブ  2003. 6. 16 (Mon.)

その語源などはよくわからないし調べるのも面倒くさいしヤル気ないし話題にしたくもないのですが、馬鹿女マーケティングのキィワードとして標題の語を目にしたり耳にすることがあります。
とりあえず、この件は置いといて。

ここんとこご無沙汰ですが、中央線沿線でたびたび目撃したファンシィ系の女装親爺(身長およそ180センチの筋肉質)も生きてたら50代だと思いますが、その親爺とは別の女装爺(推定62歳)を目撃しました。

自宅最寄の駅ビルのレコード店。最初に目に入ったのは、靴とハイソックスとスカートの柄と生脚の質感とのギャップ。怪しいものを感じながら視線を上げると推定62歳の女装爺が試聴コーナーでCDを試聴していたのでした。
昔ジョンレノンやチェッカーズのギターの人がかぶっていた形の帽子の茶色いのに黄色いレンズの黒ぶち眼鏡を帽子の上にひっかけ、薄汚れてる感は否めないものの古着センスと言っても通用する茶系の薄いレインコートの裾から白地に淡い青と赤の模様の入ったスカートを覗かせていて、ここんとこご無沙汰のファンシィ系のエグい女装親爺より明らかにセンスは上と言わざるを得ません。
しかしながら、ファンデーションなどの化粧っ気がないにもかかわらず、唇からこぼれるほどに口紅だけを塗りたくる様は明らかに狂女のモチーフ。
そして、まったく音楽に合ってないだろうなと容易に想像できる音階とリズムで「ホー、ホー、ホー!」とそこそこ大きな声を出されていて、責任能力の無さを読み取ったわたくしは観察を中断してそそくさと店舗から抜け出したのでした。

で、その女装爺が試聴していたのが、そのものズバリなセレブと題したのとかの馬鹿女向け臭漂う3つほどの作品を試聴できるコーナーなのでした。

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24hour party people  2003. 6. 11 (Wed.)

13日(金)まで吉祥寺にてレイトショウ上映中。と、いうわけで2回目ですが観てきました。
わたくしがわざわざ劇場に2回も足を運んで観た映画は、東宝チャンピオンまつりで題名を変えて上映してたんで騙されて観た「怪獣総進撃」を除けば、「ヒポクラテスたち」と「さらば青春の光」の2本だけです。いずれも青春音楽映画。
「さらば青春の光」はThe WhoのQuadrophenia(邦題「四重人格」)を原作としますし、「ヒポクラテスたち」は古尾谷まさとがA Hard Day's Night(邦題「ビートルズがやって来る ヤァ! ヤァ! ヤァ!」)とPaint it Black(邦題「黒くぬれ!」)を口ずさんでいました。

それはともかく、2回観たことで見えてきたことが多々ありますが、特筆すべきは後半麻薬の売人にハシエンダの出入チェックをさせるあたり。入場を断られのがニューオーダーのドラムの人とシンセの人、つまりThe Other Twoのお二人のような。
徹頭徹尾ニューオーダーのドラムの人はそこはかとない笑われキャラとして登場しているがゆえに、ブルーマンディを歌うクダリでは登場していなかったのもむべなるかな、と言えましょう。

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極東最前線  2003. 6. 6 (Fri.)

インディーズでもないのにCDも持ってない人々の公演に行くのはいかがなものか、という気持ちもないではないですが、一度苗場で見たライブが結構印象的だったイースタンユースを赤坂ブリッツで。2,500円。

以前よりドラムの人もベースの人も髪を短く刈り込んでほぼ全員坊主。ドラムの人は昔の阪神のユニホーム姿。
カッコつけないカッコよさなオッサンたちであります。
相変わらず演奏は爆爆で音程度外視な絶叫が随所に。歌とギターの人は、昔のプロ野球のコーチなら絶対矯正するだろう肩肘に力入りすぎ、手首使わな過ぎ、なカッコ悪い演奏スタイルでカッコいいと思いました。

で、ほとんど歌詞は存じ上げないのですが、死にたくなるようなセンチメンタルや弱音や憂鬱や強がりをモッシュやダイヴに持ってくその力技は評価するに値すると思った次第でCDを購入したくなりました。

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HANSHIN Tigers Championship Pray CD "Victory"
Tribute To...HANSHIN Tigers   
2003. 5. 12 (Mon.)

もしひょっとしてムーアのラップがオマリーの六甲颪みたいなことになってれば、という期待をこめて標題のCDを購入したのですが、ムーアは無難にラップをまとめて、どこまでがプロの人でどこからがムーアなのかも、相当注意深く聴かないとわかりませんから、本業のピッチングはもとよりバッティングに加えラッパーとしてもあなどれません。
とはいえ、チャーと一緒にやってた石田、長生きと書いて長生(おさむ)と読むギターのおっさんによるプロデュース。ほとんどの楽曲が70年代メタルというかそういう重たいのかヒップホップ。極めつきはアイオブザタイガーをサンプリングしたヒップホップ、というポピュラーミュージックのなかではわたくしから最も遠い音が10曲中8曲。残り2曲は千秋がキャイーンとやってたようなポップと今風ドゥーアップ。
あと、もろ球団名とか以外にも六甲颪とか密林とか虎とかが歌詞におりこまれてはいますが、概ね他球団におきかえても通用するような代物に終わってしまっていて、阪神球団とその贔屓客が持つ如何ともし難い特質を照射することに成功している楽曲は少ないと言わざるを得ません。
そういうわけで10曲合わせても「密林の猛虎打線」(電気グルーヴ)1曲にも如かない結果になったと言えましょう。

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宇宙ダコ 2003. 5. 2 (Fri.)

宇宙ダコキコリレコード所属、大人のアシッドフォーク、宇宙ダコのソロ活動としては3回目のライブ。
フォーク系の人は楽譜(と言っても歌詞にコードつけただけ程度)を見ながら演奏できるのがうらやましいですな。

それはともかく、宇宙ダコと名乗る前の渚のゴダールズ時代から20年近い旧知の仲でありまして、友人知人のなかで最も哲学的な素養と生き様を感じさせるのがこの男。一時期、ザ・ダブルバインズという楽団でともにルースターズのコピィなどもしたことがあります。
連れ立って遊びに行くようなつきあいなどはしたことないのですが、調布市柴崎にある彼の家にて徹夜でフランクザッパを聴きながら、大学の「法社会学」講座試験の予想問題模範解答を作って販売などしました。出題予想問題は「マイケルポランニーにおける層の理論について述べよ」とか。

24hpp24Hour Party People
 
2003. 3. 30 (Sun.) 

おいそれと平日に映画館に行けなくなった身として、満員を恐れながら見に行きましたが、公開2週めの土曜朝一は客席の4割ぐらいの入り。

いけすかない薀蓄野郎でテレビ会社のレポーター・司会者でファクトリーレコードの創設者トニーウィルソンの一代記や?と思いきや、決してさにあらず。
マッドチェスタームーヴメントの騒動記およびそこに集う偏屈ミュージシャン、偏屈アーティストたちの青春群像のようでもあり、決してさにあらず。

トニーカーティスの葬式までの前半、鳩大量虐殺を含むハッピーマンデーズの描写中心にハシエンダ閉鎖までの後半と、大まか2章立てではありますが、物語としてまとまるのを拒否するかのように、エピソードの集積として描かれております。概ね1台の手持ちカメラによるドキュメントタッチで。
そんなわけで予備知識なしで見に行ったら、誰が何だかわからなくなりかねません。
とはいえ、節目節目にトニーウィルソンが客に向かって、薀蓄も交えつつ割と謙虚にあらすじやらを話してくれます。DVD化のことなども含めて。

映画を見た日の夜に、知り合いサラリーマンDJたちのクラブイベントに出かけたために2,3日後の筋肉痛必至であります。

花嫁は死神  2003. 3. 28 (Fri.)

ロッキングオンが広告の取れるインタビュー情報誌になってその存在価値だった批評性を完膚なきまでに喪失したころに、その増刊号という位置づけで発刊されたBUZZでしたが、1,2年ほど前から本体とほとんど同じていたらくになって電気グルーヴのメロン牧場 花嫁は死神を立ち読みするだけの存在となってましたところ、今号で休刊ということをつい先ほど知りました。立ち読みで。
で、電気グルーヴのメロン牧場 花嫁は死神の続きをどこでやるのか?問題が電気グルーヴのメロン牧場 花嫁は死神の話題になってました。
卓球が来月からSNOOZERです、と言ってましたが、これはネタで会社が違うので無理で、結局ロッキングオンジャパンになったようなのですが、あれは最近とんと見てませんが、重いから立ち読みするのもつらそうで嫌です。別に表紙が浜崎やケミとかでもいいですが。福山はまだ来てませんか?

RETRO(New Order)  2003. 2. 19 (Wed.)

CD4枚入りボックスセット。ハシエンダつながりの業界の友人たちに選曲させたまったく個性の異なる4枚の選集の選集。
1枚目。POP。ついこないだ出たばかりのベスト盤と8曲ほど重複するいわゆるベストな選曲。
2枚目。FAN。自動車で聴くときは必ず次の曲に飛ばすゆっくりで音が少ない静かな歌の連発。
3枚目。CLUB。リミックス集。World in Motionのサッカー選手によるラップんところが薄いトラックの上に乗ってるところが何とも。余談ながらこの歌を聴くと名古屋に1年遊びに来ていたリネカーを思い出していけません。
4枚目。LIVE。自分で作った歌なのにうまく歌えない。(俺様も)
が、90年以降の録音は歌が格段に上手なのでその他の演奏を注意深く聴くことができます。

メンバーの皆さんのインタビュー解説がついててドラムの人が言ってます。
僕はボックスセット好きなんだ。今年(のクリスマス)はあまり知られていないアーティストのボックスセットを買って、そして聴かずにおくだろう。そのバンドのメンバーやローディーたちのインタビューだけ読んで喜びに浸るんだ。

ところで、先日とリあえず作りましたなサイトとご報告した24HOUR PARTY PEOPLEのサイトがその日のうちにリニューアルしてちょっとマシになってました。制作協力デジハリ。タダ同然でそこそこのサイトを作ってもらうならここをおいて他にないでしょう。

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JON(犬) 2003. 2. 15 (Sat.)

jon弾き語りライブハウスに行ったら熊がオルガンを弾きながら歌を歌っていました。
熊にしては上手に弾いてはいますがどうしても指がケダモノゆえアバンギャルドになりがち。
が、3曲目はかなり西洋音楽の音調(ただし、マイナー)による演奏を器用にこなしてました。

てっきり熊だと思ってたのですが、本人が言うには犬だそうで。確かに、オルガンの陰で見えなかった鼻先を確認すると犬というか狼でありまして、ようやくこれが知る人ぞ知るジョン(犬)だったのかとわかった次第。
ジョン顔CDも出してます。
サイトを見て知ったのですが、岸野ゆういちヒゲの未亡人のダンサーをなさってたりするようです。
最後にブルース系シンガーソングライター・トムウェイツのカヴァー「川下り、男の世界」を披露してくださいました。

ところで、岸野ゆういちには、いまわし部族のライブ録音を1曲聴いてもらったことがあります。1985年か6年。「ヒカシューの1枚目みたいですね」という感想を頂戴したのでした。
ついでに、ヒカシューのサイトを久しぶりに見てみたりしたら大学のゼミの先輩らしいサックスの野本氏が脱退されたとか。理由はアルコール依存症の治療のため

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John Lennon Museum 2003. 1. 7 (Tue.)

レノンカーテン年頭に当たりレノンミュージアム再訪。入場料1,500円は割高感が否めませんが。

2フロアの1階部がミニシアターと生まれてからビートルズ時代アワ・ワールドでのオール・ユー・ニーズ・イズ・ラブ(邦題「愛こそはすべて」)までの展示。2階部がオノヨーコの作品とオノヨーコとの出会い以降。
そんなわけなので、マジカルぐらいから後のビートルズは2階部でひっそりと語られています。ゆえに、どうしてもビートルズ時代が世界を制覇したけど忙しくてレノンは疑問を抱き続けていたという論調になってしまっているのですわ。
レノン的にはそれでよいのかもしれませんが、ジョンレノンミュージアムというよりかは、ジョン&ヨーコミュージアムと名乗った方がいいのかもしれないと思わせる比重のかけ方に疑問を禁じえません。
ビートルズの過大評価へのレノン流の冷や水のかけ方であるビートルズの過小評価を踏襲していると言えるのかもしれません。また、結局オノヨーコは最後までビートルズおよびビートルズ以降のポピュラーミュージックをわかってなかったと推察されまして、70年代にあったビートルズファンからの直感的なオノヨーコに対する嫌悪も当たらずとも遠からず的を射ていたのやも、と。

1月31日までは「ジョン・レノン最期の遺留品」と題して死んだときにかけてた血塗られた眼鏡など展示中。

Bob Lennon(遠藤ケンヂ) 2002. 12. 27 (Fri.)

不滅の男エンケンと同じ名を持つ遠藤ケンヂが2000年血の大晦日を前に録音したオリジナル曲の音源が20世紀少年第11巻とともに発売されました。
作者がいないので権利関係など気になるところですが、あまりそういうところを感じさせないパッケージはいいと思いました。後に、じつは誰が作った!誰が歌った!などがその他のイベントなどとからめて大々的に発表されたりしないことを願わずにはいられません。遠藤カンナが毎日聴いてる歌なのですから。

20世紀少年については、語りたいことがヤマほどあるような気もしますが、まだ連載の佳境に入ったのかどうかさえもわからないし、1970年当時住んでた家からチャリで3分ほどのところの信用金庫に男がたてこもってる事件も気になるしで、以下のひとつだけにとどめておきます。
わたくしはケンヂ一派よりも若干若いので、すでに実写カラーのジャイアントロボを見てしまった後ゆえ、再放送モノクロアニメの鉄人28号には興味を持ちませんでした。以上。

Do They Know It Christmas 2002. 12. 25 (Wed.)

テレビ企画を元に著された渡辺健一著「46億年の100大ニュース」によると、キリスト教祖の生誕は春。にもかかわらず、キリスト教以前にローマ帝国で栄えていたペルシャ起源のミトラス教の祝祭日に合わせて25日未明生誕という歴史が捏造されました。
新しい文化が以前の習俗から剽窃するのは、古今東西の日常茶飯事といえましょうが、イマケイ読者の皆様には知っといていただきたいと思う次第です。

ところで、慈善事業を一概に否定はしませんが、バンドエイドでアフリカのどこかの地域への支援に際して、標題のように歌った時点でブームタウンラッツのゲルドフは終わったなと思ったのも27年ぐらい昔のことでしょうか。レコードは買いませんでした。
当時NHKで放映された制作ビデオでは、バナナラマがいたとかは覚えていますが、故ジョーストラマーはじめクラッシュの皆さんがいたのかいなかったのかまったく思い出せません。