音楽日報'04
輝け! イマケイレコード大賞2004    2004. 12. 31 (Fri.)

昨年以上に貧乏な本年だったゆえに購入したCDは極僅か。例によって、そんな条件下の選りすぐりの作品を今年のうちに発表。

■レコード大賞(欧州)
From the Double Gone Chapel
(Two Lone Swordsmen

■レコード大賞(国内)
アンテナ
(くるり)

■最優秀新人レコード大賞
ZAZEN BOYS (ZAZEN BOYS)

■審査員特別功労賞(欧州)
TOMMY(DELUX Edition) (The WHO)

■審査員特別功労賞(国内)
LIVE CRAZY (DOMINO88)

■買ってがっかりさせられたレコード大賞
該当作品なし

■買うのを我慢して(たぶん)正解だったレコード大賞
音楽ノススメ (HALCALI)

TIME(スガシカオ)   2004. 12. 28 (Tue.)

アコギ入り打ち込みファンクで、男の性の奥底の柔らかく痛くて甘酸っぱい金玉をそっとわしづかみする歌を歌うスガの最新作。
アルバム制作を重ねるごとに段々どうでもよくなってきて、とくに4作目2曲目の「性的敗北」より後がどうでもいい歌ばかり(金玉をわしづかみされない)だったんでどうでもよかったのですが、前のシングル「秘密」がちょっと面白かったのと、「こちら本池上署」挿入曲が名作「黄金の月」のセルフパクリで再注目。

ルックスではないと思うのですが、何故か楽曲や歌声が婦女子の感覚にものすごくヒットする傾向があるみたいなんで、毒にも薬にもならない歌を歌えばケミやゴスや堅みたいにバカ売れしかねないところがあり、ひょっとするとそれを狙ってどうでもよくなったのかもしれませんが、だいぶ帰ってきてくれたような気がしました。

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G.Lasts...tribute to GODZILLA 50th(BANK$ほか)
  
2004. 12. 16 (Thu.)

ゴジラ最新作に合わせて12組が各1曲ずつ持ち寄ったオムニバスアルバム。例の、ドシラ、ドシラ、ドシラソラシドシラの「対ゴジラマーチ」のテーマを中心に様々な楽曲。メタル系が多くて困り気味。
数回聴いても「ラドン追撃せよ」や「コング輸送作戦準備」や「宇宙大作戦マーチ」とその変奏「怪獣大戦争マーチ」などの伊福部マーチの真骨頂を見つけられませんでしたから、あまりいい人選ではなかったと言えましょう。井上誠在籍時のヒカシューがいてくれれば。4曲目に登場のステレオラブがかなりそれっぽいですが。

何故、そんなCDを購入してしまったのか。試聴したときに、小宮山雄飛のBANK$による楽曲(HALCALI入り)がたいへんよかったからであります。ゴジラ第1作の名台詞を随所に織り交ぜながら、モスラの歌もハルカリもビートルズもホフディランもあり、で。この1曲だけで定価2,800円の半分ぐらいの値打ちはありと言えましょうぞ。後の半分をケミカルブラザーズに期待したのですが、どうやらケミカルブラザーズの二軍による作品の様相。
とはいえ、メタル系の3曲とエンディングを飾るキースエマーソンのいかにもなアクション映画音楽を飛ばして聴けばそんなに悪くはないです。

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ソルファ(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
  
2004. 11. 10 (Wed.)

昨年のイマケイレコード大賞最優秀新人賞(国内)を受賞なさったアジカンの2作目。CS音楽専門チャンネルでよく聴いた楽曲がどれなのか見分けがつかないほどのヒット曲連発ぶり。とは言え、「全身全霊をくれよ」とか時折カラオケでは歌えんフレーズが散見されたり、せっかく縦組みで作った歌詞集なのにどこにもタイトル「ソルファ」が印字されてないとか気になるところがなくはないです。
あと、この1年見てきてヴォーカルの人以外が近所の学生アパートの住人と見分けがつかないほどパっとしないというところを打破するのが彼らの課題のような気がしてなりません。ベースは長髪か坊主、ギターは意味無くパンク、そして無論ドラムは太る、などのバンド内せめぎあいがおもにヴォーカルの人の作る楽曲をさらに深める気がしてなりません。
作品に戻るならば、ヒット曲揃いにもかかわらず、も一つぐっと来ないのは、期待が高かったことにもよりますが、1作目にあった「君という花」的名曲の不在あるいは散在。

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STUDIO150(PaulWeller)  2004. 10. 30 (Sat.)

どんなことになってもウェラーとムーンライダーズの作品は購入することになってしまっているわたくしですが、ウェラー最新作はあろうことかカヴァー集。期待はしませんが、かつてジャムでやった(Love Is Like a)Heat Waveみたいな熱いのが2曲か3曲か4曲でもあればと願いをこめて購入してかれこれひと月は経とうというところでようやく感想文を書く気になったのは、するめみたいな味わいの作品だからか。
スタイルカウンシルでやる前の、ジャムの没テイク集に入ってる方のMove On Upみたいなほどよい気合のヌケ具合が軽快なノーザンソウルの歌からのスタート。その後2曲ぐらいはさすがにパンクムーヴメントで出てきたところを垣間見せてくれますが、ほかは概ね英国大金持ち余裕のカントリーライフサウンド。

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LIVE CRAZY(DOMINO88)   2004. 9. 26 (Sun.)

前作のジャケットデザイン担当浦沢直樹画伯に君たち一発録りがいいんじゃないと指摘されたドミノ88の新作ライブ盤。いみじくも浦沢画伯予言的中の過去最高傑作。さらに今ならタオルつきで1,500円+税の超お買い得価格。
しゃべりも収録されててこれが長いですが、じゅうぶん笑えるし、3回目ぐらいからはしゃべりトラックを飛ばして聴いてもいいでしょう。
あと、ドミノを聞く度気になる英語詞ですが、イングランド中流階級やアメリカ東部WASPの英語だけが英語ではないということも感じいることができます。

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リブフォーエバー   2004. 9. 3 (Fri.)

ブリットポップとその時代をギャラガー兄弟などのインタビューなどで総括せんとするドキュメンタリー映画
11年ぐらいのサッチャーとそのあとの眼鏡の保守党構造改革、ストーンローゼズはあっという間に終わってグランジの時代。何もかもがアメリカ化するイギリスの90年代、クールブリタニアの掛け声とともに、ブレアとともに突然勃興した英国大衆文化の復興の中のブリットポップという位置づけが見えてきます。
オアシスVSブラーCD同日発売事件のピークを経て、オアシスの3枚目ですべてが終わるまで。3枚目発売数日後にダイアナが死んだ件は、我々的には蛇足ですが。

要所要所にオアシスのコピーバンドのギャラガー兄弟役の二人が出てくるところが何ともシニカルでいい味わい。さらに、ギャラガー兄が王様が座るみたいな椅子に座ってるなどの一部の例外をのぞき、ほとんどの登場人物が貧相なところでインタビューに答えていて、時折はさまれる主要登場人物の出身地のいかにもな枯れた英国風景とあいまって何ともいえない寂寥。
すっかり大人になったブラーのアルバーンは本物だったのか、いまでも確信がもてません。ギャラガー弟の出番が少ないのは、発言な内容から推してしかるべし。

あと、わたくしは存じ上げなかったのですが、スリーパーというバンドのウェナーというお姉さん。この方が無茶苦茶イケてます。ギャラガー兄がブレアに招かれて首相官邸で握手した件を挙げ、あの時点で去勢された、玉を切られたのよ。などと至極もっともな意見を可愛い顔のまま連発。

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ピンク・フロイド・バレエ   2004. 8. 21 (Sat.)

春の公演の模様を今頃衛星第二で。バレエといえば、男性ダンサーの股間もっこりとホモテイスト溢れるナルっぷりぐらいしか見所を知りませんが。
バレエがなんぼのもんじゃい?ていうか浪漫主義終了後は必然的にプレモダンに向かわざるを得なく、かつエスニックもストリートも見出せないバレエ舞踏を、あまりに近代的な世界との違和感を歌うピンク・フロイドでやる、という無節操感ふんぷん。単にエコーズみたいな使いやすい楽曲があるからとしか思えません。
やはり、途中で1回やったエコーズがまた終幕で出てきて、結局のところAtom Heart Mother(原子心母)な原始的なものしか表現できないものとしか思えないわけであります。
さらに、最悪なことはアンコールのOne of These Days(邦題:吹けよ風、呼べよ嵐)。「ヤー」とか「ソイヤ」の掛け声がない代わりにバレエ的なクルっとしたつま先回転があるという以外は、ほぼ地方都市を席巻するよさこい風ダンスパフォーマンス。ピンク・フロイドを介して欧州由来スノッブハイカルチャーと土着ヤンキーがつながるというアイロニー。

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TOMMY(TheWho)DELUX Edition  2004. 8. 2 (Mon.)

画期的名作なのに諸般の事情であまり聴かないレコードとしてビートルズのサージェントペパーズロンリーハーツクラブバンドやセックスピストルズのネバーマインド(邦題;勝手にしやがれ)などがありますが、それらと同様なトミーのデラックスエディション。先日の来日公演で本作収録曲Amazing Journy(邦題;すてきな旅行)が印象的だったこともあり、またレコードコレクターズ増刊「ザ・フー・アルティミット・ガイド」でも評判がよかったので購入。
デジタルリマスタリングかなんかわかりませんが、格段に音が太くなりました。今でも通用する音にようやくなったと言え、アナログ盤を聴いたとき以来のはたしてこれが名作か?な疑問を数十年の歳月と技術の進歩でついに払拭。
さらに、LP2枚組のアナログ盤では途中3回、これまでの2枚組CDでは途中1回の中断がありレコードを裏返すなどの面倒な作業を要求されましたが、一気に全編を聴けてしまえます。2枚目のおまけCDには没テイクやデモテイクに加えキースムーンの馬鹿笑いなども収録。オルガンベタ張りでテンポが速いWe're Not Gonna Take It(邦題;俺たちはしないよ)の軽快な没テイクのように本作よりもいいのもあったり。ただ、おしむらくは歌詞を印刷したのが入ってませんから、古いのを引っ張り出さないとどこが誰のセリフかわかりません。

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オレのロックと違う!  2004. 7. 30 (Fri.)

最初聞いたときは、ありがちな話だけに都市伝説かと思った横浜ロックオデッセイ火災報知器押しまくり業務妨害事件。産経新聞の特ダネで容疑者実名報道ですから、どうやら作り話に尾ひれがついたものではありますまい。
報道(=警察発表)によりますと、容疑者の方は以下のように供述されたようであります。

ロック歌手の稲葉浩志さんのステージをきっかけに、自分の考えていたロックと違うという腹立ちが爆発した。

まずもっておかしいのは「ロック歌手」という表現。誰が使いましょう? ましてやいなばで立腹して火災報知器押しまくるようなロック野郎が。
「ベンチがアホやから野球がでけへん」で広く知れわたったように、新聞報道は多くの読者に事の次第を伝えるために、言葉をたしたり、かいつまんだりします。そのため、まったく本質が伝わらないこともしばしば。

事件の本質が何か?はさておき、よく目にしますが誰も聞いたことのない言葉の代表選手に「本塁打」があります。報道における言文不一致のホームラン王。誰が「ホームラン」と言っても、新聞に載るときは「本塁打」になってしまいます。限られた紙面で2字節約。
書き手も読者も「本塁打」を目にするたびに「ホームラン」という心のルビ(読みがな)をふっているわけです。

そんなわけで、話は戻ってロックオデッセイ。来場客の多くは、出演者リストのいなばさんのところに「ながいきゅうけい」と心のルビをふり、事実そのように行動したわけです。そのような一種のメディアリテラシィがこの容疑者にはなかった、というケーススタディと結論づけられるのかもしれません。
来場客以外の皆さんには「しゅうきゃく」や「どういん」というルビをふられた方も大勢いらっしゃるでしょうし、「ふじけいれつのゆうりょうちゃんねるへのかにゅうぷろもーしょん」というひねったのを思いつかれた方もおいででしょう。
余談ながら、先の国松長官狙撃犯逮捕は「きたのきょうわこくにそうさのてをのばしません」だったという説が有力になっているようです。

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ポカリスウェットブルーウェーブ
ザ・ロックオデッセイ2004 (横浜国際競技場)
  
2004. 7. 28 (Thu.)

ガラガラのなかラブサイケ登場24日午前11時、客席はパリーグ状態のままラブサイケデリコ登場。パリーグ状態にもかかわらず健気に演奏されて好感がもてます。あいかわらず曲間の英語コメントが馬鹿っぽくていいです。誰でも知ってそうな英語しか使いません。が、音悪すぎ。何かが壊れているとしか思えないような演奏で、ライクアローリングストーンなど。
続いてエアロとレッチリの悪いとこどりしたみたいな外人。やたらファックと言うので、場外で休憩。
続いて、意外に可愛いミッシェル・ブランチ。後半、静かな歌が多かったので、うとうといい気持ちになりかけたのですが、後ろのビーズの客のおしゃべりがうるさいので眠れず立腹。
続いて、ウェラー。ドラムはおなじみホワイト兄。ビーズの客をおしのけダンスフロアと化す通路に出てようやく、まともな音を聴くことができました。指定席は2階スタンドが屋根になっていたせいで、かなり音がヘンな伝わり方をしていたのだと、空間力学的に納得。
上機嫌のウェラー終了で長時間休憩。スタンド外側通路の喫煙所で過ごしていたのですが、おっさん度高し。全員TheWhoに備えて体力の回復に努めておられる様相でありました。
地味めなお姉ちゃんがぞろぞろスタンド外に出てきて休憩終了。TheWhoが登場。ドラムはスターキー息子。もちろん、指定席は捨てて拝聴。ようやくロックフェスティバルらしくなってきましたが、TheWhoの余韻が薄まる方がもったいない気がしたのでエアロスミスは聴かずに退散。

ともかく、TheWho来日の1点のみ(あるいは+ウェラー)でロックフェスティバルとして成立どころか伝説となった当企画ですが、このブッキングに全席指定では余程のことをしてくれないことには、他のロックフェスティバルと違って、また行こうという気にはならないでしょう。余程のこととして、PrimalScream−NewOrder−StoneRosesをそろえて、トリが電気グルーヴというのはいかがでしょう?

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TheWho日本公演(横浜国際競技場)
  
2004. 7. 27 (Wed.)

モンタレー、ワイト島、ウッドストックと歴史的ロックフェスティバルで伝説を作ってきたTheWhoですが、我が国で伝説を作るためには40年の歳月を要したと言えるのかもしれません。

マッカートニーが主催したカンボジア難民救済コンサート(79年末)のものすごいライブパフォーマンスをNHKで見たときも驚きましたが、すでにドラムのキースムーンを寝ゲロでなくして、レコード的には失速状態でありました。その後、ストーンズみたいなクソったれな大御所として、解散コンサートを2年くらいかけて世界中回ったのにもかかわらず、日本には来なかった82年頃。
ところが、いつの間にやらまた集まってコンサートツアーを重ねても日本には来ないうちに、ベースのエンストウィッスルは急死で、タウンゼンドは児童ポルノサイトクレジットカード決済リストに載って逮捕。

来日公演までそれが突然ふってわいたように、ヘンなロックフェスティバルで初来日。
歳とる前に死にたいような多感な青春時代をアルバムQuadrophenia(邦題:四重人格)があったおかげで生きながらえることができた俺的には、この目で見ないわけにはいかなかったのであります。

ウェラーのあと、長い休憩時間を経てTheWho登場。開演曲は、たぶんそんな気がしてたCan'tExplain。タウンゼンドは五十肩とかお構いなしな腕回し連発、ぐるんぐるん。さすがに往年のジャンプは滅多に見られない、たまに出ても数センチ。ダルトリーのマイク回しは控えめでしたが、おそらくグラサンのせい。日没後はグラサンはずしてぐるんぐるん。
腐ったような大御所といえどさすがにTheWho、途中、1曲よく知らない新曲をはさんだり、アンコールではPinBallWizard(邦題;ピンボールの魔術師)のあとにAmazingJorney(邦題;すてきな旅行)が出てきたりとただではすましません。
1部の終了、Won'tGetFooledAgain(邦題;無法の世界)の最後の方で、フィードバックのために上げたアンプのゲインを演奏終了後に自分で落とすタウンゼンドに笑かされましたが、アンコール曲の最後SeeMe,FeelMe終了後はギター破壊パフォーマンスで感動の大団円。歳とる前に死ななくてよかった。

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PaulWeller日本公演(横浜国際競技場)
  
2004. 7. 26 (Mon.)

クソったれ大御所みたいな昔のヒット曲だけのライブパフォーマンスを潔しとしないのが、ウェラーのウェラーたる所以の一つでもあるのですが、3曲目でMy Ever Changing Moodsを10年ぶりぐいらで聴かせてもらえたかと思うと、TheJamの3枚目All Mod Cons所収In the Crowdをやっちゃうなど、TheWhoの前座に徹するかのようなはじけっぷり。他にTheJamの名作からは、That's EntertainmentにTown Called Malice。StyleCouncilの名作からは、The Man of Great Promise、Long Hot Summer。
せっかくだからShout to the Topもやってくれたら、おしゃべりがうるさいビーズの客を黙らせられたのに、それには及びませんでした。
いつも公演中に一服するタバコもこの日は二服。洋酒をちびりちびりやられて、最後の歌Out of the Sinkingを真っ赤な顔で熱唱されて終了。

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安心しろ、秘孔ははずしてある  2004. 6. 4 (Fri.)

くるり、ワンマンライブツアー2004、於ZEPP TOKYO。
営団地下鉄のマークの入ったTシャツで登場のリードボーカル岸田の声が、何の因果か出ません。日本全国の小さなライブハウスを回って、一週間の中休みをおいての大ホール2日目という条件の為せる罠か。最初、みうらじゅんが歌っているのかと思いました。
前半のトークのコーナーでは、髭剃りを忘れてヒゲが伸びてるがチン毛は擦り切れてるのか、短くなってるという下ネタ。声もみうらじゅんで。
そんなわけで、名曲「ばらの花」でも客席が静まり返ったりしてました。ボーカルの低調や客席の影響は受けそうにない新ドラムのクリストファーのおかげで、伴奏はしっかりしつつも新作「アンテナ」で切り開いた新たな境地には至らず。テクノ色豊かな名曲「ワンダーフォーゲル」がロックなアレンジになったところは、そこだけ客席も大盛り上がり。
後半のトークでは、東京メトロがE電並にすたれてくれろ、という話題で、岸田がその人であるということをようやく認識できた次第。
本当ならば、アンコール前の「How to Go」から「ロックンロール」でたいへんなことになったはずだったのでしょうが、見事に秘孔ははずしてくれました。
岸田が物販のオリジナルTシャツに着替えて出てきたアンコールで、客席からいいタイミングで「青い空」のリクエストが入り、リクエストにこたえてくれたのですが、高音ボーカルの激しい楽曲。どうなることかとハラハラしましたが、もうイースタンユース状態。
滅多に見られないものを観賞させてもらえたと言えましょう。

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From the Double Gone Chapel
(Two Lone Swordsmen)
  2004. 6. 3 (Thu.)

プライマルスクリームのプロデュースでおなじみのDJ、ウェザオールの気紛れユニットの最新作。慣れない生楽器を使いまくって、ニューウェーヴ期サウンドなへたうまグルーヴの創出に成功。難解化するオルタナにテクノからの一喝。中盤、とくに歌入りの楽曲が少し眠たいですが、滅多に歌わない人が40歳になって歌ったわけですから、おまけしとかなあきません。脱力女声ヴォーカルとダブ増量を祈念してやみません。
ところで、本作購入の契機はTVブロスのレコード評。自分の好きなところにハマりそうな用語が散りばめられていたからでありましたし、雑誌自体にレコード会社の広告が滅多にないからゆえ信頼するに値するわけであります。

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RADIO HEAD Japan Tour(幕張メッセ)  2004. 4. 21 (Wed.)

わたくしが所有するCCCDはたったの1枚なのですが、その1枚がレディオヘッドの最新作。
バンド名のレディオヘッドについて。英語に近いカタカナ表記だとレイディオゥヘッドですし、すっかりなじんでるラジオヘッドでもいいのに、中途半端なレディオヘッドという表記はいかがなものかと常日頃思っていますが、メンバーの皆さんや作品にはまったく関係がありません。
余談ついでに、すっかりなじんでるチャンネルという外来語がありますが、英語を話す人々の間ではたいていチャンルなのにチャネルという中途半端な言い方をする日本人とくに「販売チャネル」とか言うマーケティング系の方々はまったくかたはら痛いです。

それはさておき、標記の日本公演の2日目を拝聴してきたのですが、これまで見てきたイギリス人バンドの皆さんとの決定的な違いは歌と歌の間。ものすごい勢いで次の楽曲用の楽器交換を素早くして、たいがいメンバーの誰かが楽器を持ち換えるのにもかかわらず、あまり間を作らずにヒット曲を矢継ぎ早に演奏されて感心しました。ローリングストーンズかマッカートニー並の大物級ライブパフォーマンス。
また、巨大コンサート会場に欠かせないスクリーンが秀逸。一般的に巨大スクリーンといえば横長またはほぼ正方形ですが、なんとタテ長。そもそも人はたいていタテ長ですから、まったく理にかなっています。
が、しかし。演奏者が少しでも動くと画面から切れてしまい、カメラが追うがなかなか演奏者がフレームに入ってこない、という事態もしばしば。そっちが気になって演奏を聴くのがうわの空という時間帯もままあったとご報告しておかなければなりません。

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アンテナ(くるり)   2004. 3. 10 (Wed.)

いきなりストリングスの入った歌で嫌な予感にとらわれましたが、一瞬の杞憂。あまり魂の感じられないストリングスアレンジでミソのついた1曲目を除いて、全編音符の1個1個に魂こめた研ぎ澄まし過多なほどの音の塊の嵐。
とはいえ、前作The World Is Mineでハマった音楽の泥沼には陥らず。8ビートが染み付いたみたいな新しいドラムのヘンな外人もよいですが、ベース佐藤の大躍進も聴き逃せません。
買ったその日に3回聴けるLPはそうありますまい。

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フロッタージュ   2004. 3. 2 (Tue.)

フロッタージュとイノッチ☆ブロマイド活動第一期終結ライブ。下北沢BASEMENT BARにて2,300円でワンドリンク&アメリカンドッグ1本付。
以前、演奏をしないパフォーマーがいるテクノポップ楽団としてご紹介しましたが、当夜は演奏している人2人に対し、パフォーマンスの人が5人。冒頭のツカミだけに出てきた人も含めると6人!
最後の歌では演奏の2人も演奏せずに、ガンプラの組み立て。全員が各1個を完成させた後、激しく破壊してから、最後の曲「後片付け」で大団円。
予約特典で頂戴した演奏しない人のブロマイドにサインを頂戴してきました。

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ZAZEN BOYS(ZAZEN BOYS)    2004. 2. 6 (Fri.)

ナンバーガール解散後、無戒秀徳と名乗ってアコギ一本とかでやり始めた頃は向井秀徳も遠い世界に行ってしまうのかと過ぎ行く赤い夏を惜しんだりもしましたが、ドラムス・アヒトイナザワらと四人組バンドを結成しての第一弾発表。

NUM-HEAVYMETALLIC以来の冷凍都市の繰り返される諸行無常、冷凍都市でさめきってる俺がロックミュージックを動脈注射して酩酊してはよみがえる性的衝動。そんな数々の歌を唄っては語り、語っては唄ってときにシャウト。気合を入れる発声、はっ、うっ、やっ、ふっ。ロックなリフとかを排除したロックでなければ何でもよかったニューウェーヴ期以来の音で奏でられ続けられるものの、80年代にはあり得なかった佐賀アクセントが内省に向かうリスナーをして現在に引き戻してくれるのでした。だから、いくら聴いても、日常口ずさんだりできず、さらなる修行を要求されます。
ダブ方面強化希望。