音楽日報'05
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輝け! イマケイレコード大賞2005  2005. 12. 27 (Tue.)

毎年この時期になると誠に僭越ながら1年間のうちに発表されて、かつ購入したCDのなかからぐっときた作品にレコード大賞を贈呈してきたのですが、こういう僭越なことをしていると非業の死を遂げるのではなかろうか、とちょっと不安になったりする昨今。しかしながら、今まで通りリベートやキックバックの要求とは無縁の当サイトですから、非業の死とも無縁のはず!と思い込みつつ、レコード大賞を発表することを決意いたしました。
が、正直今年はぐっときた新作CDがなかったので、30年近い長い付き合いや同郷のよしみで下駄を履かせての大賞授与だということを前置きしておきます。

■レコード大賞(欧州)
As Is Now
(Paul Weller)

■レコード大賞(国内)
NIKKI
(くるり:2年連続受賞

■最優秀新人レコード大賞
該当作品なし

■審査員特別功労賞(欧州)
Return the Gift (Gang of Four)
Singles (New Order)

■審査員特別功労賞(国内)
Amateur Academy 20th anniversary edition
 (Moonriders)


■買ってがっかりさせられたレコード大賞
電気グルーヴとかスチャダラパー(電気グルーヴ×スチャダラパー)
Now is the Time! (POLYSICS)

■買うのを我慢して(たぶん)正解だったレコード大賞
You Could Have It So Much Better (Franz Ferdinand)

NIKKI DVD QURULI VIDEO CLIPS 2005(くるり)
  
2005. 12. 10 (Sat.)

くるりのNIKKIの高い方の初回限定版は、ビデオクリップ集DVDつきで3,500円。
「Superstar」は苗場の芝生、モッズスーツでべスパに乗って集合する「Baby I Love You」はスタイルカウンシルのSolid Bond in Your Heart、登場人物が持ってるカバンと楽団メンバーが街のポスターで出てくるだけというところで「Birthday」はニューオーダーの1963を想起、という具合にCDだけでなくビデオでも我々中途半端な親爺のハートをがっちりキャッチする本歌取りの数々。
そんななか京浜急行タイアップ曲「赤い電車」は異色作。花月園前より南は乗ったことがないので詳しくはわかりませんが、横須賀の方から品川の方まで延々の車載カメラで電車好きはまったく目が離せません。2回、レンズを拭く岸田が登場するところと車庫の車止めまで見られるレア映像が見所ですが、道中の早回しが早過ぎで花月園前をいつ通過したのかまったくわかりませんし、青物横丁らへんの住宅の間の狭いところをカーブしながら通過してスピード感を味あえるところも一瞬のできごとになってしまっているのが少し残念。

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NIKKI(くるり)   2005. 12. 9 (Fri.)

うるさいドラムが抜けたあとのくるりの最新作。前作アンテナで音楽の泥沼一歩手前の傑作をモノにされたのとは打って変わって、うるさいドラムが抜けたせいか老若男女が一堂に会して楽しめる楽曲中心。くるりという孤高の存在にある楽団がやることか?な作品も多少紛れ込んでいるところで評価は微妙。
ただしその分、あちらこちらにフー、ビートルズ、キンクス、ビーチボーイズらが登場。
わりとだいたい終わりの歌みたいな楽曲で始まることの多いくるりのLPですが、本作においてはチャーリーワッツがドラム3点セット四つ打ちではじめたところに若きロンウッドのギターとビルワイマンの中音に続いてヤク中から抜け出したころのキースリチャーズのギターがからむかのような作りでオープニング。イントロで持ってっといて、途中のオルガンソロの間に伴奏がフーのサマータイムブルースになり、ロンウッドがいつの間にやらピートタウンシェンドに交代しているというからくり。
Long Tall Sallyという楽曲では、「女の子には理解不能」と歌われたあとの間奏の陰にフーのトミーが奏でられています。
とは言え、本作レコーディング時期の岸田日記の「今日の1曲」にフーの楽曲が多数登場したこともあって、フーに興味を持ち始めてくれた若いお姉ちゃんも実際いるわけで、この調子でがんばってもらいたい気もしますがそんなところにとどまるはずがないのもくるりなわけであります。

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赤い電車(くるり)  2005. 12. 2 (Fri.)

夕暮れ前の東向日駅梅田方面行きのホーム。競輪開催日にもかかわらずこの閑散阪急京都線に乗るときは「チアノーゼ」、京阪電車は「街」、嵐電なら「花の水鉄砲」と電車に乗るときのイメージソングならくるりをおいて他にない昨今ですが、京浜急行タイアップ曲「赤い電車」シングルを買うか買うまいか思案してるうちにアルバムNIKKIで拝聴。

路線のほとんどが神奈川県内にもかかわらずでっかい東京〜と歌われる部分が、阪神電車にたとえるなら大阪ばかり歌って神戸にも兵庫県にも触れてないわけで気にならなくはないのですが、首都圏私鉄のなかでは特筆すべきスピード感の逆をいく腑抜けシークエンスサウンドが気持ちいいので来年の花月園オールスターまでに購入しておきたい気がします。

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マロンズの激情(男のマロンズ)  2005. 11. 29 (Tue.)

男のマロンズat聖跡LooseVoxキコリレコード所属男のマロンズのレコ発ライブ(高円寺円盤)でデビューカセット購入。480円で初回特典コンペイトウウミウシのシール付き。
成毛滋や竹田和夫が出てくるオープニング曲「グレコギター」で中学生スピリットあふれる中年ぶりをいかんなく発揮。A面3曲目「ダーティーワーク?モンキービジねす。」とともにキャッチィなナンバーで同じ中年でもニューウェーヴなわたくしたちのハートもゲットしつつ、長い長いA面のテープあまり時間をはさんで「マロンズのテーマ パート1」と「マロンズのテーマ パート2」を聴かせるというフランクザッパ好きならではな変態性を聴かせつけられます。

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Now is the time! (POLYSICS)  2005. 11. 26 (Sat.)

ロック馬鹿系の人々にはテクノと呼ばれ、ばりテクノの人からはロックと目される音を好みがちなわたくしですが、さらに80年テクノポップという一つの原点を共有するということで若いのに評価せずにいられないのがポリシックス。
前々作For Young Electric Popでクラフトワーク寄りの新境地に踏み出されたかに見えたものの、前作National P!でDEVO寄りの元に戻ったあとの最新作。前作以上に馬鹿ガッコイイを追求かのようなロック音方面に進まれていて、新境地方面期待のわたくしとしてはややがっかり。

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NewOrder Story  2005. 11. 17 (Thu.)

ニューオーダーのビデオクリップ集にはもう1枚DVDがついてて138分のドキュメンタリー。長すぎるオープニングとエンディングのナレーションともう1枚のDVDと重複するプロモビデオが話の節々に10曲ほど入ってて正味の時間は80分ほど。
概ねテレビ番組とインタビューで構成。インタビューはマネージャーのロブグレットンやトニーウィルソンなど映画24hour Party Peopleの主要登場人物に納期や費用に無頓着なジャケットデザインの巨匠ピーターサヴィルなどが登場。メンバーの皆さんとトニーウィルソンとの微妙な関係が垣間見られます。
また、本物のロブグレットンがしゃべってるところを見たところ、口調や癖までとらえているという点で24hour Party Peopleでのソックリさん大賞はロブグレットン役の人に決定。
モントレージャズフェスティバル出演時の映像が2曲分入っていて、Everyone Everywhereでのギルバートのギターが案外イケてるところを拝聴することができました。

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NEW order A COLLECTION  2005. 11. 16 (Wed.)

ニューオーダーのビデオクリップ集をHMVのポイントを使っても5,000円超で購入。今見ると短パンや袖が短すぎる80年代前半の外人が踊ったりしてるConfusionから始まっての24曲におまけが6曲。

前半のファクトリーレーベル時代の作品はたいがい突き抜けてたり斬新過ぎたり素っ頓狂だったりでテレビでかかりづらい作り。それゆえ初めて拝見する作品も多数。そんななか、2曲目に登場のPerfect Kissのみたまたまテレビで拝見したことがありました。そのときは激しい衝撃を頂戴したのでした。後に羊たちの沈黙だかでヒット作を飛ばした監督の作品らしいのですが、プロモビデオなのに一発録りの趣。緊張感あふれまくりの空気をかもし出しつつ、たどたどしい指使いのシンセサイザー、自分で作った歌なのにうまく歌えないボーカルを含めシーケンスサウンドに操られる演奏が後半パーカッションを交えたりしてえもいわれぬグルーヴを醸し出しているのであります。これを見て、わたくしは一時期やめかけてた楽団活動を再開する意欲をかきたてられたのでした。

名古屋でただ飯食ってたリネカーが懐かしいWorld in Motionをはさんで後半はファクトリー破産後のメジャーレーベルからの作品なので概ねプロモビデオらしく安心して見られますが、メンバーの皆さんが演奏しているところを見られるのは他の楽曲全部をたしてもPerfect Kiss1曲に及ばないだろうというほどメンバーの皆さんはあまり出てきません。Crystalは全員偽者。

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SINGLES(NEW ORDER)  2005. 11. 12 (Sat.)

たぶん4つめぐらいのベスト盤。ボックスセットを入れたら5つめか。前のべスト盤Internationalの後LP1枚しか出してないのにもうベスト盤。ベスト盤を出すサイクルが短すぎないか?という疑問について少し考えてみました。
最初のベスト盤Substance→4年ぶりぐらいの新作Republic→2つめのベスト盤Best of New Orderと12インチ中心のRest of New Order→8年ぶりぐらいの新作Get Ready→ボックスセットRetro→3つ目のベスト盤International→4年ぶりぐらいの新作Wating for the Sirens' Call→4つめのベスト盤Singles。
振り返れば新作を1枚発表するごとに1枚強のベスト盤が編集されると見てよいでしょう。今後もこの勢いでがんばってもらいたいものです。

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AS IS NOW (Paul Weller)  2005. 10. 29 (Sat.)

前作からわずか1年ぶりの新作。前作がカヴァー集だっただけに、契約ノルマをこなしてしばらく休まれるものと思ってましたが、たいへんお見それしました。前作の演奏とレコーディングで気をよくした勢いでの新作発表。
ここんとこ、アースフルでフォーキーとかわけのわからない形容がつく我々にはあまり関係ない英国田園生活の昼寝サウンドが多いところに忸怩たるものを感じていたのですが程よくそれを払拭。前作で取り戻したソウルもパンクもビートルズもR&Bも消化してる稀有で孤高の存在としてのウェラーが少し帰ってきた! 中盤から後半、やや眠たいですがスタイルカウンシルの後半グダグダになりかけてたころの隠れた名曲っぽいと思えば聴けなくなし。

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return the gift(GANG OF FOUR)  2005. 10. 12 (Wed)

俺様的には、諸々のフラストレーションをすべて社会のせいだ!と告発しまくりたい中学生精神の発露を、高校生のときからいい年こいた今に至るまで、求めるときの拠り所として、常に心のベストテンの上位に輝き続ける傑作アルバムEntertainment!を発表なさったギャングオブフォーの最新作。
ついこないだ苗場で健在ぶりをまざまざと見せつけられた直後ですから俄然期待は高まります。が、セルフカバー集。ほとんど聞いたことある楽曲の録りなおしですが、2枚目以降はあまり熱心に聴いてないのでちょうどよいかもしれません。
予想通り、ベースやドラムの音が太くなったのに加え、昔にはほとんどなかった残響音が加わり、豊かな音楽性。膝は必然的に動きまくります。が、しかし。ギターアンプのつまみフリテン状態で不協和音をカットすることでエッジを効かしまくって消費と戦争が肥大しまくる物質文明資本主義社会への違和感を告発しまくってたギター音が、程よくエフェクターを使った昨今のオルタナ系とやらとあまり変わりなく、ややもするとまろやかに聞こえてしまいます。
とはいえ、フランツフェルディナンド他のフォロワーの皆さんよりも歴然とした突き抜けっぷり。
また、若手の皆さんによるリミックス集が1枚ついてて2,800円+税の超お買い得価格。リミックス集の方は13曲中3曲もrepackage sex keeps your interestのリフレインが耳に残るNatural's Not In Itが入ってたりしますが、これまで全神経を研ぎ澄ませて拝聴せねばならなかった楽曲の数々を他のことをしながらBGM状態で聴くことができるようになります。

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散歩の達人Presents中央線ソングス  2005. 8. 23 (Tue.)

お金がもったいない気がするのでこういう企画モノCDはなるべく買わないように我慢していたのですが、高田渡逝去もさることながら、峯田くんご開陳事件に突き動かされうっかり購入。

件の峯田くんの「アイデン&ティティ」は映画ではロックの神様が去る際に聴かせるというクライマックスで存分に効果的でしたが、アコギ1本ゆえにCDで聴くにはちとキツいです。
意外な収穫ははちみつぱいの「ぼくの倖せ」。楽曲自体にはとくに魅力は感じなかったのですが、問題は鈴木慶一の歌唱力。たいへんに豊かな味わいで、うまいのです。齢とともに下手、というか独特の味わいをかもし出されている最近の鈴木慶一ですが、元はたいへん普通に歌手のようにうまかったのです。それが、ムーンライダーズ結成後、東京ならではな都市ポップス、無国籍ニューミュージック、ニューウェーヴ、テクノと変遷していくなかで、明らかに歌唱法を変えてらっしゃる、その原点を確かめることができました。

それはともかく、フォーク系に重きを置かれすぎたのか、版権交渉の結果かはわかりませんが、中央線沿線の拙宅付近でベースの人を何度か見かけたゆらゆら帝国の楽曲と、空手バカボンの「中央線ヤクザブルース」が入ってないのがたいへん惜しまれます。

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FUJI ROCK FESTIVAL '05(Noの巻)  2005. 8. 5 (Fri.)

アンノウン・プレジャーズTシャツ雨男ですか?モービーは! と、いうわけでモービー登場とともに夕立。途中、ジョージブッシュに代わって米政府の悪行を詫びるモービーでしたが、今は雨の方が切実な問題。が、モービー終演とともに夕立は上がり、ぬかるみを踏みしめて最前列(付近)に移動。

ニューオーダー4年ぶりの来日公演。「クリスタル」「リグレット」といった最近のヒット曲(と言っても4年前と10年ちょい前)からスタート。続いての最新作「クラフティ」は1番のみ日本語(空耳)バージョン。歌詞がスクリーンに映し出されて。サムナーは足元のモニター凝視。おそらく日本語っぽく聞こえる英語詞が写されていたものと推察されます。「クラフティ」に限らず、新らしめの歌はモニターを目で追うサムナー。
今回はアンコールもあわせると4曲もジョイディヴィジョンの作品を披露してくださいまして、土曜日に買ったアンノウンプレジャーズTシャツを着て行った甲斐がありました。それはさておき、この20年の間にサムナーほど歌がうまくなった人を他に知りませんが、ジョイディヴィジョンの楽曲は、イアンカーティスを彷彿とさせるあやしいピッチで。
例によって「ブルーマンディ」で終演。

その後、プライマルスクリームも聴いて豚もち丼を食って、ハワイアン6の人が言ってた「ロックフェスは家に帰るまでがロックフェス」の言葉をかみしめつつ帰宅。

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FUJI ROCK FESTIVAL '05(qrlの巻)  2005. 8. 4 (Thu.)

entertainment!そんなわわけでギャングオブフォーでへろへろの完全な腑抜け状態になった土曜夜。雨はほぼ上がりましたが、いつまた降り出すやわかりません。
グリーンステージのベックを横目で見ながら、ここはロックフェスの鉄則「無理しない」を遵守し、宿に引き上げる決断。
ファットボーイスリムをあきらめ、カレーを食べて退却。

翌朝は行きたくても行けなかった皆さんの怨念も届かず、(朝は)晴天。
朝一のナックかあふりらんぽかが悩ましいところでしたが、ニューオーダー終演の23時、あわよくばプラマルスクリーム終演の1時ごろまでがんばるためにはロックフェスの鉄則「無理しない」を遵守し、ナックもあふりらんぽも悩まずあきらめ、ゆっくり来場。
グリーンで寝ながらケムリとエゴラッピンを見て、ビールとタコライスを食べ終え、列に20分並んで小便してる間に新潟県知事の挨拶が済んで、くるり登場。

さすが、1回目の嵐のフジロックに客で来ていた岸田ならではの演目とコメント。
World's End Supernovaがオープニングで、「空が曇ってきたからって泣き言ばかり言ってんなよ」とアンテナ3曲目のRaceとかで今日の雲行きを心配する我々を戒めてくださいます。郷愁そそるHometownや名作「青い空」に未発表新曲などを経て、「東京」で終演。
「このなかにもバンドやってる人もいると思うけど、フジロック出たら、ええよ」という印象的なコメントを残してくださいました。

くるりでまたややへろへろな腑抜け状態に陥りかけたのでしたが、黒毛和牛串焼きと豚カルビ串焼きとラムコークで景気づけして、ビーチボーイズのサーフィンUSAを聴いたりしてご機嫌に。ところが、この後モービー登場とともに大変な事態に!(つづく)

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FUJI ROCK FESTIVAL '05(GoFの巻)  2005. 8. 3 (Wed.)

ホワイトステージの電子レンジベンジー登場時から本降りだった雨がやがて小止みになり、いよいよ完全に上がった18時過ぎ。ホワイトステージ横のところ天国でラムコークを飲んで景気をつけていると、ギャングオブフォーのファーストアルバムentertainment!A面1曲目Ether(邦題「エーテル」)のイントロベース音が! ステージ最前列(付近)へ急行!
サウンドチェックでイントロのワンフレーズをやってしまってくれたわけなのですが、本当にあのギャングオブフォーが来るのかどうか半信半疑だったところがこれで安心。
ステージ上には電子レンジ。
開演時刻になって、この方のおかげで70年代に「ギタリスト」という言葉が持っていた意味合いを完全に雲散霧消させてくれたアンディ・ギル登場。entertainment!A面5曲目Return the Gift(邦題「リターン・ザ・ギフト」)のイントロを奏ではじめてからその他のメンバー登場。
Head away from the years / You're on the price listと歌いはじめて紛れもなくギャングオブフォーの来日公演。これまでビデオも含めて動いてるところを見たことがないので、コピーバンドでもわからないわたくしですが、存分に死ぬほど、これまでにないぐらい跳ねて叫んだ名曲の数々(ほとんどファーストアルバムentertainment!)。

ところで、ギタリストという言葉を死語に追いやったアンディ・ギルですが、てっきりギターだけ見てひたすら掻き鳴らす人だと思い込んでましたが、さにあらず。 加瀬(ワイルドワンズ)のようにギターはあまり見ず、どうだ!というよりどうかな?という余裕の無表情で客凝視。で、よく動きます。その他の皆さんもエンターテイメントな動きを見せ、あまり聞き覚えが無いので2枚目以降の作品だと思われる歌では、電子レンジを金属バットで叩いてリズムをとるパフォーマンス。歌が終わるころには電子レンジ完全破壊。もったいないパフォーマンスですが、別に電気使わなくていいものまで暖めるのに原発作るってどういうこと?な80年前後の時代精神を垣間見せてもらえました。
演奏終了後電子レンジの破片をモップで清掃これまで、ギャングオブフォーを話題にしても、すでに知ってる人は一人しかいなかったのですが、entertainment!A面4曲目Damaged Goods(邦題「いたんだ物体」)でのアーアーアーアーのコーラスをする客が少なく見積もっても百人はいるという事態に生きててよかった、まだ会ってないけど俺たちの志を理解してもらえる奴等が百人以上いるという気分にさせてもらえたのでした。
entertainment!からは12曲中9曲ぐらい演奏してくださり、わたくし一番のお気に入りB面1曲目 I Found That Essence Rare(邦題「ビキニ娘とビキニ島」)や網野歴史学とつながるA面3曲目Not Great Men(邦題「強者の歴史」)もやってもらえたのですが、二番目のお気に入りA面6曲目Guns before Butter(邦題「武器とバター」)を聴けなかったがほんの少し残念でした。(つづく)

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FUJI ROCK FESTIVAL '05(サンボの巻)  2005. 8. 2 (Tue.)

グリーンステージ行きたくても行けなかった皆さんの怨念はじゅうぶんに伝わってきました。
30日(土)昼過ぎ、1杯目のビールを飲み終わりシャーベッツが出てくるや本降り。ベンジー浅井が「すごい雨なのに、ありがとね」といつもの口調で。
本降りのなか、フィッシュ&チップス食ってハワイアン6演奏中のホワイトステージへ移動。チラ見だけして、天国バーガーを食ってこのままギャングオブフォーまで3時間粘ってもいいぐらいの勢いでホワイトステージの前の方へ。ところが出てきたのがサンボマスター。歌の人が不細工で必死、という点で勝手にイースタンユースみたいな演奏を想像してしまっていたのですが、冒頭の電車男の歌で早々に耐え切れなくなって本降りのなか群集をかきわけ退却。20分並んで小便してからグリーンのスカパラ。
本降りを多少避ける林の中からエイジアンダブファンデーションをチラ見してから、ところ天国のラムコークで景気づけして、いよいよギャングオブフォー出演のホワイトステージへ移動。(つづく)

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ユリイカ詩と批評6月号特集*ムーンライダーズ
薔薇がなくちゃ生きてゆけないんだってば!  2005. 7. 20 (Wed.)

(6月24日からつづく)そんなわけで数々の名曲が頭の中でぐるんぐるんメガミックスさせられながら読み終えたユリイカのライダーズ特集。
要するに暗い未来に生きながらえられないという思いを抱いていた中期テクノ期。30以上を信じるなと言い残して30を超えたダブルバインド状況での沈黙を経て、誰が最初に死ぬか?で復活して95年もハイジャックも乗り越えて二十一世紀を見苦しいほど生きながらえているここ十年。俺たち少年親爺なら重なるよね。

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電気グルーヴとかスチャダラパー
(電気グルーヴ×スチャダラパー)  
2005. 7. 18 (Mon.)

電気史上最高の無欲作だろうなと思いつつ、ひょっとしたら「フラッシュパパメンソール」とか「ドリル王アンソロジー」とかみたいに必要に迫られてあまりやる気なくリリースした作品が俺的には大傑作みたいなこともあったし、みたいな期待も持ちつつ購入。したもののやはり無欲作。
プロモビデオにジャケ写まで1泊2日の日光旅行ででっち上げた代物というところに無欲作であることが如実に反映されていますが、歌詞カードの誤植の多さにまで無意識的に無欲が現れていますから楽曲についてはとくに語りたいところもありません。が、最後の歌はこれまで幾万もの無欲作に心をこめて歌われてこられた堀江みつこが心をこめて。

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P.W Babies Paperback(moonriders)
  
2005. 7. 11 (Mon.)

かつて、クリエイターには2種類あってムーンライダーズが好きなクリエイターとムーンライダーズを知らないクリエイターだという自論を飲み会などで展開したりしてましたが、最近の若手の皆さんは気にしなくていいです。
そんなムーンライダーズ3年半ぶりの新作をここんとこ聴きこんできましていよいよ感想を書かねばならなくなってきてしまいました。が、しかし。この10年ぐらいの作品はその値打ちがわかるのに3年ぐらいかかってまして、新作が出たころに前作がよかったのか悪かったのかの決着を俺的につけてきたわけであります。が、前作をまだ5回ぐらいしか聴いてないわけで、なんとも気色悪かったりするのですが、まぁいいです。

岡田徹の手にかかれば5分ぐらいで一丁仕上がりそうなシャンソンチックなアコーディオン曲から始まって、その後3曲連続で年寄りの冷や水的気合の入った楽曲。メンバー全員50代に突入しての新作ということで、イカ臭ささも全開にしての昭和史もしくは戦後史。とはいえ博文作品2作は如何ともし難く博文作品。良明は歌入れしてからオケ全トッカエみたいなことをなさっていて如何ともし難く歌えません。それらはらしいと言えばらしいのですが、そんななか異彩を放つかしぶちの2曲。五十男には一番似合わなさそうな爽やかポップスと、「ヘアー」にあってもおかしくないソウルフルな70年代ミュージカルみたいなの。
そんなわけで例によって変体ポップとしての醍醐味は相変わらずですが、癖になるかというと微妙なわけであります。

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亜無亜奇異  2005. 7. 8 (Fri.)

クラッシュがLondon's burning!と歌ってた直後に日本のパンクバンドのアナーキーが「東京ズバーニング!」と歌ってたのをハタと思い出しました。
ダウンタウンファイティングブギウギバンドがレギュラーだったテレビ神奈川制作の「ファイティング80」みたいな名前の音楽番組をKBS京都で見ていたのですが、アナーキーが出演したときのことは、録画して何度も見たのでよく覚えています。
神奈川県民文化ホールみたいなところで、アナーキーが「団地のオバサン」「や「季節の外で」などの初期のヒット曲にクラッシュの「ホワイトライオット」のカバーなどを演奏。なぜか舞台映像の合間にメンバー2人のご両親登場。テレビ局かレコード会社の事務所で直立のまま「仲野茂の父です」などと自己紹介されて深々と一礼。まさに警察や家裁に出頭させられた少年犯のご両親のようでありました。一通り自己紹介が終わると仲野の母にズームイン。さっきも言ったのに「仲野茂の母です」と再度述べられたあと「このたび、アナーキーというバンドを結成した仲野茂の母です。本人たちも一生懸命やると言っておりますので、どうかよろしくお願いします」と、子の更生を願う母のような挨拶まで、ハタと思い出してしまいました。

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BUZZ vol.44 May2005 麗しの80年代大図鑑
  
2005. 5. 19 (Thu.)

同じ企画でSNOOZERでやってもらいたい。買ってきたインタビューの翻訳、それも時期がむちゃくちゃのものを巻頭から80ページも続ける厚顔。出先での2つの仕事の間の暇つぶしのために購入したのですが、750円は痛い。痛すぎ。

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空耳   2005. 4. 20 (Wed)

しつこくひっぱるニューオーダー最新作「ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール」の話題。先日、Krafty[Japanese version]の「終わらせない」はo,one la-se nightとお伝えしましたが、気になって何度も聴き返してみましたところ、wah last nightと言ってるのが一番近いような気になってきました。
そんなわけで、「終わらせない」とは「言ってないんじゃないの」(タモリ)「言ってないっすかねぇ」(安斎さん)ということで、手ぬぐい。

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Krafty[Japanese version](NEW ORDER)
  
2005. 4. 18 (Mon)

ニューオーダー最新作「ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール」収録の謎の日本盤ボーナストラック。ヴァラエティ豊かな作品内でひときわテクノポップ色濃い軽い楽曲。間奏とかはまさにN.O.やなんかの電気グルーヴによるエレポップ系楽曲の二軍の作品のような味わいが軽快で楽しく聴けます。
問題の日本語ヴァージョンは、最初何ともいかがしたものか、ととくにこれといった感慨はなかったのですが、たまたまミスドでドーナッツを食べていたら有線にかかりました。すぐに日本語ヴァージョンだと気づいたのですが、途中からワケがわからなくなってくる不可思議に気づいたのはサビに入ってから。日本語詞が空耳で作られてるゆえ妙に英語のコーラスとマッチする按配。
常々英語スピーカーに日本語の「ら」行音を読ませる際はrよりもlを推奨すべしと思っていましたが、This time I'll get it rightが「僕に未来を」になるクダリの「未来」はmi-rightで、I'll say it one last nightが「明日を終わらせない」になるクダリの「終わらせない」はo,one la-se nightという具合にほぼ原曲通りに歌っても日本語化するので、逆に日本語で口ずさんでも原曲みたいに歌える画期的な日本語詞になったと言えます。

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Waiting for the Sirens' Call(NEW ORDER)
  
2005. 4. 16 (Sat)

とらえどころを捕らえるのに毎度苦労するニューオーダーのLPですが、最新作は1曲目のプログレ風イントロに始まりガレージパンクな最終曲までヴァラエティに富みすぎて、いっそうとらえづらくサヴィルをして(毎度のことながら)やる気があるのかないのかわからないホワイトアルバムなジャケットデザインになったのもむべなるかな、という気がしないでもないです。とは言え、このことに気づいたの何度か聴き返してからでありまして、当初はどれも似た歌やなぁと感じたのは、慣れないギター大増量のせいかもしれません。たいがいの歌の間奏でギターがソロを弾いているというあるまじき事態は新たなギタリストが加入したということによるものと思われます。恒例のベースが高いところを弾くところも多少ありますが。ふつうの楽団になりはてたような気もしますし、これであと10年新たな境地を開かれていかれるような気もしますし、評価は未だ下せません。

ところで、公式サイトにはまだ載ってませんが、苗場に来るという情報がっ!

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Waiting for the Sirens' Call(NEW ORDER)
  
2005. 4. 15 (Fri.)

読者の皆様のなかの2,3名ぐらいの方々に共感してもらえたりある種の感慨を抱いてもらえそうなニューオーダーの最新作の感想を述べたいと思ってまして、このひと月足らずの間、毎日1.5回ずつぐらい聴いてようやく考えもまとまってきたのですが、急遽とある一企業の将来を左右する緊急ミーティングに召喚されてへべれけに酔っぱらってしまったので、また後日、改めて。
一言だけ申し上げるなら、アジカン後藤の空耳日本語詞がかなりいいです。

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男のマロンズ  2005. 3. 11 (Fri.)

男のマロンズ今年に入って既に2回もご紹介している男のマロンズ(キコリレコード所属)3発目のライブ公演。対バンが5つもあって、その中にはオノヨーコの最高傑作キスキスキスをカヴァーするシーナ&ザ・ロケッツのご子息バンドもという豪華ラインナップで1ドリンクつき2,000円。東高円寺UFOクラブ。

男のマロンズ的には、今回初めて大音量のライブハウスでまともなドラムセット。8ビートがノリノリなグレコギターの歌でオープニング。のりのりサウンドに悪乗りしたヴォーカル&ギターの宇宙ダコ先生はいきなりギターの弦を切ってしまわれます。

弦はりかえ中 「寺内タケシは10秒でギターの弦を張り替えた」などという大法螺伝説を挟みながら5分ぐらいかけてじっくり弦を張りなおした後、3曲。いつもより楽曲数は少なめでしたが、その分アドリブコーナーを長めにせっかくの本格ライブハウス大音量を楽しませていただきました。

恒例の前のライブの録音CD無料配布にありつき、さっそく拝聴したのですが、宇宙ダコ先生の長すぎるMCが削られていたのはもったいなく思いました。

ところで、以前から気になっていたのですが、いつの間にやらかのライブにおけるヴォーカル音量のレベルアップ。歌詞が聞き取りやすいという点で評価できるのですが、一部若造楽団のニューミュージック化やハード歌謡の混入という悪しき弊害も気になるところ。
それが、当ライブ会場にはなく、歌詞が聞き取りにくいものの昔みたいでよかったかも。

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路上ライブ(年寄)  2005. 2. 18 (Fri.)

路上ベンチャーズ交差点の向こう側、遠めに見えた路上ライブ。おっさんがお揃いの軽装。におわいでか、ベンチャーズ臭。
近づくほどにベンチャーズ。
音が聞こえ出したらまさにベンチャーズ。デケデケデケデケ。
背後から見てもベンチャーズ。
とくに中央のおっさんのネックの立ち具合が正しいおっさんバンドの演奏姿勢なのであります。

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Amateur Academy 20th anniversary edition
(MOONRIDERS)
  2005. 2. 17 (Thu.)

すでに化粧箱入りCDとボックスセットで2枚持ってるムーンライダーズ84年発表の大名作「アマチュアアカデミー」の再発CD。テクノ・ニューウェーヴ期のなかにあって、唯一外部プロデューサーを招聘して売れ線を狙ったあげく、エロスとタナトゥスが振り切れる歌詞世界を妙にクリアな音像でまとめたクセになる怪作。
おまけCDがついた2枚組とはいえ税込3,500円はためらいがちになるもののこれもマニアの受難。
マスタリングという最終工程をやり直しただけあって、それぞれの音が前のより来て、たしかに音質は向上してますが、おそらくは安い機械や電波に乗ったときに効力を発するのではないでしょうか。俺様の高品質ステレオコンポーネントサウンドシステムでは、前ののヴォリュームを上げたのとそうたいして変わりません。
が、気合を入れて注意深く聴くと、M.I.Jみたいなエッジのきいた楽曲はぐっと来る気がしないでもなく、聴きこむほどにB TO FやD/Pのような名曲はより口ずさみやすくなり、Y.B.Jではより破壊衝動が湧きあがり、30ではいい齢の重ね方をしたくなり、NO.OHでは躁になり、G.o.a.PやS・E・Xではやりたくなり、BLDGでは死にたくなるような気がしないでもないです。
おまけCDでは引きこもりバンドの面目躍如なライブ音源を楽しむことができます。

是非とも次回は超名作「アニマルインデックス」の20周年ということで、1曲のキックだけで1週間かけたりしたというリズムトラック全とっかえとか思い切ったのを切望。

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キスキスキス  2005. 2. 2 (Wed.)

いつのころからか自動車の広告に1980年前後の欧米のヒット曲が使われるようになり、いちいち怒ってたらキリがないので「俺は法律と闘って法律が勝った」とクラッシュが歌う日産のを最後に無視するようにしてまして、Give Peace a Chance(邦題「平和を我等に」)が「モノより思い出」とかいうキャッチコピーのバックで歌われようとどうでもいいと思い込む次第。健康食品のコマーシャルでPower to the People(邦題「人民に力を」)がかかろうと馬耳東風。
でしたが、アオケイの竹林記者が成人の日に際して不快感をあらわにされていたので、追随して「スターティングオーバー」にはケチをつけとかないと気がすまない気分。ソフトオンデマンド社高橋がなり社長のソックリさん含む40歳台後半ぐらいの小金持ち夫婦モデル俳優が口ずさむスターティングオーバーの毒気。
そもそも、自動車の広告に何故これらの楽曲が使われるのかを考えなければなりません。思うに、使用料さえクリアできれば、あとは制作サイドの好み。で、対象顧客の世代は若い頃にこういうのを聴いてましたぜ!と依頼企業をだまくらかして採用されると思われるのですが、まぁ小耳に挟んでたぐらいで実際に熱心に聴いてた人々は余程の田舎に住んでる人を除いてファミリーカーや国産高級セダンの新車は買わないと思われるのであります。
スターティングオーバーを口ずさむ40歳台後半ぐらいの小金持ち夫婦も、いかにもベスト盤だけで聴いてそうな大人気分が垣間見え、どこからもスターティングオーバーの次に入ってた、オノヨーコが「抱いて」と絶叫しまくるキスキスキスのにおいがしてこないのであります。

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男のマロンズ  2005. 1. 26 (Wed.)

男のマロンズ縄文採集ヴァーチャル男色中年スペースロック・男のマロンズの2回目のライブ公演を高円寺円盤にて。入場1,000円で1ドリンク付! しかも、前回ライブの録音CDが「ご自由にお取りください」状態でお得感満点。いわゆる対バンも2つもあり。
これだけでもう、客的には歌や楽曲やライブパフォーマンスはどうでもいいぐらいのコストパフォーマンス。
とは言え、中年ロックにふさわしい楽曲の数々を細かいビートは刻みにくいドラムセット(ベースドラムは鍵盤)でゆるゆるとしみじみと熱くEDの魂の叫び満喫。

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Return of the Giant Slits(The Slits)  2005. 1. 25 (Tue.)

去年の今頃(一部のタコツボで)話題になってたような気がするUKニューウェーヴルネッサンス2004なるCD発売シリーズ。「すべてCCCD!」という報道とともに一気に誰も話題にしなくなったような気がしていました。
が、先日パッチギ!を見た帰りに寄ったHMV立川店の投売りセール箱の中にスリッツのCDがあったではありませんか。UKニューウェーヴルネッサンス2004の帯つきで。1,785円がさらに1割引! 帯によりますと世界初CD化だそうで「大地の音(日本語)」も入っていますが、何よりニューエイジステッパーズの1枚目に入ってる歌の元歌もあったりして、俄然ニューエイジステッパーズみたいなダブ渇望中。

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男のマロンズ   2005. 1. 21 (Fri.)

エフェクター年に1度ずつぐらい当欄で宇宙ダコ(キコリレコード所属アシッドフォーク弾き語り中年)のライブコンサートの模様をご報告してきましたが、ついにバンド(全員中年)サウンドに帰ってきてくれました。
中年バンドというとベンチャーズかビートルズかやけにテクニックに磨きがかかって魂が腐ってるようなのを思い浮かべてしまいますが、昨年末に2曲半だけ拝聴させてもらった男のマロンズはさにあらず。練習3回で「初めてうまく終われた」楽曲を演奏したりのパンクスピリットに溢れるところを垣間見せてもらえました。
早くも2回目のライブコンサートが25日(火)19時半過ぎから高円寺の円盤というところでやるぞというお知らせをつい先ほど頂戴しましたのでご報告いたしますが行けるかどうかは定かではありません。

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