音楽日報'10
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輝け! イマケイレコード大賞2010  2010. 12. 25 (Sat.)

振り返ってみると5枚か6枚ぐらいしかCDを買わなかった2010年でした。神聖かまってちゃんがあったんでそれでもうじゅうぶんというか、最近の曲なんかもうクソみたいな曲ばかりさと感じたのかもしれません。それはさておき、僭越ながらそれらのなかから厳選された作品に栄えあるレコード対象の栄誉を称えて労をねぎらいたく思います。
大賞は三十年を超えるつきあいや同郷のよしみで若干下駄をはかせてるかもしれません。

■レコード大賞(欧州ほか)
Wake up the Nation (Paul Weller)

■レコード大賞(国内)
言葉にならない、笑顔を見せてくれよ (くるり)

■最優秀新人レコード大賞
友だちを殺してまで。 (神聖かまってちゃん)

■審査員特別功労賞(欧州)
A-Z Vol.1 (Ash)

■審査員特別功労賞(国内)
僕の住んでいた街 (くるり)
MUSIC (フジファブリック)

■買ってがっかりさせられたレコード大賞
SINGLES 2004-2009 (フジファブリック)

■買うのを我慢して(たぶん)正解だったレコード大賞
いきものばかり (いきものがかり)

言葉にならない、笑顔を見せてくれよ(くるり)  2010. 10. 4 (Mon.)

才能の行方がどこまで行ってしまうのか、俺たちを置いてけぼりにしてという不安につきまとわれるなか発表されたくるりの新作は謎のDVD付初回限定版が税込3,200円。
才能の行方的不安はご本人たちにもあったのか、京都のスタジオで作り始めた結果の原点回帰的、というか螺旋的に階調上がりの傑作と受け止めました。
久々に聴く気がするディストーションギターやシャウト唱法が原点回帰的であり、決して現代的斬新さは見当たりません。が、前半の己が足元を見つめるくるりならではの日本的世界観、中盤にきらめく才能をポップチューンに盛り込んで一休みしてから後半は世界のマイノリティが育んだサウンドによて構築されていき、いかんともしがたい植民地状況があらわになった2010年前半の我が国においての一つのあるべき生き方を描いています。
制度にからみとられた政治経済の抑圧に打ち克つのはわたくしたちの気の持ちようで豊かにできる生活文化であるぞ、と諭してくださっているかのようであります。

僕の住んでいた街(くるり)  2010. 9. 23 (Thu.)

待望のくるりB面集。2枚組34曲収録で税込3,200円。
冒頭に新曲「東京レレレのレ」が入っていますが、2曲目以降は発表順のラインナップ。シングルのB面まではおさえていないので、そうとは知らずに聴き通したときには順番がたいへん気になりました。が、なんとなくドラムの違いからそれに近い感じが伝わってこなくもなかったです。
とは言えB面楽曲ならではなむき出しの才能のおかげで、最近とみに顕著になりつつある才能の行方に対する聴き手にとっての不安が大昔からあったのだということを認識させられました。
アレンジやサウンドに時代性を多くは求めない方々には是非愛聴していただきたい作品に仕上がっています。
あと、台詞が多いというところも聴き所として聞き逃せません。

MUSIC(フジファブリック)  2010. 8. 31 (Tue.)

生きてたら佐野元春のザ・ソングライターズにも呼ばれてただろう志村亡き後に発売の新作(税込3,059円)を香典代わりに購入して拝聴。
試聴したところ、ギターポップから打ち込み全開のテクノシンセな楽曲まで幅広いフジファワールドが堪能できそうでした。が、家に帰ってじっくり聞いたら没テイク集だけどアレンジがんばりました、という制作過程通りの出来と言わざるを得ません。ちょっとがっかりさせられましたが、志村急逝のがっかり度に比べれば微々たるものです。結婚式用の楽曲まで発表されてしまったのは、早く死んでしまった罰ゲームと言えるのではないでしょうか。

SINGLES 2004-2009(フジファブリック)  2010. 8. 25 (Wed.)

税込1,999円のお手ごろ価格で全11曲入り。フジファブリックのシングル集を購入してしまいました。
2008年の名作「TEENAGER」にレコード大賞を差し上げたものの他の作品をよく知らないままになっていました。
メジャーデビュー作の「桜の季節」からして凡百の桜ソングと異なる世界観とひねくれっぷりを発揮しているうえに、シングル集とは思えない音楽の泥沼的楽曲も含まれています。
正直申し上げてLPとしてすごい「TEENAGER」のなかの何曲かの名曲だけを聴くのに「TEENAGER」のCDをかけるのがもったいない感じがしてシングル集購入を決意したのですが、ベスト盤としては「TEENAGER」の方がそれっぽくまとまっているような気がするという不可解な感慨を抱かされたのでした。

FUJI ROCK FESTIVAL '10(2日目)  2010. 8. 19 (Thu.)

豊田勇造&Yuzo Band初日のことを思い出したんですけど、パトカー炎上などトロントサミットの反サミットデモの映像などをプロモーションに使ってるBroken Social Sceneの皆さんのシチュアシオンな香りに期待して雨宿り客も含めて超満員のレッドマーキー(約5千人収容)に足を運んだのでしたがイマイチわたくしの期待する音とは違ったのでした。

2日目は天国バーガーを食べてからホワイトステージ(約15千人収容)のbloodthirsty butchersで田渕ひさ子を凝視。
キューバな革命天国で酔っ払って東京パノラママンボボーイズfearturingテレンスリー。そうこうしているうちにオレンジコート(約5千人収容)で15人ほどの客が見守るなか、豊田勇造&YUZO BANDの皆さんのリハーサルが始まりました。
1期生がまだ三十歳代という新しめの高校に通っていたのですが、OBの有名人といえば北山修と豊田勇造ぐらいしかいませんでしたから、誰もがフォークギターを鳴らして平和を愛していた苦悶の青春時代がよみがえります。拾得で聴いてから約30年ぶりの名曲「ジェフベックは来なかった雨の円山音楽堂」は軽快でファンキーになっていて、さぞかし東亜細亜〜東南亜細亜各地たまにカリブ海の旨いものを食って道一筋に齢を重ねてこられたのだろうということが伝わってまいりました。
その後、超満員で身動き取れないホワイトステージ後方通路をクロマニヨンズを拝聴しながら通り抜け、ジョンフォガティのアメリカンサウンドと豪雨に打たれる苦行を経て、ロキシーミュージックに布袋が出てきて帰宅後今野雄二逝去。

FUJI ROCK FESTIVAL '10(初日)  2010. 8. 18 (Wed.)

スーパーフライもう2週間以上前のことなのでかなり忘れているのですが、プチロックフェスティバルに行ったついでにフジロックフェスティバルにも行っていたのでした。
運悪くリストバンド交換が長蛇の列のタイミングになってしまい、入場できたころにはグリーンステージ(約4万人収容)でスーパーフライの皆さんがエキサイティングに演奏なさっていました。が、ほとんど素通りで目指すはオレンジコート(約5千人収容)。開演10分前の人だかりもまばらな時間帯に到着できたはずなのに、すでにヒカシューの皆さんが即興演奏を奏でてらっしゃいます。
てっきり開演前の公開リハーサルかと思いましたが、おもむろに2枚目の名作「夏」の冒頭を飾る「アルタネイティブ・サン」のエキサイティングな演奏が始まりました。
ヒカシューその後は口琴のコーナーなどもはさみつつ、小さいトランペットと案外板についてるテルミンを操っての昔ながらの80年代前衛パフォーマンスだけて括ってはもったいない演奏が繰り広げられたのでした。
終盤は80年代前衛パフォーマンスが活きる初期の名作「予期せぬ結合」「パイク」「プヨプヨ」3連発。硬直ぶっ倒れを何十年ぶりかで拝見して終演。

その後のことはよく覚えていません。ザッパの息子がザッパをやるとかいうのを見なければいけなかったはずなのですが、けものと人が仲むつまじく暮らすおとぎの国に迷い込んだりキューバなところでラム酒漬けになってたりしてるうちに、ニルヴァーナのドラムとレッドゼッペリンのベースが合わさる演奏に耐え切れない体になってたんでミューズとか、無理です。

CABARET FIESTA Havana Night  2010. 8. 4 (Wed.)

CABARET FIESTA昨日お伝えしたけものたちと人が仲むつまじく暮らすおとぎの国を訪れた前後は、ビーフケバブサンド(於Orange Court)や豊漁か?これまでの1.5倍ぐらいのボリュームに恵まれたフィッシュ&チップス(於World restrant)や天国バーガー(於ところ天国)などをおいしくいただきました。
また、その合間合間に、オレンジコートのまだ先、会場の最も奥に設営されたテントで営業されてたキューバなところへ。
ビーフケバブサンド フィッシュ&チップス 天国バーガー

東京パノラママンボボーイズ(ぼこられても反撃しなかったテレンス・リーが2曲歌で参加)のリハーサルと本番演奏を拝聴したりしながら、キューバリブレ(ラムコーク)とモヒート(山盛りの香草で飲むラム)を代わる代わる何杯飲んだことでしょう?
CABARET FIESTA
モヒートとキューバ料理
モヒート
セクシー革命戦士
カストロがいるぞ、上の方
キューバリブレとモヒート

プチロックフェスティバル'10  2010. 8. 3 (Tue.)

関越道のとあるサービスエリアで出くわしたプチロックフェスティバル。
プチと言うだけあって、とてもとても小さく、お客さんたちがアリのようにうごめいていました。
GREEN STAGE
GREEN STAGE 約40,000人収容

WHITE STAGE
WHITE STAGE 約15,000人収容
FIELD OF HEAVEN
FIELD OF HEAVEN 約5,000人収容

ORANGE COURT
ORANGE COURT 約5,000人収容
KIDS LAND
KIDS LAND(禁煙)

主だったステージを一通り見渡した後、霧の中からけものたちと人が仲むつまじく暮らすおとぎの国が現れたのでした。
二居湖
水たまり
DAY DREAMING and SILENT BREEZE偽トラッキー

A-Z Vol.1(ASH)  2010. 7. 20 (Tue.)

この1年半ほどの間にちびちび出した配信発表曲を寄せ集めておまけの2枚目もつけて税込2,600円のお買い得価格。
冒頭2曲を店頭で試聴して慌てて購入しました。冒頭2曲はたいへんすばらしいです。適度なテクノアレンジに巧妙なメロディが乗る強力エレポップ。で、帯に「全曲シングルの捨て曲なし」とあれば、そら買わな損!と思いますわな。
ですが、3曲目以降は概ねブリットポップ出のメタル好きパワーポップで括られてテクノ色減退。さらに、たまに甘ったるく歌い上げるポップトーンが混じりますから注意が必要です。

WAKE UP THE NATION(PAUL WELLER)
  
2010. 7. 8 (Thu.)

新自由主義経済政策下の貧窮問答歌「Our Favorite Shop」発売から「第3の道」ブレアの労働党政権への政権交代には12年ほどを要しましたが、今や大御所となられたウェラー師がちょっと怒ったらすぐさま親米労働党政権が吹っ飛んでしまいました。
前作「22 Dreams」で曲調の幅をぐぐっと広げられたウェラー師が、その勢いでだだだーっと書き上げられた17曲で構成。サウンドプロデュースは若手にまかせて。アコギ禁止でプチサイケな楽曲群の中に素のウェラー師が浮かび上がってきます。ジャムの1枚目に入ってた「London Traffic」とほぼ同じコンセプトの「Fast Car/Slow Traffic」という楽曲ではベースにジャムのプルースフォクストンが登場、ご当人たちがどうかはわかりませんが、古くからの客にとっては感激の再会です。
ほとんどの楽曲が2分ちょいですから、気を抜くとあっという間に終わってしまいます。なので、リミックス版などが入っている2枚組デラックスエディション(税込4,200円)の方がお勧めです。

神聖かまってちゃん  2010. 5. 21 (Thu.)

ロックンロールは鳴り止まないっが鳴り止まない。
別バージョンも。

友だちを殺してまで(神聖かまってちゃん)  2010. 5. 11 (Tue.)

名曲「ロックンロールは鳴り止まないっ」を冒頭にした全7曲(+嫌がらせみたいなボーナストラック)入りミニアルバム。取り扱いに困る生写真付きで1,500円+税。
なぜか「兄ちゃん、男前やな〜。ワシの若いころにそっくりやで」という池乃めだかのギャグを想起させられてしまう青春パンクの金字塔。いや、金字塔は過大評価ですが、最近の曲なんかもうクソみたいな曲だらけゆえに相対的に評価が高まります。
ニコ動などでのパフォーマンスがあざとく感じたりもしますが、あざとさにおいても去年あたり話題になった相対性理論みたいなのと比較すればおのずと評価が高まります。文化系スノビズムが受け入れられにくい我が国にあっては、これが日本の代表的なシチュアシオニストですよと、機会があったらヨーロッパの人に伝えてもいいかもしれないような可能性を感じたりもしますが、過大評価かもしれません。

スピーチーズ  2010. 5. 10 (Mon.)

最近杉山清貴来ませんね競輪専門チャンネル「SPEEDチャンネル」の加入促進のために全国の競輪場に出没しているということをSPEEDチャンネルで広告してらっしゃるスピーチーズの皆さんが平塚競輪場に登場。どうやら世界の中野浩一プロデュースでCDを出してらっしゃるようです。
この日ご披露なさった1曲目は、懐かしい感じもする王道アイドル歌謡、振り付け付き。ハーモニーにもチャレンジなさってらっしゃいますが、歌唱力的にはアイドル歌謡として程よい感じです。
さらに、もう1曲ロック調の楽曲も振り付け付きで。俺様的には3人いるうちの1人はショートカットを交えていただきたかったと申し添えておきたいところです。
スピーチーズ
あべ静江 青春歌謡スペシャルライブ  2010. 5. 6 (Thu.)

5年おきぐらいでちょろっとテレビで見るだけなのに、なぜか全然昔の人という感じがしないあべ静江が平塚競輪場に登場。
そもそも台詞入りヒット曲「水色の手紙」を歌ってらっしゃったころから美熟女な感じがあったというか、世の美熟女のほとんどがどこかあべ静江の影響下にあるような気がしないでもないんでそんな気にもなるのかもと推察します。
静江
チャリロト

長いトークを交えつつ台詞入りヒット曲「水色の手紙」を含む3曲ほどを熱唱するスペシャルライブの2部構成。
第2部では、よくここでやるワイルドワンズもレパートリーに入れてる「ブルーシャトー」や名曲「愛の賛歌」なども交えて、客の年齢層には合ってるけど趣味的にはずれてような微妙な楽曲も披露されてゆかれました。

SCUBA(P-MODEL)  2010. 2. 17 (Wed.)

楽団「いまわし部族」のメンバーだったこともある久保田香港という男(レイジーのスージー似)からLPレコードが送られてきました。日本ニューウェーヴの隠れた傑作「バビロンロッカー」(リザード)の返却。25年ほど前に貸したレコードが今頃返ってきました。なんでも海外赴任に伴う身辺整理の一環だそうです。残念ながらレコードプレイヤーがありません。
レコードに同封されていたのがカセットブック「SCUBA」(P-MODEL)。カセットテープと本のセットで宝島社になるまえのJICC出版局より89年に出版されたもののわけあって買ってなかった作品です。
その後の平沢ワールドにつながる深海の集合意識に深く深く降りてく楽曲と物語。名曲「FISH SONG」が軽快なアレンジで聴くことができ、たいそう利子をつけて返してもらえたと満足しています。
同時期に別の男に貸した「待ったぜ!ヒーロー やったぜ!ナック」の帯のコピーが物悲しい「ゲット・ザ・ナック」は未だ返却されていません。

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