音楽日報'11
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輝け! イマケイレコード大賞2011  2012. 1. 1 (Sun.)

ムーンライダーズの新作が年の瀬だったんで正月1日付けに押してしまいましたが、毎年恒例のレコード大賞を発表しておきます。で、ムーンライダーズの新作の位置づけが難しかったのですが、他にすごいのとも出会えなかったんで、無期限活動休止宣言分の上乗せで大賞を献上しておきます。

■レコード大賞(欧州ほか)
BLOOD PRESSURES (THE KILLS)

■レコード大賞(国内)
Ciao! (moonriders)

■最優秀新人レコード大賞
該当作品なし

■審査員特別功労賞(欧州)
content (GANG OF FOUR)

■審査員特別功労賞(国内)
Tower of Music Lover 2 (くるり)
Due To Contract (電気グルーヴ)
ヘイト船長回顧録 In Retrospect (Keiichi Suzuki)
みんな死ね (神聖かまってちゃん)

■買ってがっかりさせられたレコード大賞
GO TELL FIRE TO THE MOUNTAIN (WU LYF)
SOUND BURGER PLANET (かせきさいだぁ)

■買うのを我慢して(たぶん)正解だったレコード大賞
Super Girl (KARA)

Ciao!(moonriders)  2011. 12. 27 (Tue.)

イープラスからの案内が来たときはまだ無期限活動中止宣言がわたくしの元には届いておらず、お金がないから見送ってしまって最期をみとれなかったのが悔やまれるムーンライダーズラストアルバム。
集大成とすべくいきなりザッパかラジオヘッドでしか聴けないような変拍子白井作品から。概ねメンバー全員均等割りの作品提供に加え、リードボーカルも多少なりとも全員が出てくるなかに、イスタンブールマンボからの進化形のような多国籍メロディーや青空百景に入ってたかのようなテクノ歌謡、かしぶち作品はならではな大作感を漂わせ、それでも鈴木弟は自分の世界を貫く、かと思いきや鈴木弟作品で鈴木兄が鈴木弟の歌唱法で歌う、などといった聴き所満載な仕上がり。
マルチトラックを全部使ってもうるさくならない、幼形成熟が老成したからゆえのこぢんまりした大作であります。

ジョージハリスン Living in the Material World
  
2011. 12. 26 (Mon.)

ハリスン伝記ドキュメンタリー映画。特別入場料金2,500円を奮発して見てきました。修行のような3時間40分。途中10分間の休憩あり。
前半は時折音楽が鳴ってなんとか起きてられますが、後半は楽曲の挿入も忘れがちになって、生きるのに必死にならざるをえないように起きてるのに必死になります。クラウスブーアマンの発言に何か深遠なものがそこはかとなく漂ったり、挿入楽曲にライブ音源が多いところなどに多少の値打ちはありますが、概ね東京裁判を見るかのように淡々とハリスンの人生が刻まれていきます。
読者諸兄姉のなかに見に行こかやめとこか考え中の方もいないと思うのでネタバレ的なことも書いてしまいますが、鑑賞前はどの楽曲を締めに持ってくるのだろうかとか考えたりしてました。そんなことも忘却の彼方に遠ざかった3時間40分後、暗転&タイトルとともに出てきたのがホワイトアルバムC面最後のLong,Long,Long。そういうオチかい! ハリスの楽曲のなかでも知られてる割に聴かれてない最高に地味な楽曲と申し上げてもいいのではないでしょうか。とくに曲を飛ばすのに罪悪感がなくなったCD化以降は。しかも、最後不協和音になって「あ〜」が出てくるとこなし。
そういうわけで、2時間以内に編集しなおして出直してきてもらいたいと思ったのでした。

唐揚げナイト  2011. 12. 5 (Mon.)

多数のご来場ありがとうございました。まだまだ精進せねばならぬと戒めております。20時半の出番までには時間があるぞと夕方ビールを飲んだせいかもしれません。
お礼とお詫びのしるしにメンバーが暇なときと、元マネージャーが撮ってくださったかっちょいい画像を掲載するので年賀状などにご利用ください。大きい画像をお求めでしたらお気軽にお声掛けください。
看板
新高円寺
Club Linner
演目
1 うわさの知識人類
  挨拶(東方神起)
2 意味の病を運ぶウイルス
  講話(美浜原発と高円寺)
3 十六文キックについての
楽観的一考察
  講話(ジョー樋口)
4 ギマンのレンズの平方根
  すべらない話(安川兄弟)
5 あたかもパーソナル
  機械と機械のアンサンブル説明
6 実存カテゴライズ,詩人の秩序
  センポ嵐児挨拶(伝統芸能化計画)
7 恋の言語哲学論考
  結び
(佐野元春のザ・ソングライターズ)
8 人間標本1/8計画

DR-770  2011. 11. 27 (Sun.)

DR-770動かなくなったリズムマシンに入ってる楽曲を一つ、動くほうのリズムマシンに打ち込みなおしました。丸一日かかりました。
新しい機械だからといって必ずしもよくなるとは限りません。どうしても見つからない音があったりもします。リズムもなんか違います。元のテンポもわかりません。
データを残すことができたとしても、打ち込み作業そのものは再現性のないものであるとの認識に立ち至ったのでした。

修理  2011. 11. 23 (Wed.)

さすとこジャックを差すとこがなおりました。工賃部品代あわせて2,520円(税込)。助かりました。
買うときは安いけど、修理しようにもふたを開けるだけで6千円も7千円も取られて結局新品を買わせ、街の電気屋のおっさんが絶滅状態に至ったこの十年二十年の電化製品のあり方はなんか間違ってると思います。
楽器がそうならないことを切に祈ります。

SG  2011. 11. 22 (Tue.)

この前の日曜日にギターを修理に出しました。7日程度以内にやるということなので間に合うとは思うのですが、今度の日曜日は約4年ぶりのバンドのリハーサルです。
修理が間に合わない場合に備えて押入れの奥で永眠予定だったグレコの安物のSGに弦を張りました。
SGモデルというのがいまわし部族の奏でる世界観とはかなりあいいれないのですが、どこでどのようにして入手したのかさっぱり思い出せません。
SG

Talbo  2011. 11. 17 (Thu.)

ギターのさすとこ今度はギターのジャックを挿すとこが壊れてしまいました。差し込んだジャックが止まらず抜け落ちてしまうというていたらく。もうガバガバ状態であります。
苦難の連続でした、ますますあやしくなってまいりました。

Drive Busy !  2011. 11. 16 (Wed.)

ERROR Drive Busy!リズムマシンが動かなくなって、復旧は困難。なんとかしようと悪戦苦闘しています。
他のところに録ってあったリズムデータを移し変えたりできないものかと試みたものの、再生中にDrive Busy!なるエラーメッセージが出ます。
同じ機械で録音したデータを再生するのに「忙しくやってられるか!」とこの危急時に言われたのではどっちが持ち主か雇い主かわからなくなってしまいます。

DR-660  2011. 11. 14 (Mon.)

DR-660リズムマシンが動かなくなりました。Battery Low !というメッセージ表示のみ。
取扱説明書の最初のほうに記憶データを保持しておくための電池が入っていて5年を目安に交換してくれたまえというようなことが書かれているのですが、購入から約20年放置してました。先日使ったときは機嫌よく動いていたのですが、約4年前のことです。
次回の公演(12月4日予定)に暗雲が立ち込めてきました。

8月32日へ(神聖かまってちゃん)  2011. 10. 2 (Sun.)

今年に入ってメジャー(つまんね)とインディーズ(みんな死ね)から1枚ずつあわせて2枚もLPを出してるかまってちゃんが早くもメジャー2枚目。税込2,800円で11曲入り。
俺様的には、2枚同時出された前作はみんな死ねの方がいいと思ったので、つまんねの方は2回ぐらいしか聴いてないのですが、本作の音作りはつまんねの方。なのでアレンジ的には残念な感じがしないでもないのですが、オープニングの次とエンディングの前にある夏休みの名曲があるうえ、ところどころに隠れた名曲性をそこはかとなく感じさせる楽曲がはさまれています。
歌唱力の毒気に隠されたベタなメロディとエレピのアルペジオが、ポストモダン社会のニュータウンに住まわされて毒づかざるを得ないナイーヴ青少年の見る痛々しく狂った風景を、美し哀しいものに仕立てています。

BLOOD PRESSURES (THE KILLS)  2011. 8. 28 (Sun.)

ザ・キルズ3年ぶり4作目の新作ということなのですが、前作までは知らないままフジロックの予習の過程で購入。2,371円+税。
ギタリストが、一人でドラムのサンプリングからコツコツ音作りを始める宅録サウンドなのですが、歌詞も書けるボーカルのお姉さんがいるせいか、音数は控えめでスタイリッシュにまとめられています。
わざわざ古い楽器やエフェクト類を活用しつつ微妙な変てこサウンドを伴奏にしてまっとうなメロディが乗り、ボーカルのお姉さんによるパワフルかと思うと抑え目になったりの起伏の激しい艶めく歌いっぷり。ギターのおっさんもほぼフルパート小声で歌ってらっしゃるのですが、これも微妙に変てこな伴奏に一役買ってて癖になります。
内省する肉体性と言いましょうか、悩ましい歌詞とあわせて、老いらくの恋は体に悪い的な欧州退廃美学をニューヨークパンクをも含んだ変体テクノに乗せてスタイリッシュなプチ傑作。

GO TELL FIRE TO THE MOUNTAIN (WU LYF)
  
2011. 8. 26 (Fri.)

WORLD UNITE LUCIFER YOUTH FOUNDATION(略称WU LYF(ウーライフ))のファーストアルバム。フジロックの予習の過程でそのシチュアシオンなたたずまいと試聴した冒頭2曲がなかなかよかったのと、特製ジャケットなうえに日本盤2,200円+税という値ごろ感で購入。
残響サウンドを効果的に配しながら現代人の喪失感を方言丸出しで咆哮する楽曲群。冒頭2曲とあと1曲か2曲ぐらいまではよいのですが、LPで聴くにはつらいです。
2枚目3枚目で化けてくれたら面白いかもという期待はなきにしもあらずなのですが、苗場で聴いて確かめた限りではあまりその可能性は感じられませんでした。残念。

SOUND BURGER PLANET(かせきさいだぁ)  2011. 8. 20 (Sat.)

自分から握手を求めた有名人はランディバースと加藤慎平(岐阜)とかせきさいだぁぐらいしかいないのですが、加藤慎平はグランプリを獲った直後の平塚駅でミニ握手会状態だったので少し毛色が異なります。
それはさておき、かせきさいだぁがなんと13年ぶりに新作発表ということなのですが、3,000円+税でたっぷり60分のDVD映像つきの一見おトクなお値ごろ感。しかしながら、オマケのDVD映像はわりかしチープなつくりで、おトク感はすぐさましぼむのですが、むしろ音楽CD本体よりも求めるかせきがそこにあるような気がしないでもないです。
と、言いますのも、新作においては、かせき節と言える独特のラップ系歌いまわしが減少して、わりかし豪華なバンドサウンドをバックに歌うかせきがそこにいるのです。 「冬へと走り出そう、750ライダー、Shout to the Top!」と言ってる尻から「まだこたつの中なのです」と言ってた宅録オナニー野郎が、この13年の間にムケチン度をアップさせて帰ってきたかのようです。

くるり/TOWER OF MUSIC LOVER 2 スペシャルライブ
(ZEPP TOKYO)  
2011. 8. 12 (Fri.)

フジロックのくるりはリハーサルだけ拝聴したのでしたが、CDを買わないと入場券を買えない仕組みのライブコンサートに行って5人になったくるりを確かめてきました。
名曲「ブレーメン」からのオープニングで泡を吹かされたのですが、弦楽器のパートはラッパのお姉さんが吹きます。「シャツを洗えば」ではユーミンの歌とコーラスのところもラッパのお姉さん。全然悪くないのですが、この日の岸田は高音が出づらくて苦労していたこともあって、くるりのコピーバンドを見ているかのようでした。ちなみにトークの話題の中心は「蚊の種類」。
中盤、メンバーが一人変わるだけでがらりと趣が変わる名曲「ばらの花」がたいへん力強いことになってまして、さらに後半の楽曲にいくほど盛り上がって「ワンダーフォーゲル」で一部終演。
恒例物販紹介のコーナーと岸田ソロ弾き語り2曲をはさんだ後再結成、「ロックンロール」「東京」で大団円。
次回作以降のバンドサウンドに俄然期待が高まるのでした。

YMO/Chemical Brothers(FRF'11)  2011. 8. 11 (Thu.)

宵元気になったイースタンユースも見られて一息ついてグリーンステージにYMO登場。かなりアレンジが今風に難しくなってる気がしますが、全盛期のヒット曲を次々と繰り出されました。とは言え、歌入りはなし。曲間のトークもなく黙々とヒット曲を繰り出されてゆきます。
なんとなくコーネリアスのサポートギターがうるさいような気がしましたが、それも今風感を高める要因だったと思われます。 結局、一言もしゃべらず往年のヒット曲をひたすら奏でて終演。
その後、ケミカルブラザーズが出てきたのですが、ステージ脇のスクリーンに映し出されるのは楽曲にあわせて変化するCG映像で、楽器も演奏せず歌も歌わずただひたすら機器類を操作するだけなので本当に本人たちかどうかもわかりません。
それでも何万人ものお客を踊り狂わせますからたいしたものです。あるいは、この時間帯まで雨の中体力を温存させてるお客の方がたいしたものなのかもしれません。この事実と水戸黄門に時折出てくる偽黄門から、タイまで行った仏陀や全国にため池を掘りまくった空海も何人もいたことが察せられます。
ケミカル自体が3回目のわたくしは3曲目ぐらいで飽きて叉焼焼きそばを食べてから5人になったくるりのリハーサルを見て帰宅したのでした。
吉野

THE KILLS(FRF'11)  2011. 8. 10 (Wed.)

ぬかるみのグリーン今年は命懸けでも拝見拝聴したいバンドがなかったんで珍しくというか初めて「予習」してから行ったのでした。そのなかでとくにKIMONOS、デジタリズム、ザ・キルズといった打ち込みサウンドと生演奏・歌唱のバランスが半々前後の人々から勉強させてもらうというテーマを設定したのでした。
そんなわけで2日目の中心はザ・キルズ。最前列(付近)で楽しませてもらって気づいたのですが、歌のお姉さんはたまに弾くギターもかっこいいのですが、近くで見ると写真より不細工というかちょっと上沼恵美子が入ってると思いました。が、そんなことは関係なく、音数の少ない打ち込みサウンドにおけるカッコのつけ方を学ばせてもらえたような気がしています。
ぬかるみのホワイトこのあと、ギャングオブフォーをカバーするMO'SOME TONEBENDER(レッドマーキー)や震災復興に情熱を注ぐFEEDER(グリーンステージ)や復活のeastern youth(ホワイトステージ)をチラ見するほど動き回ったあと、打ち込みのないテクノ、YMOと生演奏も歌唱もないケミカルブラザースで終了。
ちなみに、オレンジコートのトイレは時間帯によっては2,30分を超える絶望的苦行の列ですが、ぬかるみを5分程歩いて会場最深部まで行くと、比較的平和なトイレの列に並ぶことができます。
トイレ

KIMONOS(FRF'11)  2011. 8. 9 (Tue.)

向井秀徳がサル顔のハイブリッド帰国子女の人と組むユニット。向井秀徳がZAZEN BOYSで音塊を紡ぎ出すモチーフが冷凍都市で繰り返される諸行無常にあり、あまねく地方都市や新宿渋谷でも東電OL殺人事件現場付近の気分だという感じがするのに対し、サル顔の帰国子女は六本木とか麻布とか同じいかがわしさでもバタ臭さが加味されたもの、という第一印象を持っていたのですが、果てしてどうか。
初めて拝見したライブステージは、向井がギター、サル顔がサンプラーとシンセサイザーという編成で両者座ったまま緊張感あふれるなか始まりました。まるで囲碁将棋の対局を見るかのようです。
が、なかなかどうして。求道者どうしのセッションしかも打ち込みで、という事態を見る側の凝視傾聴を逆手に取るように、演奏や発声の肉体性を徐々に高めてゆかれ、後半はドラムも交えて横揺れ縦揺れ縦横無尽にビートの渦を奏でてゆかれて大満足させてもらえました。
中途半端にハンサムなハイブリッドサル顔が我々世代にはジェリー藤尾を想起させてしまいがちなのですが、そこらへんは関係なく、今後に期待したいと思います。
このあと、そのままレッドマーキーに居座って足場を組むところから始まるデジタリズムのステージセッティングも見学して初日退散。
足場 蛍光灯 電光

WU LYF(FRF'11)  2011. 8. 3 (Wed.)

WU LYF演奏中のステージは写さないという約束を守ってきましたが、目の前でデジカメ撮影をしている客がいるではありませんか! 現場を押さえておかねばとあわてて撮影、あわよくばステージも写るかと思ったのですが、ご覧のように正体はさっぱりわかりません。せっかく覆面バンドWU LYFのステージだったのにもったいないことをしました。
それはさておき、CDを聴いて教会みたいなオルガンの音色は何とかしてほしく思っていたのですが、見てびっくり、リードボーカルの嗄れ声のおっさんが歌いながら弾いていたとはっ。バンドの中心人物が担当しているだけに何ともならない確率が高まってしまいました。
その売り出し方も含めて、パブリックイメージリミテッドやザ・ポップグループみたいな特異な存在となって30年後にサマソニに来たりするかもという期待を抱きつつ拝聴したのですが、残念ながらそういう可能性は小さいと感じました。

FUJI ROCK FESTIVAL '11  2011. 8. 2 (Tue.)

入場門記録的集中豪雨に見舞われた新潟県に行ってきました。
終日の豪雨を覚悟して30日(土)は午前の少年ナイフをあきらめて遅めに入場しました。が、昼過ぎからはまったく振らずじまい。
翌31日(日)は予報ではわりと好天らしく気合を入れて午前のリンゴデススターから見るつもりでしたが、会場付近は昨日以上の本降り。リンゴデススターをあきらめて小止みになってから入場しましたが、終日降ったりやんだりで完全に天気に振り回された2日間となりました。
そんなわけで恒例の飲食物の写真を撮る余裕は失われてしまいまして、下の2枚だけですがご容赦ください。
パエリア フィッシュ&チップス

Tower of Music Lover 2(くるり)  2011. 7. 24 (Sun.)

Tower of Music Loverくるり2枚目のベスト盤。去年出たB面集「僕の住んでいた街」とのかぶりは「かごの中のジョニー」だけなのですが、これは8枚目のLP「魂のゆくえ」にも入っていたので3枚揃ったことになります。
それはさておき、6枚目のLP「NIKKI」のあと、ベスト盤を出して2人のくるりになってからここ数年、西欧古典音楽や3拍子に向かったり、才能の行方を音符の多さに発露させたり、ポップに行きかけて途中でやめて足元を見つめなおした魂の遍歴が濃縮されて全14曲、2,800円+税。
初CD化も含まれる映画やテレビがらみの楽曲が多く、それらがたいがい地味で渋いつくりなので、いわゆるベスト盤という感じがあまりしません。昔あったビートルズの日本編集盤「Love Songs」みたいな渋い楽曲を集めたアンソロジーの趣で、ご家族みんなで楽しめることでしょう。

content(GANG OF FOUR)  2011. 7. 22 (Fri.)

1979年以前のギタリスト概念を完全に破壊するとともにパンクムーヴメントを完成して終焉せしめたギャングオブフォー約15年ぶりの新作。
来日公演とファーストアルバム「Entertainment!」中心のセルフカバー集の発表から早5,6年。いまだにその興奮さめやらぬなかの新作発表です。が、前のめりギターサウンドよりも2作目以降のファンク色豊かな楽曲に内省的で難解な歌詞が乗ってきて、81年にセカンドアルバム「Solid Gold」を聴いたときと同じそこはかとないがっかり感をちょうど30年ぶりに味わわせてもらうことになりました。
とは言え、こっちも齢を重ねてますし、ギャングオブフォーが源流と言っても過言ではないオルタナサウンドにも慣れてますゆえ、2作目以上に楽しませてもらってますというか、2作目の偉大さが今になってわかったような気がしてきました。

SNOOZER廃刊  2011. 7. 9 (Sat.)

田中宗一郎編集長による力入り過ぎロック誌SNOOZERがとうとう廃刊になってしまいました。
これまでに3冊か4冊ぐらいしか買ったことがないのですが、力入り過ぎで目方が重かったから買い控えてしまったような気もします。が、10冊ぐらい買ったことがあるBUZZがなくなったときよりも数百倍惜しまれるのは、その力の入り過ぎ具合によるものと思います。

DENKI GROOVE GOLDEN HITS
Due To Contract(電気グルーヴ)   
2011. 5. 20 (Fri.)

J-POPでハンサム化した後はCDも買わずにいた電気グルーヴのベスト盤を結局のところ我慢しきれず購入しました。
ベスト盤ということなのですが、何が入っているのかも確かめずに購入。裏ジャケットに曲目が書かれているのですが、老眼では読めません。今日び携帯とかで調べればすぐにわかるだろうという意見もあろうかと思いますが、パケット代はきっちり取られる契約なので、野球の途中経過をどうしても知りたいときをのぞいておいそれとは使えません。
結局のところ、93年の名曲「N.O.」からあとの楽曲で構成されていまして、まりんのリマスターのせいかヴォーカルオフ気味(とくに瀧)に聞こえましたが気のせいかもしれません。最初期とか人生を髣髴とさせるハイテンション系は2曲ぐらいで大人の電気グルーヴ集大成という感があります。
ギターなしのalbum(J−POP)mixミックスしか持ってなかった「少年ヤング」のmovie(グミ・チョコレート・パイン)mixを聴けたんで買った値打ちがあってよかったです。

ヘイト船長回顧録 In Retrospect(Keiichi Suzuki)
  
2011. 5. 12 (Thu.)

曽我部恵一プロデュース鈴木慶一ソロ「Captain HATE & First Mate LOVE」シリーズ三部作完結編。
土の中から発見されたヘイト船長のテープをラブ航海士の高度な技術で復元、復刻されたという設定なのですが随所にアナログ盤のノイズが入っています。
プロローグを経て押し売りに恐怖する歌からボニージャックスの男声合唱で終わる10曲がHorbour-sideで、物語は混迷を極めます。City-sideと題された後半の6曲で多少戦後の羽田で育ったミュージシャンの回顧録がおぼろげに浮かび上がるのですが、何かをつかめそうでつかめないもどかしさに鑑賞者をして身を震わせしめます。そしてそこから汲み取るものがあるとしたら、歌を作ってる方も同じだということではなかろうかと思い至ったのでありました。

言葉にならへん、笑顔を見せてくれや
(くるり@日本武道館)  
2011. 3. 10 (Thu.)

武道館昨日書いてから寝て起きて気づいたのですが、新作楽曲の合間に奏でられた名作にロシア民謡もどきな「ハヴェルカ」がありました。タテノリロックサウンド「青い空」から欧州近世「ブレーメン」まで幅広く多系統な楽曲の数々を違和感ないバンドサウンドにまとめられていて改めてすごみを堪能させてもらえたなぁという感慨を新たにしております。
新作にあった「東京レレレのレ」ですが、盆踊り音頭のリズムに沖縄旋律と日本民謡和声が乗っててベースが「カムトゥギャザー」。一時期音符が多彩すぎてその才能の行方を不安視していたのですが、まったくいい方向に深めてらっしゃると賛辞を惜しみません。
で、武道館公演ですが、アンコール後はコーラス隊やピアノやパーカッションのゲストを迎えて、最近取り組まれた映画音楽の主題歌の他「ハイウェイ」「ばらの花」といった斉唱系の楽曲でぬるま湯っぽくまとめられ、すっかりいい気持ちになったところで眠たい新曲でうとうとさせられてお開き。

言葉にならしまへん、笑顔を見しとくれやしておくれやしてごめんやしておくれやす(くるり@日本武道館)
  
2011. 3. 9 (Wed.)

武道館くるり第4回日本武道館公演。題して「ニューアルバム発売記念ツアー 〜言葉にならしまへん、笑顔を見しとくれやしまへんやろか〜 ファイナル」ということで、最新作「言葉にならない、笑顔をみせてくれよ」を中心にした楽曲構成とは予想されましたが、結局のところ「シャツを洗えば」と「石、転がっといたらええやん」はやらずじまい。
ドラムはここんとこずっと一緒にやってる笑い飯西田と同じヒゲとヘアスタイルの人でギターはフジファブリックの人。
名曲「ワンダーフォーゲル」「Morning Paper」「ブレーメン」「飴色の部屋」「青い空」などを織り交ぜながら4人だけのアンサンブルで新作の楽曲を奏でられてゆきました。
でかいステージは、吉田戦車画伯の絵入り幟と行灯で囲まれ、程よく狭くしつつ時折行灯に灯が入ったりして高級温泉旅館の情緒を漂わせて日本武道館ぬるま湯計画が進行していったのでした。さらに終盤には篝火のなか新作から「イヨマンテの夜」に似た「FIRE」という楽曲。
ところでオープニングは歌詞に出てくる神田御茶ノ水水道橋に近い武道館公演だけに「東京レレレのレ」だと予想していたのでした。が、さにあらず。新作のオープニングと同じ「無題」でスタートしていたのでしたが「武道館でとくにやりたかった」と岸田が言ってから「東京レレレのレ」をやってから「ロックンロール」で第1部終演。(つづく)

つまんね(神聖かまってちゃん)  2011. 2. 28 (Mon.)

神聖かまってちゃん2枚同時発売のメジャーの方。ワーナーミュージックジャパンの力を借りたか、シンセ、打ち込み多用で太く分厚い音作りに成功しています。ライブでこの音を出せたら万人単位の熱狂を生み出すことでしょう。
が、しかし。そのサウンドに不似合いな毒人間による歌を聴くには精神的体力もしくはある種の鈍感を要します。感染しかねない内向きの毒気が充満してますから、どちらか1枚に絞るなら「みんな死ね」の方を推奨いたします。

みんな死ね(神聖かまってちゃん)  2011. 2. 27 (Sun.)

神聖かまってちゃん2枚同時発売のインディーズの方。アッパーな楽曲中心でちょくちょく音程度外視的なボーカルスタイルからはちゃめちゃ感が溢れて漂いますが、糞みたいな楽曲中心の現代にあってパンキッシュに聴衆にグサグサ刺しこむにはこれしかなかろうという不思議な説得力が成立しています。
はちゃめちゃの中にも名曲の輝きはそこここに感じさせられ、この勢いのまま歌や演奏がうまくなっても結構かと期待します。
前作「友だちを殺してまで。」よりかは若干歌詞の共感度が下がりはしましたが、世代の相違として許容できる範囲内で抑鬱男子は老いも若きも通じ合うことでしょう。

ピクレル・ジュラとガリレイサークル  2011. 1. 10 (Mon.)

ピクレル・ジュラとガリレイサークル宇宙ダコ(ソロ)、男のマロンズ(バンド)などでたびたび当欄でご紹介した宇宙ダコが表題のバンド活動開始、ということで高円寺ペンギンハウスで拝聴してまいりました。
いろんな方面の呂律が回りなくなりつつあるおっさん2名を若者2名のリズムが支える編成。レゲエも含む多様なスタイルを空元気で熱唱する中年オルタナ。男のマロンズ時代でおっさん道を極めたおっさん達が色気を増して帰ってきました。初老の魅力に磨きがかかるか、単に気色悪くなっていまうのか、これからが楽しみです。

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