音楽日報'15
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輝け! イマケイレコード大賞2015  2015. 12. 27 (Sun.)

今年もやってまいりました! 年末恒例のレコード大賞です。なけなしのお小遣いをはたいて購入した数少ないCDのなかからの選出なのですが、いちばんよく聴いたということで昔のものの再発売モノしかもベスト盤に大賞を差し上げてしまうことになりました。一応昔のものより大名曲「Seagull」含む2曲追加されての再発売です。
国内からは2枚出したキュウソネコカミがダブル受賞です。

■レコード大賞(欧州)
OX4_ The Best of (RIDE)

■レコード大賞(国内)
人生はまだまだ続く (キュウソネコカミ)

■最優秀新人レコード大賞
該当作品なし

■審査員特別功労賞
CITIZEN ZOMBIE (THE POP GROUP)
ハッピーポンコツランド (キュウソネコカミ)
SATURNS PATTERN (Paul Weller)
Music Complete: (New Order)

■買ってがっかりさせられたレコード大賞
WHAT HAPPENS NEXT (GANG OF FOUR)

■買うのを我慢して(たぶん)正解だったレコード大賞
LITTLE VICTORIES (THE STRYPES)

電気グルーヴ THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-
  
2015. 12. 26 (Sat.)

電気グルーヴ25年の歩みを振り返る伝記映画。税込1,800円で2週間限定上映。新宿の映画館では併設されてるカフェが期間限定でカフェ de 鬼として営業されてますが、歌詞で歌われるほど特段量が多いわけではありません。
去年のフジロックの演奏を要所要所にはさみつつ、過去のライブ映像とメンバー以外の人のインタビューで構成されています。インタビューに登場するのは多彩なメンバーですが、いちばんたくさん出てくるのは元メンバーであるまりん。まりん登場時間を10とすると、2番目に出てくる道下マネージャーか元メンバーのCMJKが2か3ぐらい。よって、主にまりんによって語られる電気グルーヴストーリーと言えるかもしれません。
が、しかし、物語を引っ張るのは英語ナレーション。日本語ではなく英語。よく思いついたと思います。大量の情報を英語ナレーションによって伝えることに成功しているのですが、字幕を読むのに如何ともし難いものを感じたと言わざるをえません。
とはいえ、ギャグを散りばめるような活動歴から終始笑顔を絶やさず鑑賞させてもらえたというか、様々な種類の笑いが湧き出る約2時間。
ストーリー的には初期の大進撃からLP「VITAMIN」での大変化と名曲「NO」をアルバムに入れるかどうかの確執、LP「オレンジ」期と「VOXXX」後期の迷走・低迷期と名曲「シャングリラ」や07年フジロックなどからの低迷克服という起伏が浮き彫りになるドラマチックな物語にうまくまとめられています。が、その流れに位置づけづらい「FLASH PAPA MENTHOLE」「ドリル王アンソロジー」といった企画盤と名曲「Nothing Gonna Change」が出てこなかったのが惜しまれたのでした。

人生はまだまだ続く(キュウソネコカミ)  2015. 12. 14 (Mon.)

人生はまだまだ続くメジャー契約後矢継ぎ早に2枚のミニLPを発売したキュウソが、2枚目出してまだ1年も経ってないのに、稼げる間に稼いどく勢いで世に問うフルLP12曲入り。DVD付はたしか700円ほど高くて3,400円+税。
先にDVDの方を見てしまったのですが、今回は副音声の雑談を後回しにして清水音泉主催フェスでトリを務められたときのライブ映像を楽しませてもらいました。また、笑かせてもらいました。ライブ映像からもうかがわれるのですが客の笑顔の多さにおいて抜きん出た存在として特筆に価するバンドといえましょう。
DVD本編のあとにおまけの舞台裏ドキュメント映像が続くのですが、これが数十分たっぷりあるものの、こちらも存分に笑えるつくりとなっています。
そんなわけで昔風に言うところのコミックバンド的認知が高まりつつあるのかもしれませんが、楽曲は本気。世に出る訴求ポイントだったディスり芸は影を潜め、本作では1曲やぶ医者に向けられたものだけに絞られています。
その他、ガラスのハートを持つポンコツ人間の共感を募る真心の叫びを様々なJ-POPの技法に乗せて投げかけてこられて、楽しく悲哀を程よくノリノリで聴ける楽曲群に仕上がりました。さらに客の叫びどころを要所要所にちりばめられています。ライブ演奏を意識した曲作りにも程よいあざとさと真摯なリスナー志向を感じることができます。

CROSSBEAT Special Edition NEW ORDER
  
2015. 11. 30 (Mon.)

NEW ORDER新作発表にあわせて発刊のディスコグラフィー&インタビュー集。ニューオーダーに加え前身のジョイディヴィジョンの歴史がわかる全160ページ、一部4色刷で1,500円+税。
先日ご紹介したポールウェラー師のものは192ページで1,600円でしたから割高感は否めません。表紙のPP加工の有無、4色ページの割合、フォントの大きさや行間などからしても実質的な内容は6割ぐらいでしょうか。
ウェラー師が77年のパンクムーブメントから、ジョイディヴィジョンがポストパンク期の79年からで年数にすると3年しか違わないのにこのていたらくなのがニューオーダーのニューオーダーたる所以の一端といえるかもしれません。
それはさておき数多の名曲を生み出しておられるニューオーダーですが、これといった傑作LPがありません。よってシングルのバンドあるいはベスト盤のバンドと呼ばれるのですが、その理由が過去のインタビューから判明しました。21世紀になるまでのレコーディングは酒や薬でへべれけになった状態で夜間に行われてたそうです。
真面目にレコーディングするようになったのは最近のことのようで、しかも今年出た最新作ではいちばんへべれけになりそうなベースのヒゲが抜けてたんで、ようやくにしてちゃんと作ったLPができたのだと思われます。

The Who Live in Hyde Park  2015. 11. 26 (Thu.)

The Who結成50周年で何をやるかというと「働かせられまくっている」とピートタウンシェンドがぼやく50周年記念コンサートツアーの締めくくり、ハイドパーク公演が映画になって劇場公開。22時前上映開始、24時頃終演という悪条件でしたが映画館で見てきました。映画としては割高感が否めない2,200円。
冒頭イギーポップ(シャツ着用)のザ・フー賛辞説教からスタート。インタビューに答えるロバートプラント、ジョニーマー、ステレオフォニックスの人らが語る賛辞を聞きながらハイドパークに集まるロンドンチックな老若男女が映し出され、いよいよザー・フー登場です。
オープニング定番の「I Can't Explain」から2回の日本公演で拝見したのと概ね同じ名曲群が19曲。
ライブ演奏を聴くのは初めての「Pictures of Lily(邦題;リリーの面影)」は、The Jamでのモッズリバイバルブームで再びThe Whoを一線に引っ張り出し、ソロになってもモッズなポールウェラー師への賛辞とともにポールウェラーのリクエストに応えての久々の演奏だとタウンシェンドが紹介してから演奏が始まります。少年が父親にもらったエロ本に載ってるリリーというモデルのグラビアに慰められるけれども、実物に会いたくなって調べてみたらとっくの昔に死んでたという切ない青春ソングなのですが、演奏中大型ビジョンに映し出されるのはキースムーンの女装下着写真
冒頭に紹介した4人のミュージシャンと2人の生き残りのインタビューを随所に挟みながら演奏の模様が伝えられるのですが、あんまりいいコメントがとれなかったのか?バックステージに招待されたらしいウェラー師も一言約2秒だけ登場。
終盤はキースムーンの愛弟子にして後釜、さらにリンゴスターの子でもあるザックスターキーのキースムーンばりのドラミングにフォーカスされる「Amazing Journey(邦題:すてきな旅行)」から始まる名作ロックオペラ「Tommy」からの楽曲で盛り上げ、「Won't Get Fooled Again(邦題;無法の世界)」で大団円。
NO songs LP
1 I Can't Explain single(1964)
2 Who Are You 8th "Who Are You"(1978)
3 The Kids Are Alright 1st "My Generation"(1965)
4 Pictures of Lily
(リリーの面影)
single(1967)
5 I Can See foe Miles
(恋のマジックアイ)
3rd "The Who Sell Out"(1967)
6 My Generation 1st "My Generation"(1965)
7 Behind Blue Eyes 5th "Who's Next;(1971)
8 Bargain 5th "Who's Next;(1971)
9 Join Together single(1972)
10 You Better You Bet 9th "Face Dances"(1981)
11 I'm One
(ぼくは一人)
6th "Quadrophenia(四重人格)"(1973)
12 Love, Reign O'er Me
(愛の支配)
6th "Quadrophenia(四重人格)"(1973)
13 Eminence Front 10th "It's Hard"(1982)
14 Amazing Journey
(すてきな旅行)
4th "Tommy"(1969)
15 Sparks 4th "Tommy"(1969)
16 Pinball Wizard
(ピンボールの魔術師)
4th "Tommy"(1969)
17 See Me, Feel Me single edit from 4th "Tommy"(1969)
18 Baba O'Riley 5th "Who's Next"(1971)
19 Won't Get Fooled Again
(無法の世界)
5th "Who's Next"(1971)


Music Complete: New Order  2015. 10. 31 (Sat.)

Music Complete: New Orderベースのヒゲが抜けキーボードのお姉さんが復帰してのニューオーダー約10年ぶりの最新作。
ダンサブルなアルバムという前評判に反する1曲目「Restress」はアコギストロークをベースにする前作同様のポップチューンですが、2曲目から様相は一転します。
ジョイディヴィジョンばりの不穏なイントロの途中からシーケンスサウンドがかぶさり、ハードに機械化されたジョイデヴィジョンの味わいでドサ回りミュージシャンの悲哀を歌う2曲目。3曲目では93年のヒット曲「World」みたいな女声コーラスとのかけあいから、間奏ではベースのヒゲにあてつけるような高音ベースがワンフレーズ。
徐々にテクノ色が高まり、89年のヒット曲「Fine Time」みたいな低音ボイスから始まる4曲目では2005年のヒット曲「Jetstream」みたいな女声ボーカルのからみが高揚感をますます高めます。5曲目も女声コーラスべた貼りのもろダンスナンバー。ヒゲがいたら実現しなかったかもしれない小刻みベースが効いてます。

ここまでノリノリできて6曲目で様相一変。ジョイディヴィジョンなギター音をバックにイギーポップによる(たぶん上半身裸での)詩の朗読。
怪奇コーナーをはさんだ後は1曲目以来再びギターポップ寄りの7曲目。 高音ベースが出てきそうな間奏では音符の少ないギターソロ。終盤ではこれまたジョイディヴィジョンなギターソロが出てきたかと思うとフェードアウト。ソニックユースで聞き覚えのある間奏をはさむ8曲目を経てテクノに戻る9曲目、大曲風の10曲目あたりは疲れてきたのかヴォーカルに元気が不足してるように聞こえるのですが、聴く方も歳とってるからかもしれません。
最終11曲目はワム!が歌いそうな腑抜けポップナンバーをゲストヴォーカルに高らかに歌い上げさせる「らしくない」楽曲で終演。

以上のようにこれまでのキャリアの集大成のようなところに若者や客演の力を借りての現代性付与。シングルのバンドとされてきたニューオーダーがアルバムも立派に通しで作れるようになる環境にテクノロジーの発達を感じることができる1枚とあいなりました。


PAUL WELLER Japan Tour 2015(横浜ベイホール)
  
2015. 10. 24 (Sat.)

ライブコンサートでどんな楽曲をどんな順番でやったかとかいつもうろ覚えですが、今は集客5,6百人の公演でもレビューや演目が読める時代。参考にさせてもらいました。
リンク先がいつ切れるかわかりませんし、セットリストの楽曲の収録LPがわからないので、先日ご紹介した本も参考に記録しておきたいと思います。

NO songs LP
1 Come On/Let's Go PW 8th "As Is Now"(2005)
2 I'm Where I Should Be PW 12th "Saturns Pattern"(2015)
3 Long Time PW 12th "Saturns Pattern"(2015)
4 White Sky PW 12th "Saturns Pattern"(2015)
5 Boy about Town Jam 5th "Sound Affects"(1980)
6 Up in Suze's Room PW 4th "Heavy Soul"(1997)
7 My Ever Changing Moods TSC 2nd "Cafe Bleu"(1984)
8 Have You Ever Had It Blue TSC film"Absolute Beginners"(1986)
9 Saturns Pattern PW 12th "Saturns Pattern"(2015)
10 Going My Way PW 12th "Saturns Pattern"(2015)
11 Into Tomorrow PW 1st "Paul Weller"(1992)
12 Above the Clouds PW 1st "Paul Weller"(1992)
13 Paperchase PW 11th "Sonik Kiccks"(2012)
14 Long Hot Summer TSC 1st "Introducing"(1983)
15 Starlite PW single(2011)
16 Friday Street PW 4th "Heavy Soul"(1997)
17 Porcelain Gods PW 3rd "Stanley Road"(1995)
18 Peacock Suit PW 4th "Heavy Soul"(1997)
19 Start! Jam 5th "Sound Affects"(1980)
  encore
e1 Pick It Up PW 12th "Saturns Pattern"(2015)
e2 These City Streets PW 12th "Saturns Pattern"(2015)
e3 Ghosts Jam 6th "The Gift"(1982)
e4 Be Happy Children PW 11th "Sonik Kiccks"(2012)
  encore
e5 The Changing Man PW 3rd "Stanley Road"(1995)
e6 In the Crowd Jam 3rd "All Mod Cons"(1978)
e7 From the Floorboard up PW 8th "As Is Now"(2005)
e8 Town Called Mallice Jam 6th "The Gift"(1982)


PAUL WELLER Japan Tour 2015(横浜ベイホール)
  
2015. 10. 23 (Fri.)

昨日からひと晩考えたのですが、The JAMのコンサートは本編1時間あるかないかだったと思うのですよ。基本的に新作と1個前のLPからしかやらないし長い楽曲もあまりありません。アンコール加えても1時間半程度。今回の横浜公演を熱演だと感じたのは、ステージおよび会場の狭苦しさだけでなくみっちり2時間超に長い楽曲も加えて30有余年に及ぶ活動歴から概ねヒットパレードな演奏をだれることなく濃密に繰り広げられたからだと思われます。

たぶん5,6年前の前々回の来日公演から同じ6人メンバーで登場。オープニングは軽快なポップナンバー「Come On/Let's Go」だったのですが、2曲目から4曲目は新作から。8ビート2コードでおしまくる「Long Time」やノイズもヘヴィな「White Sky」。ベテランにありがちな新作で静かになるということもまったくありません。そして驚いたことにThe Jam5枚目「Sound Affects」に入ってる2分弱の短いカリプソポップ「Boy About Town」。
今回ヒットパレードな演奏と申し上げましたが、決しておなじみのヒット曲ばかりというわけでなくコアなファンでも何十年ぶりに聴くという珍しい楽曲も放り込んでくるところがウェラー師のウェラー師たるゆえんと言えます。
スタイルカウンシルからは最近は定番になってる「My Ever Changing Moods」に続いてこれまた珍しい「Have You Ever Had It Bleu」。
日本から売れたソロ第1作「Into Tomorrow」の前には、あまり聞き取れませんでしたが謝辞的な思い出話があって、エレピのコーナーも軽快なパーカッションが効いてる「Above the Clouds」や今風バンドサウンドに仕立てられた「Long Hot Summer」などで休憩の余裕を与えてもらえません。
終盤はソロ最大ヒット曲「Peacock Suit」で盛り上げておいてから、これまたジャム5枚目「Sound Affects」からタックスマンのベースラインでおなじみの「Staet !」で終演。

アンコールというのに新作から2曲放り込んでおいて、さらにジャムのラストアルバム「Gift」から「Ghosts」という渋いのを放り込んでこられたと思ったら、さらに1作前「Sonik Kicks」の渋い楽曲「Be Happy Children」にレコードでも参加していた娘さんと息子さんがコーラスなどで参加というびっくり企画で終演。
さらにソロ最大のヒット曲のひとつ「The Changing Man」で始められた2回目のアンコールではジャムの3枚目「All Mod Cons」から「In the Crowd」をアバンギャルドに演奏なさって最終的に「Town Called Mallice」を皆で大合唱して大団円。ぎっくり腰以来の腰の違和感も吹っ飛ぶ汗だく熱狂の2時間半でありました。(つづく)


PAUL WELLER Japan Tour 2015(横浜ベイホール)
  
2015. 10. 22 (Thu.)

横浜ベイホールウェラー師約3年ぶりの来日公演。前回か前々回から8,000円になった入場料でしたが、今回も円安不況下にあっても据え置きの8,000円、ドリンク代別500円。
客の大半が40代50代のおっさん&おばはんになりましたが、会場はオールスタンディングの横浜ベイホール。ZEPP ダイバシティでもあったのですが、そっちは平日で前回卒倒する人が続出(2名)したんで迷わず横浜公演を選びました。
The JAM in Kyoto初めて行って驚いたことにベイエリアとはいえ80年代以降の再開発地域ではなく、みなとみらいからもはずれた倉庫街。まさに廃倉庫を改装しただけのホールでした。
しかも500人余りで超満員の小ホール。入場料8,000円とはいえ、godfather of mods をこんなとこに呼んでいいのか?という思いは禁じえませんでしたが、逆にこれが功を奏する熱演を呼んだのでした。
The JAM初来日公演の追加公演の京都会館第2ホールも満員にはならず、数少ない客が全員ステージに押し寄せて盛り上げてましたが、この日ほどの熱演ではなかったと記憶しています。(つづく)


CROSSBEAT Special Edition ポール・ウェラー
DISCOGRAPHICAL CHRONOLOGY 1977-2015
(シンコーミュージック)
  2015. 10. 21 (Wed.)

1977-2015 PAUL WELLER全192ページ、A5判前半4色刷(後半は1色刷)のポールウェラー師作品クロニクルの決定版。本体1,600円+税。
巻頭カラー(口絵)のあとは、THE JAM 1977-1982、THE STYLE COUNCIL 1983-1989、PAUL WELLER 1990-2015に加え、80年以降9本のインタビュー集という四部構成。
21世紀以降、レアリティーズ盤やらBBCライブ盤やらデラックスエディションが発売されまくって、こっちも何を持ってて何を聴いたことないかがわからなくなりつつありますが、これ1冊あれば心配ありません。
パンクムーブメントが終わる頃からリアルタイムの音楽を聴き始めて三十有余年、つねに新たなモダンミュージックを提供し続けてくださっているミュージシャンはウェラー師のほかに思い当たりません。それをウェラー師は「モダニズム」と称されるのですが、モダニズムを追い求めて変革しても変わらぬ魂が聴くものの魂を揺さぶり続けるのだと得心させられる全192ページ。

THE BEST OF BLUE NOTE (45CUTS FROM MILES DAVIS/THELONIOUS MONK/CHARLIE PARKER/JOHN COLTRANE/MANY MORE...)
  
2015. 8. 31 (Mon.)

ジャズはわかりませんし、わかるまで聴きまくるには残された人生のすべてを捧げる覚悟が必要ですし、そんな気は毛頭ありません。
同様のお考えの方も大勢おいでのことと思いますが、そのような方々もなんか聞きたくなるときがあったりして、結果、ソニークラークのクールストラッティンだけが売れまくり、これだけ持ってるという方も大勢おいでのことと思います。
ハナコ
the Best of Blie Noteそんな皆さんの2枚目としてオススメできるのが、表題作。よくわからない外国の会社による編集盤3枚組を誰かが輸入販売されてるようなのですが、タワーレコードで1,500円だったか1,800円だったかのお値ごろ価格で販売されてたので、購入してみました。
収録曲がどういうものなのか、その値打ちはよくわからないのですが、自室がジャズ喫茶になります。

Fuji Rock Festival '15 3日目後半  2015. 8. 3 (Mon.)

グリーンステージ澤部をチラ見して戻ったグリーンステージで真面目に拝聴するつもりだったJOHNNY MARRでしたが、途中で転寝して昼までの疲労回復。次の椎名林檎は前の方でかぶりつこうかとも思ったのですが、夜に備えて体力温存して正解でした。
ビッグバンドのゴージャス歌謡ショウを見せつけてくださる椎名林檎に興味関心はありません。また最前列ではジャズ調のノリづらい楽曲のリズムに少しずれながら旭日旗風のダサい旗を振る客とかいるんで途中から昼寝モードに切替えて時間を過ごしました。NHKでサッカーやるときにかかる楽曲では日章旗を振る輩も現れましたが、あの歌を聴くたびに前のスーパーフライの方がよかったのにと常々感じているのですが、一層その思いを強くしました。

日が暮れてきてRIDE登場に備えて最前列(付近)へ。全盛期は前髪で顔の半分を隠していたマーク・ガードナーの前髪はどこへ行ったのか?代わりに帽子で顔の上部を隠しておられましたが、歌声は変わらず。ギターのアンディ・ベルは本番になるとリハの倍ぐらいヴォリュームを上げるタイプ。終盤に向かうほどさらにヴォリュームが上がっていったような気もします。
この2人を同時に見られるよう、ベースの人がいる右サイドから見たのですが、ベースの人は最後まで存在感なく黙々と演奏されていました。
それはさておき、概ね重たいノイズフルな楽曲とギターポップが交互に出てくる構成で存分に楽しませてもらい、最後の楽曲「Drive blind」では轟音ノイズコーナー増量。数分間にわたって山間部にこだまする轟音ギターノイズで軽度の脳震盪みたいな感覚を味わわさせてもらって終演。そのまま例によって「ギャラガー兄? 何それ」の態で帰路が混む前に帰宅。

Fuji Rock Festival '15 3日目前半  2015. 8. 1 (Sat.)

ホワイトステージ好天で向かえた3日目はホワイトステージのXTARANGO(チャレンゴ)から。カタルーニャを拠点にジプシー音楽とキューバ音楽をやるというふれこみだったのですが、ライブ仕様か?スカ多目で疲れました。
昼間に定番のフィッシュ&チップス800円をおいしくいただいてからレッドマーキーのキュウソネコカミ。 リハーサルの最後を「本気リハ」ということでインディーズ時代の代表曲の一つ「良いDJ」で締めくくられて会場おお盛り上がりの10分後に再登場(本編では「良いDJ」やらずじまい)。
「ビビった」「GALAXY」とメジャーデビュー後のヒット曲に続いて、"Smartphone is my organ,"とその日本語訳の唱和を促されてからインディーズ期の代表曲の一つ「ファントムヴァイブレーション」。わたくしが好むバンドはすべて客に唱和や手足の動かすボディアクションを強要しないのですが、キュウソだけは例外。中盤に和太鼓リズムになる「KMDT25」では会場に盆踊りの輪状形成を求めるなどされました。が、客だけにパフォーマンスを求めるわけではなく、アヒルの巨大浮き輪に乗って客上に繰り出したりして盛り上げに必死。
終盤カメハメ波連発から最後はメンバーが持つ「筋斗雲」と書かれた板に乗って退場してゆかれました。

熱気のこもるレッドマーキーでの灼熱ライブでへとへとにされた後、モヒート1杯飲んで景気付けしてからグリーンステージに戻るところでハライチの澤部とすれ違いました。

Fuji Rock Festival '15 2日目  2015. 7. 30 (Thu.)

グリムスパンキー初日の日中にそぼ降ってた小雨も雲も消えた2日目は早朝(10時50分)のグリムスパンキーから。和製ジャニスジョップリンが歌うのですが、ジャニスジョップリンの名曲をカバーしたり映画タイアップの新曲がJ-POPだったりで若干残念なところがありましたが、和製ジャニスはリハを仕切るわ、全曲ギターを弾くわでカッコよさにおいては若いのに抜群でした。

ポーク丼昼間は上原ひろみのジャズピアノで心地よく転寝ののち、アヴァロンフィールドに出店していた沖縄料理店のポーク丼たしか700円。わたくし好みのスパムみたいなやつと目玉焼きの丼でもちろんおいしくいただいたのですが、腹六分目。値段からしてポーク2枚載せてもらえたらよかったのにと少し残念でした。
フィールドオブヘヴンでハンバートハンバートというせっかくの音楽の才能をもったいなく軽い音楽になさってる小洒落カフェ系で残念な2人組をチラ見して、グリーンステージの星野源
トークにしか期待してなかったのですが、トークはイマイチで残念な思いをしていたところにニセ明が登場して「君は薔薇より美しい」で大挽回。

ここで荷物をまとめていったん自動車に積み込んでゲート外で1,200円を奮発して湯沢東映ホテルが出店するステーキ屋で和牛やきにく丼。思い出すだけでよだれが出てくる和牛やきにく丼をおいしくいただいてからレッドマーキーに戻ってHAPPY MONDAYS
和牛焼き肉丼Happy Mondays

HAPPY MONDAYSを見るのは3回目(全部苗場)ですが、小さいステージだったからでしょうか、今まで一番ショーンライダーが上機嫌でたくさんしゃべってました。ベズには寄る年波、袖に引っ込んでる時間が長かったです。
レッドマーキー

グリーンステージではMUSEが始まってましたが、例によって「何それ?」の態で寄宿。

Fuji Rock Festival '15 初日  2015. 7. 29 (Wed.)

今年こそは食べ物の写真を撮るのをやめようと思っていたのですが、新たにチャレンジしてみて旨かったものを記録せずにはいられませんでした。

最初にいただいのがフィールドオブヘヴンの自然食な感じのパン屋さんで300円のパン(とビール)。みかんの皮とナッツが入ったやつで昼飯前の腹ごしらえをすませたところでちゃらんぽらんたん登場。
パン
ちゃらんぽらんたん 一昨年のゴジラ・放射能・ヒカシューに客演なさってたときには何者か得体が知れませんでしたが、その後の活躍はご高承の通り。レトロモダン歌謡だけでなく、ラッパを活かしたロックな演奏も交えられ、ベイシティローラーズの往年の名作サタディナイトのカバーで「外でない」と歌うひきこもりの歌などをご披露。お姉さんの一貫した辛口トークも聞き応えがあり、終盤では妹さんの辛口本性も垣間見ることができました。
下画像はステージ撮影可の時間帯に撮らせていただいたものです。

ラムチョップスペシャル妹さんが動く時間帯に撮られてしまう画像は可愛く写らないとのことで、動きの少ない楽曲の間のみのサービスタイムでした。
ちゃらんぽらんたん終演後はそのままヘヴンに居座って去年ラムチョップだけをいただいた店で店の名を冠するなんとかスペシャルを1,200円の大枚をはたいて頂戴しました。

レッドマーキーたいへん残念なことにラムの臓物ホルモンの煮込みが紛れ込んでいたのですが、そこらへんは同行者に振舞っておいしくいただきました。
昼食後は、寝転がりながらOWL CITYを拝聴して、雨の中Tシャツ売り場に1時間弱並んだのですがRIDEの波Tシャツは売り切れでうちひしがれましたが、レッドマーキーのASHでほどほどに盛り上がればもう夕食の時間。
去年か一昨年もいただいたキーマカレーライスをおいしくいただきました。
最後にMOTORHEADの爺ロック終盤を見て「フーファイターズ何それ?」の態で寄宿。

OX4_ The Best of (RIDE)  2015. 7. 15 (Wed.)

OX4_ The Best of RIDEライド再結成でベスト盤が再発売。輸入盤を持ってるのに2曲追加の日本盤が1,800円+税のお買い得価格だったのでこっちも買ってしまいました。
フィルイン多目のドラム、柔な歌声でつむがれる息の長いメロディ、ちょっとずつ変わってく90年代残響エフェクト効いたギターリフ、そこにまぶさるノイズで容易には曲調の全貌が把握できないまま、気になって何度も聴き返してしまう楽曲のオンパレード。そこらへん、ノイズ除くと単調なシューゲイズサウンドとは一線を画すと思います。また、短い全盛期とあいまって聴くものに繊細ナイーヴを呼び覚まさせしめる逸品。

SATURNS PATTERN (Paul Weller)  2015. 6. 29 (Mon.)

saturns pattern去年ベスト盤が出ていよいよ半隠居かと心配されたウェラー師でしたが、新レーベルに移籍契約してさっそくの一発目。DVD付の日本盤は3,124円+税。
ホワイトアルバム化した「22 DREAMS」から「WAKE UP THE NATION」「SONIK KICKS」と続くここ最近の3作の流れの上に位置づけられるモダン志向のプチサイケフレーバーに特色づけられる楽曲が枢要をなしている点は変わらぬまま、ニューウェーヴな楽曲がぐっと減りました。その結果、楽曲数が9曲にぐっと絞られてて的が絞られてきたぞという1枚に仕上がったと言えましょう。
DVDのインタビューなどで盛んにideaという語を口にされているのですが、いまだ衰えぬideaの数々。培った枠にはまらないところがウェラー師のウェラー師たるところなのですが、あふれる思いつきを具現化するのに共同プロデューサーと機械の力を活用してこれまで以上に楽曲の完成度を高めておられます。よって、「22 DREAMS」のときには22曲もあった収録曲が9曲に絞られたと考えられるのです。
蛇足ならがフェイドアウトで終わる楽曲が9曲中6曲。終わり方にもいいideaが思い浮かんだらよかったのに、という気がしないでもないです。

KABLAMMO! (ASH)  2015. 6. 15 (Mon.)

KABLAMMO!数年前に「もうLPは作らない」と言っていたASHの最新LP。先行発売の日本盤はボーナストラック4曲のおまけ付で2,300円+税。
LPを作ってない間も怒涛のシングル配信でそのまとめが前作LP「A - Z]だったのですが、本作も前作同様のパワーポップ集。が、4,5曲に1曲程度ならば休憩として聴けるしみじみ聴かせる系の楽曲がやや多めなのが残念。ご本人たちは原点回帰と言い張るだろうバンドサウンドはいいのですが、しみじみ系はなんか足してもらいたく思いました。

ハッピーポンコツランド(キュウソネコカミ)  2015. 5. 30 (Fri.)

ハッピーポンコツランドキュウソネコカミ、メジャー2作目のミニLPが1,800円+税で絶賛発売中。
何を目指したか?テレビのタイアップを勝ち取った冒頭曲ではディスり芸封印。2曲目も景気のいい温泉ソングなのですが、草津や有馬や別府といったメジャーな温泉地とともに清水という聞きなれない温泉地が出てきます。調べてみると大阪のイベントプロモーター清水音泉に由来するらしく、アルバム最終曲のボーナストラック「清水音泉ぶっとばす」で謎が解け、Special Thanks にも清水音泉はきっちり記載されてます。
そんなこんなで全8曲中半分弱でディスり芸封印または抑え目なものの、半分強では健在。アジテーション口上も2曲に入ってメジャーでも依然キュウソでして、今後の展開に目が離せない稀有な日本バンドと位置づけられましょう。

CITIZEN ZOMBIE (THE POP GROUP)  2015. 5. 15 (Fri.)

CITIZEN ZONBIEザ・ポップ・グループじつに35年ぶりのニューアルバム。円安でも日本盤2,500円+税で35年前のレコードとほぼ同額。
前衛的なダブ・ファンクネスは今も健在。女声コーラスや昔はなかった現代的なSEやノイズをまぶしつつもBGMには堕し難い呪詛的で未開原始的な歌声が現代社会を呪います。
呪いの矛先はジャケットデザインのおじさんが指差してる我々魂を抜き取られて誇りを失い奴隷労働に勤しむ市民にも向けられます(表題曲)。
人類のあり方と市場社会化の歴史について思考すれば行き着く絶望を躁病的ダンスやシャウトに変換する特効薬としてオススメです。

錦野旦オンステージ(平塚競輪場)  2015. 5. 7 (Thu.)

オンステージスターにしきのあきらですが、齢66歳。平塚競輪場開設65周年記念競輪にやってきて、スターにしきのあきらより年配だったり、年下なのに完全に年配化している競輪客に喝を入れて帰っていかれました。
ヒット曲「空に太陽がある限り」を含め3曲披露なさいましたが、歌の時間を超えるトークで年のとり方についてご高説をいただきました。曰く「若い人と友達になりなさい。若い人に教えを請いなさい」ということです。司会も楽団もダンサーもなく後片付けまで一人でやってます的な自虐ネタも随所にまじえられ、スターのスターたる所以を垣間見せていただくことができたと感じております。
黄色の衣装と白の衣装で2ステージ。たいへん贅沢な集客イベントでした。
スター
WHAT HAPPENS NEXT (GANG OF FOUR)
  
2015. 4. 25 (Sat.)

WHAT HAPPENS NEXTギャング・オブ・フォー約4年ぶりの新作。円安でも日本盤2,500円+税。
前作を最後に歌の人が抜けてしまいとうとうギターのギル以外は21世紀以降に加入したメンバーばかりになりました。
1曲目の暗い楽曲からfake history, racial purity といった言葉が出てきますが、攻撃対象が20世紀と異なりおぼろげにしか見えない状況と同様に歌詞の抽象性やジャケットのツインタワーやアルバムタイトルから21世紀の絶望が暗喩されているように受け止められます。
ポストパンク期のソリッドギターは今さら望むべくもないですが、新しい歌の人の粘り気ある歌唱力によって、さらにフツーのカッチョいいバンドの楽曲が大半を占め、布袋も1曲ギターで参加する始末。

Everybody Rock'n Roll SHEENA & the Rokkets
Since 1978  
2015. 2. 19 (Thu.)

Everybody Rock'n Roll SHEENA & the Rokkets Since 1978大学に通う乗換駅が下北沢だったので乗り換えのついでに南口商店街をふらついているうちに結局大学にたどりつかなかったということが何度もありました。そんなときに商店街で何度かすれ違った有名人が子連れの鮎川誠。奥様の方は見ずじまいでしたが、すれ違ってても気づかなかったのかもしれません。
その後大人になって娘さんのライブを偶然拝聴する機会があったり、一昨年のフジロックにも来てらっしゃてたのに結局奥様とは会えずじまい。
そのとき奥様のシルエットがプリントされたTシャツか丸いロゴマークのTシャツかで迷ったあげく丸マークの方にしてしまったのが悔やまれます。合掌

忌野清志郎ロックン・ロール・ショー
THE FILM〜#1 入門編  
2015. 2. 11 (Wed.)

看板忌野清志郎のライブ映像を編集して2時間のフィルムコンサートにまとめた表題作を公開2日目にさっそく拝見してきました。映画価格としては破格の当日2,500円(税込)。
2008年完全復活祭(日本武道館)の「よォーこそ」皮切りに今世紀と前世紀を行きつ戻りつ、名曲ヒット曲の名演奏が繰り広げられていきます。途中3か所ほど生き抜きコーナーもあり。
「レッドツェッペリン狂熱のライヴ」をみたときに転寝をしてしまったのは35年ぐらい前のことですが、以来フィルムコンサートには眠くならないかという恐怖がつきまとうのですが、そういう心配無用のエンターテインメント。愛と平和のロックンロールエンターテイナーの真骨頂が随所に現れ目を離す暇を与えぬ濃密なライブ映像が2時間びっしり続くのです。が、途中3か所ほどの息抜きコーナーもあります。
わたくしが期待したザ・タイマーズなしでテレビとかの映像も極わずか、名曲ヒット曲のライブ映像がほとんどで構成された「#1入門編」ということで続編が待たれます。続編の制作を促進するためにも多くの皆さんにご覧いただきたく思うのであります。

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