サル研究
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サル研究  2015. 1. 12 (Mon.)

2014年、人類社会の構造を追究する試みの一環としてサルの調査研究を開始しました。

monkey  2014. 11

サルサルの調査研究の集大成は分布と分類。霊長類はサハラ以南のアフリカ大陸、インドから東南アジアを経て下北半島(北限)。そして中央アメリカ中部から南米大陸中部にかけて分布しています。
不思議なことに現生人類がアフリカから出て南シベリアからメソポタミアに最初の文明を築いた一帯や、ネアンデルタールが栄えたヨーロッパにはいません。ただし、化石は出土してるといいますから謎は深まります。
それはさておき、サルは英語でmonkeyだと思っていますが、monkeyと呼ばれるのはオマキザル科オナガザル科などの一部のサルに限った話のようです。わが国においては唯一ニホンザルだけがサルだったところにいろんな奴がやってきてその仲間をすべからくサルと呼ぶようになったと思うのですが、中国語でも霊長類はいくつかのサルの字で書き分けられるようです。
ちなみに猿の惑星の原題に出てくるapeは類人猿を指します。
犬や狼、野犬、山犬を例に説明されるソシュール言語学ですが、サルでやってもいいかもしれません。

<霊長類[サル目]まとめ>
原猿亜目(曲鼻猿類)
透明 ロリス下目(ロリス・ギャラゴの仲間)-全員夜行性 [ロリス科/ギャラゴ科]
  透明 透明 透明 【種】スローロリス/ポト/オオギャラゴなど
【生息地】赤道アフリカ〜東南アジア
【英名】loris,poto,galago
  キツネザル下目-全員マダガスカル
 [キツネザル科/コビトキツネザル科/アイアイ科
/インドリ科/イタチキツネザル科]
ワオキツネザル
        【種】ワオキツネザル/南の島のアイアイ/横っ飛びでおなじみヴェローシファカ/インドリなど
【生息地】マダガスカル
【英名】lemur,aye-aye,sifaka,indri
メガネザルの仲間-原猿亜目と真猿亜目の特徴を併せ持つが体重100g前後
  メガネサル下目 [メガネザル科]
        【種】フィリピンメガネザル/ヒガシメガネザル
【生息地】フィリピン、インドネシア(スラウェシ島)
【英名】tarsier
真猿亜目(直鼻猿類)
  広鼻下目(新世界ザル)
    マーモセット・タマリンの仲間-小型の新世界ザル [マーモセット科]
        【種】コモンマーモセット/ゲルジモンキー/ゴーロン星人が化けてたゴールデンライオンタマリンなど
【生息地】中米〜アマゾン
【英名】marmoset,tamarin
    オマキザル・クモザルの仲間-大型の新世界ザル
[オマキザル科]
オマキザル
        【種】ジェフロイクモザル/クロホエザル/シロガオオマキザル/ボリビアリスザル/真猿類唯一夜行性ヨザルなど
【生息地】中米〜アマゾン
【英名】monkey/howler/capuchin/saki/uacari/titi
  狭鼻下目(旧世界ザル)
    オナガザル上科
      オナガザル上科[1]グエノンの仲間-尾っぽが長い
[オナガザル科 オナガザル亜科]-オナガザル
        【種】アカオザル/クチヒゲグエノン/サバンナモンキーなど
【生息地】アフリカの熱帯林(一部サバンナ)
【英名】monkey,guenon,talapoin
      オナガザル上科[2]ヒヒ・マカクの仲間-進化史的に最新
[オナガザル科 オナガザル亜科]-ヒヒ族
ヒヒ
        【種】マントヒヒ/ドリル/シロエリマンガベイ/北限のニホンザル/チベットにはいないチベットモンキー/バーバリーマカクなど
【生息地】西アフリカから下北半島まで広く分布
【英名】baboon,drill,mangabey,macaque
      オナガザル上科[3]コロブスの仲間-葉食に適応
[オナガザル科 コロブス亜科]
        【種】アビシニアコロブス/ハヌマンラングール/シルバールトン/キンシコウ/テングザルなど
【生息地】アフリカ〜東南アジア
【英名】colobus,langur,lutong,monkey
    ヒト上科
      テナガザルの仲間 [テナガザル科]-以下尾っぽなし
        【種】シロテテナガザル/シャマンなど
【生息地】東南アジアの熱帯林
【英名】gibbon,siamang
      大型類人猿の仲間 [ヒト科]-ここから猿の惑星
        【種】チンパンジー/ニシローランドゴリラ/ボルネオオランウータン/ヒトなど
【生息地】アフリカとボルネオ(ヒト以外)全世界(ヒト)
【英名】chimpanzee,bonobo,gorilla,orangutan,human


日本モンキーセンター  2014. 11

先月、サルの調査研究のため犬山市にある日本モンキーセンターを見学してきました。入園料は税込600円。
ウルトラセブン第44話「恐怖の超猿人」の舞台でありロケ地となったところであります。当時はモンキーアパートと呼ばれる狭い檻での展示だったと思われ、現在も多くのサルは囚われの身なのですが、糞を落とすジェフロイクモザルや日光浴するワオキツネザルのように一部のサルは少し解放されています。
クモザル

サル山を与えられているのは、ヤクニホンザルとアヌビスヒヒ。ヤクニホンザルは焚き火にあたるサルとしてマニアの間では有名で、上画像のシンボルでもやけどしそうなほど焚き火にあたっています。

テナガザルの仲間 ボリビアリスザル


霊長類ガイドブック(Japan Monkey Center)  2014. 11

霊長類ガイドブック犬山の日本モンキーセンター発行のサルガイド決定版。本体価格1,000円+税でオールカラー80ページ。
前半は200種を超える現生霊長類のうちの100種強が霊長類図鑑としてまとめられています。昨日までいろんなサルの特徴をご紹介してきましたが、だいたいここに書いてあることです。
図鑑は10章構成で、生物分類に沿ってねずみと見まがう小ザルから類人猿まで、最後はヒトで締めくくられています。全種写真付ですが、ヒトだけ服を着ています。
後半は様々な観点で霊長類が図解されています。注目はその社会構造。大きく5つに分類され、「単独型」「単雄単雌型(ペア型)」「単雄複雌型(ハーレム型)」「複雄複雌型」「重層社会」があります。ポストモダンの人類社会構造を探求する試みとして「人類補完計画」などがありますが、サル社会の実態は大いに参考になります。
終盤、「大型類人猿保全計画」などの社会的取り組みをはさんで、細かい字で4ページぎっしり、1956年からの「日本モンキーセンター史」年表で本書は締めくくられています。
これまで、比叡山にもサルはいるのになぜ京大霊長類研究所が犬山にあるのか疑問に思ってましたが、その謎は解けました。単に先にモンキーセンターがあったからでした。
「モンキーアパート」ができたその年に伊勢湾台風によってモンキーアパートが被災、公募で「木曽太郎」と名づけられてしまったニシローランドゴリラの生と死(享年16歳)などの涙を誘うエピソードからワオキツネザル尾っぽ携帯ストラップのヒット、名鉄モノレール線廃線などセンターの栄枯盛衰がぎっしり詰まっていてこれまた落涙のフィナーレとなっています。


アヌビスヒヒ(Anubis baboon)  2014. 11.

生息地はサハラ砂漠以南、赤道アフリカのサバンナ地帯に広く分布しているそうです。雑食性。
客が見ている目の前でもすわり小便の小粋な奴です。
Anubis baboon

ジェフロイクモザル(Geoffroy spider monkey)  2014. 11

ジェフロイクモザルをはじめとする、オナガザル、クモザルの仲間は中米からアマゾンにかけて分布し、多様なサルを含みます。
長い尾っぽの先には毛の生えてない部分があり、尾紋と呼ばれる指紋のような紋様があります。
ジェフロイクモザルの社会構造は離合集散型で、数十頭の群れが何かの拍子に数頭の小集団に分かれることがあるそうです。また、手の親指が非常に小さいという特徴をもちます。
あと特記事項としておさえておいていただきたいことに、人の頭めがけて脱糞しますから特段の注意が必要です。
ジェフロイクモザル
落糞注意

ヤクニホンザル(Japanese yaku-macaque)  2014. 11

サル山で飼われてるサルというとニホンザルがおなじみですが、犬山モンキーセンターに限ってはヤクニホンザルです。
屋久島にのみ生息するニホンザルの亜種。ニホンザルよりやや小柄ですが、体毛が粗くて長く、やさぐれ感をかもし出しています。
とくに糞尿に関する観察データは採取できませんでした。
他にニホンザルの近縁種として、尾っぽが長いタイワンザルがいます。
ヤクニホンザル

ワオキツネザル(Ring-tailed lemur)  2014. 11

マダガスカル島にのみ生息するキツネザルの仲間の一種。輪っかが連なってるような尾っぽの模様からワオと呼ばれるようになりました。
メス優位の母系集団という霊長類では珍しい社会構造を持ちます。
代謝が悪いらしく、気温が低いときには日光浴をして体温を保ちます。そのせいか目がいっちゃってる個体が多いみたいで、ひどいのになるとベロ出しっぱなしのていたらくです。

ゴリラ(Gorilla)  2014. 11

最大の霊長類としておなじみのゴリラですが、2種います。赤道アフリカ西部に生息する西ローランドゴリラ(Western lowland gorilla)とウガンダ、ルワンダからコンゴにかけて生息するマウンテンゴリラ(Mountain gorilla)。
森林抜粋や密猟で絶滅の危機にあり、国際自然保護連合(IUCN)レッドリストでは「野生絶滅」の一歩手前の「深刻な危機(Critically Endangered)にランク付けされています。
ちなみにニホンザルは「低懸念(Least Concern)」でゴリラよりまだ4つ手前の段階なので、まだ人里を荒らしたり高速道路に飛び出してきたりしかねません。
そこで高速道路などで見かける動物注意標識ですが、尾っぽが描かれてなかったり、体つきや歩き方がニホンザルよりゴリラに近く感じなくもないです。でも、ゴリラが飛び出すとしたら動物園から逃げ出した場合ぐらいしかありえないのでその心配は小さいです。
ゴリラ
動物注意

サンフォードキツネザル(Sunford's brown lemur)  2014. 11

サンフォードキツネザル土産のサンフォードキツネザル650円+税。マダガスカル産。
マダガスカルといえば陸イグアナ・海イグアナのガラパゴス、ワラビー・カンガルーのオーストラリアのように、キツネザルが独自に進化した島国です。
霊長類ガイドブックあいにく同時に購入した「霊長類ガイドブック」に掲載されてないので詳しい生態はわからないのですが、全長10センチ強(尾っぽ含む)のぬいぐるみで本体価格650円はいかがなものか? 平均月収が三千円台というマダガスカル国内の手製だそうで、原料代、運賃、鳥獣保護基金繰入、モンキーセンター運営費などなどを差っぴいてどんだけフェアトレードなのか?と深く考えさせられる買い物でした。

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