輝け! イマケイレコード大賞2016 2016. 12. 27 (Tue.)
日本レコード大賞は1億円で買えるみたいですが、こちらも年末恒例ではあるものの誰も買ってくれないイマケイレコード大賞です。なけなしのお小遣いをはたいて購入した数少ないCDのなかからの選出なので幅が狭いですが、珍しくクラシック界から伊福部昭入賞です。
■レコード大賞(欧州)
HONEYMOON ON MARS (THE POP GROUP)
■レコード大賞(国内)
ホログラムを登る男 (平沢進)
■最優秀新人レコード大賞
BASIN TECHNO (岡崎体育)
■審査員特別功労賞
DENKI GROOVE THE MOVIE? (電気グルーヴ)
META (METAFIVE)
ADORE LIFE (SAVEGES)
シン・ゴジラ音楽集 (鷺巣詩郎・伊福部昭)
くるりの20回転 (くるり)
■買ってがっかりさせられたレコード大賞
該当作品なし
■買うのを我慢して(たぶん)正解だったレコード大賞
★ (David Bowie)
A Moon Shaped Pool (RADIOHEAD)
ヒカシューの絶景クリスマス ゲスト:平沢進
キューピッターKERA (代官山UNIT) 2016. 12. 26 (Mon.)
開演時刻になってケラが出てきて長い挨拶。前座のあふりらんぽの後にまたケラ登場。ギター1本だけの伴奏で2枚目までのヒカシュー、P-MODLの名曲をメドレーで数曲歌われました。90年ごろのP-MODEL解凍コンサート(日比谷野外音楽堂。前座がヒカシューとかゲルニカとか)でも初期の名曲はケラが歌わされていましたが、一人でやるとは。やはり平沢師はソロの楽曲しかやらないのだろうなと考えさせられつつ俺に歌わせてくれよなどと思いながら拝聴。
ケラが終わったら平沢師の出番かと思いきや、ヒカシュー登場。新しめの代表曲を即興演奏も交えながら。往年のヒカシューのみをご存じの方でしたら、ライブで長かった「釈迦」みたいな楽曲が続くと思っていただければ当たらずとも遠からずだと思います。
1時間ほどのヒカシューの最後の方には1枚目のA面1曲目「レトリック&ロジック」やデビュー曲「20世紀の終わりに」なども演じられたりしていよいよ機運が高まってきたところでゲスト平沢師の登場です。
TALBOの後継機EVO1本ぶら下げて平沢師登場。生でご尊顔を拝するのは25年ぶりぐらいのことです。そのまんま残ってるヒカシューの皆さんによる演奏が始まり、平沢師の「庭師King」のイントロで超満員の会場はモッシュ状態。
が、歌うのは巻上で爆笑モッシュ。
この後、「パイク」などヒカシューの楽曲を平沢師が歌い、「ミサイル」など平沢師の楽曲を巻上が歌うという展開が4往復ほどあった後、アンコールで巻上が歌う「美術館で会った人だろ」、さらに平沢師が歌う「プヨプヨ」で大団円。握手そして抱擁して引き上げるテクノポップ両巨頭を脳裏に焼き付けてきたのでした。5,000円の入場料(+1ドリンク500円)で歴史的瞬間に立ち会えました。
BASIN TECHNO(岡崎体育) 2016. 12. 15 (Thu.)
そろそろイマケイレコード大賞を選定せねばという季節になってきて、最優秀新人王は誰かと考えたら盆地テクノの岡崎体育でほぼ決まりと思いついたのですが、CDを買っていませんでした。試聴はしたのですがミュージックビデオをいっしょに見て楽しめる楽曲群だと判断して買うのを我慢したのでした。
が、JINROのタイアップ曲がミュージックビデオも面白いですがミュージックビデオなしでもじゅうぶんイケてたことと、動画投稿サイトで何度もタダ見したミュージックビデオもしかと頭に入ったんでミュージックビデオを思い出しながら楽曲だけを聴いても楽しめるだろうとようやくCDを購入するに至りました。
JINROのタイアップ曲は入ってませんが、8曲入りに6曲分のミュージックビデオDVD付で2,593円+税。
ミュージックビデオ付の6曲も、一部導入部があったり、オチが違ってたり、CDにはないオチがミュージックビデオの方にはついてたり。動画投稿サイトでは見つからない楽曲もあるのでDVD付の方を買った甲斐がありました。
ミュージックビデオ付の楽曲が終わった7曲目に突然テクノな名曲が現れます。付属DVDにはないのですが、動画投稿サイトにはミュージックビデオがありました。
VIDEO
最終8曲目も聴く人によっては名曲足りうる楽曲で締めくくられます。なぜかミディアムテンポのバンドサウンド。大久保のコンビニでエクレアを買ってくるようにという歌詞が出てきて新宿のそばの大久保を想起される方が多くいらっしゃると思いますが、また大久保付近の歌として成り立たなくもないですが、体育が住んでる宇治にも大久保があるので注意が必要です。
HONEYMOON ON MARS (THE POP GROUP)
2016. 11. 14 (Mon.)
去年三十うん年ぶりに新作を出したザ・ポップ・グループが2年と間をおかずに新作発表。日本盤はおまけの1曲と歌詞がついてるものの訳詞なしで2,600円+税。
プロデューサーの手腕か?前作は(ポップグループの割には)ポピュラリティあふれる聴きやすい仕上がりになってましたが、本作は昔に戻った気もしないでもない難解ダブファンク。そこに現代社会における生を絶望の旅にたとえる呪詛めいたプリミティブな絶唱が乗ってくるザ・ポップ・グループ節が健在です。
電子音ノイズに加えリズム含めた電子音シークェンス増量が本作最大の特徴かもしれません。それゆえ、人間と社会の邪悪をプリミティブな絶唱ではなく、かっちょよく歌えばプライマルスクリームになるなぁとふと思いました。
くるりの20回転(くるり) 2016. 10. 31 (Mon.)
くるりの20年を振り返るベスト盤。メジャーデビュー前のデモテープ「くるりの1回転」にちなんだタイトルで3枚組の3,700円+税。
これまでのベスト盤と違って、ほぼすべてシングルA面曲だけで発表順に構成されています。よって予算超過や日程の都合でシングルカットを見送られた名曲「ブレーメン」が収録されないという憂き目に遭ってしまっています。
それはともかく前のベスト盤のTower of Music Lovers 2のころからタイアップが増えたり楽曲が複雑化してどれがシングル曲でどれがLPの曲でどれがB面かがすっと言えなくなりつつあったのですが、本作でようやくそこらへんのところが整理できそうです。
VIDEO
くるりのこと (くるり+宇野維正/新潮社) 2016. 10. 28 (Fri.)
くるり20年の活動を振り返るインタビュー構成。京都で生まれて、東京の街に出て、時代を駆け抜け、調子に乗り、ウィーンに行って、京都に帰ってから現在に至る7章立てで1,300円+税。
再絶頂期の1996年にメジャーデビューした後、つねに右肩下がりの業界動向。そして、客によっていちばん好きなアルバム作品がそれぞれ異なる特異な音楽性。さらにブラック企業疑惑も持ち上がるあいつぐメンバーの脱退。
そこらへんを基軸に20年の活動歴を振り返りつつ、音楽ビジネスとしての、バンドとしての、ミュージシャンとしてのくるりをあらわにしてゆきます。
数々のエピソードを一読して浮かび上がるのがベースの佐藤最強説。岸田をはじめ辞めてったメンバーそれぞれのへこみっぷりが随所で語られるのですが、ほとんどの場面で平然とフォローするベースの佐藤。「ガキの使い」などでいちばんおもろいのは浜田というのがお笑い界で定説になりつつあるように、フツーのツッコミだと思ってた人がじつはいちばんおもろい浜田同様、ベースの佐藤が平然としつつじつは最も狂ってるがゆえに積み重ねられたくるり20年の実績!というふうに読ませていただきました。
東向日駅 2016. 10. 20 (Thu.)
スタンプラリーとは直接関係ないのですが、競輪客として東向日駅を取り上げて阪急京都線シリーズをしめくくりたいと思います。
以前に一度か二度書いたことですが、東向日駅で電車に降りる人が降りる前に乗ってくる競輪客にブチ切れた同級生がいました。もみくちゃになっての降車後、くるりと踵を返してドアが閉まる瞬間、「競輪やってるやつは人間のクズじゃあ!」と叫んで走って逃げたそうです。
その後その同級生がどのように真人間として過ごされていたのかについてまったく関心がなかったのですが、ネットで調べてみたら意外な事実がわかりました。
どうやら世界日報産経、よみうりCIAに次ぐ国民の敵記者クラブメディア新聞の記者を30年以上続けて提灯記事だけならまだしも、親米売国政権と買弁官僚をヨイショする書籍を何冊も執筆してらして、おまえこそ人間のクズに成り下がっていた様子。たいへん残念に思います。
阪急京都線 2016. 10. 19 (Wed.)
しつこく続くくるり的阪急京都線沿線再発見スタンプラリーですが、右画像でご覧いただいているのはスタンプ台紙冊子とスタンプ3個でもらえるシールです。
どちらも昔の梅田行き特急車両とくるり20回転のマーク。くるりファンでも電車に興味がなければがっかり感漂うデザインですが、今は走ってない阪急2300系だそうです。1960年から2015年まで走ってたそうですが、わたくしがよく利用させていただいてた頃はもう特急は新しい車両にゆずって急行で走ってらっしゃたような気がしないでもありません。
詳しいことは、くるり岸田繁「電車の花道」第1回 をご一読ください。
それはさておき、また新たな青春期のトラウマがよみがえりました。問題は烏丸のスタンプ置き場。
ちょっとつきあってたというかそんなでもなかったというかビミョーなおつきあいをさせていただいてた同女のお姉さんの家がこのすぐそばだったことを今頃突然思い出してしまいまして、もうぼろぼろです。おそらく、ラリー中は毎回登場のお姉さん二人組に気を取られてたからその場では思い出さずにすんだと考えられ、再三再四救われた思いです。
阪急京都線再発見 2016. 10. 17 (Mon.)
一昨日お伝えしたくるり的阪急京都線再発見スタンプラリーで何か再発見できただろうかと考えてみました。
外出するおかんが「これで何か食べとき」と千円置いていったときの行き先はたいてい四条大宮の王将(1号店)かそのはす向かいの喫茶Hattoryでした。王将はその後全国に展開して社長が殺されるほどに成長しましたが、なくなってるだろうと思ってた喫茶Hattoryがまだやってらっしゃる様子を垣間見て安心しました。写真を撮っておけばよかったのですが、撮り損ねたのは一昨日お伝えしたお姉さん二人組に気を取られてたからでしょう。
ところでスタンプラリー台紙に載ってたくるりオススメのお店を記しておきたいと思います。
大山崎
pava nature(パヴェナチュール)
Pao阪急大山崎店
長岡天神
宇津バラ園
うなぎ・割烹はしもと
東向日
京都激辛商店街
京お好み久蔵
桂
阪急そば桂店
中村軒
西院
TSUTAYA西院店
折鶴会館
大宮
とり伊
珍元
烏丸
京都北山元町らーめん本店
イノダコーヒー四条支店
河原町
蛸長
キエフ
その存在を知ってる店はあっても、残念ながらどこにも入ったことがありません。京都で大学生をやる前に東京の街に出たことが悔やまれるのですが、大宮駅に登場のとり伊は生家の得意先で娘さんが小学校の同級生。青春期のトラウマがよみがえる同女に進学されて以降はお会いすることもないまま。一度年賀状を頂戴してますが、中学生男子特有の気恥ずかしさとかしわ(鶏肉)を食べられないことから返事を書かずに現在に至ってしまっております。
あと長岡天神駅。ここに住む中学同級生の一つ下の妹が可愛いというので、何かと理由をつけて足しげく通った時期があるのですが、忘れたころにほかの同級生の嫁はんになっていたという事実を知ったときはおののきました。
烏丸〜河原町間は言うに及ばず、そんな風に青春期のトラウマが多数よみがえる阪急京都線沿線再発見だったわけで、お姉さん二人組にはずいぶん助けられたと思っています。
くるり的阪急京都線沿線再発見スタンプラリー
2016. 10. 15 (Sat.)
梅田からの帰途、くるり20周年記念ベスト盤発売イベントのスタンプラリーに参加してきました。対象は全8駅。
まず長岡天神の阪急そば前で台紙をゲットして1個目の名曲「ばらの花」。準急より前に特急が来たんで桂まで行って「春風」。東向日まで戻って「チアノーゼ」。西院のスタンプ置き場TSUTAYAは見つけにくいところにあって西大路四条交差点をぐるっと1周して「ラブソング」。
ここで記念撮影をしていたお姉さん二人組の一人が「何個目か」と話しかけてきてくれて若干おもしろい受け答えをしたのがこの次の大宮駅につながりました。
西院TSUTAYAで置き去りにし、かつ勝手知ったる大宮駅出口近くに乗車するため西院駅ホームの端から端まで歩いたにもかかわらず、四条大宮のスタンプ置き場もみつけにくいところにあったがためにお姉さん二人組に追いつかれてしまうというていたらく。おかげで一緒に探してもらえて助かりました。
無事、大宮駅で「地下鉄」をゲットできたのですが、このあとの行程をご一緒するほどあつかましくはありません。帰りの新幹線の予約があるのをいいことに烏丸駅へ向かうお姉さん二人組とはここで別れてゴール駅の河原町へ向かい「リバー」と3個以上のご褒美シールをもらって烏丸へバックしたのでした。
烏丸駅のスタンプ置き場は駅から遠いのですが、「東洞院高辻下がる」と京都らしい住所で書いてあったのですぐにわかります。東洞院通りでお姉さん二人組とすれ違えるかと思いきや、まだのろのろとスタンプ置き場にいらっしゃいまして、「京都の大学生」とともに記念撮影などをご一緒させていただいたのでした。
結局のところ、飲食店に入らねばスタンプを押せない大山崎「HOW TO GO」を残してコンプリート。
シン・ゴジラ音楽集 2016. 9. 15 (Thu.)
映画の名場面を反芻したかったというわけではないのですが、連日聴き返して映画の名場面を反芻することができるサントラ盤。全32曲入り3,000円+税。
32曲といってもエヴァンゲリオンから流用の巨災対のテーマがバージョン違い数えて10曲も入ってたりするので注意が必要です。実質的に鷺巣作品10曲と伊福部作品8曲の正味の話が18曲。
もちろんお目当ては伊福部作品。とくに終盤のいちばんいいところでかかった「宇宙大戦争マーチ」。新録にあたりステレオになってたり音像が豊かになってたりしてないものかと期待しましたが、結果はビミョーです。
概ね映画の順番に配列されてるんで、前後の鷺巣新作に挟まれる「宇宙大戦争マーチ」ではボリュームを上げねばなりません。とは言え、昔買った「東宝怪獣行進曲」に収録されてるものと比べると格段の出来。ラッパの吹きそこないや落ち着かないテンポも含め、数十年前の音を残したままの豊かな残響や全面に飛び出る小太鼓などが心臓をわしづかみにしてくれます。
結局映画では昔の音源がそのまま使われたらしいのですが、半年ぐらいかけてこの音をどう作ったかの苦労話が鷺巣本人による解説で長々とつづられています。余談ながら、後半防災センターへの遷都先を立川ではなく八王子だと思い込んで書いておられていて改訂第2版では修正されることでしょう。
それはさておき、「宇宙大戦争マーチ」に比べると、エンドロールにかかってた「怪獣大戦争マーチ」のおとなしさが惜しまれます。
一昨年聴かせていただいた、渋さ知らズのラッパやチャランポランタンのアコーディオン、もちろん井上誠のシンセサイザーも加わってのゴジラ・ヒカシュー・放射能による「怪獣大戦争マーチ」が圧巻だっただけに、CD化希望。マリアンヌ東雲歌唱によるゴジラ対ヘドラ挿入歌「返せ!太陽を」もまた聴きたいです。
ワールドハピネス2016 2016. 8. 31 (Wed.)
2014年に一度行ってもう二度と行くことはないと決意していたストレスフルな野外ライブ「ワールドハピネス」にまた行ってしまいました。
一生見られないと思ってたムーンライダーズ が活動休止を休止するということに加え、今年いちばんライブを見てみたかったメタファイブ がフジではなくサマソニに行ってしまって。さらに、レッチリのあとまで頑張れそうにない電気グルーヴ も出るということで入場料1万円を奮発してしまったわけです。
いや、1万円はどうでもいいのですが、あいかわらず運営がクソなんできっと二度と行かないことと決意を新たにする次第です。
とは言え出演ラインナップはいいのですよ。前回もどこがいいのかわからない奇妙礼太郎 をのぞいてほぼすべてのライブパフォーマンスを楽しめたように思います。今回も変な長髪生け花野郎(生け花終了後上着を脱ぐとTMレボリューションみたいな恰好)を連れてきた矢野顕子 と水曜日のなんとか をのぞいてそこそこ楽しめました。
とくにスチャダラパー 。ふつう同じ歌を何度も歌うと音痴の人でも多少うまく歌えてしまうようになってしまうものですが、今夜はブギーバックのサビを独特の節回しで絶唱するスチャダラアニに大いに笑かされました。
トリのメタファイブのみアンコールあり。「まりんがどうしてもというのでいやいやだけどやる曲がある」という高橋幸宏インタビューを見てしまったので予想できてしまったのが惜しまれる君に、胸キュン。 。この1曲だけやって大団円とあいなりました。
ムーンライダーズ(ワールドハピネス) 2016. 8. 30 (Tue.)
もう一生見られないと思ってたムーンライダーズが活動休止を休止するということで出演するワールドハピネスで冥土の土産に見てきました。鈴木慶一65歳を祝しての花束贈呈付き。
1曲ごとに歌唱力があやしくなるという老化現象を目の当たりにさせられましたが、途中の間奏で白井良明と足踏みダンスを予想外の12小節強ぐらい見せつけてくれたりの軒昂っぷりを発揮されるや、また若返って帰って行かれたようでもありました。
NO
songs
LP
1
Who's gonna die first?
12th"最後の晩餐"(1991)
2
Don't Trust Anyone Over 30
11th”Don't Trust Over 30"(1986)
3
工場と微笑
8th"マニア・マニエラ"(1982)
4
トンピクレンッ子
7th"青空百景"(1982)
5
ヴィデオ・ボーイ
5th"モダーン・ミュージック"(1979)
6
スカーレットの誓い
8th"マニア・マニエラ"(1982)
*1
7
9月の海はクラゲの海
11th”Don't Trust Over 30"(1986)
*2
8
BEATITUDE
15th"Bizarre Music for You"(1996)
*3
*1
ゴンドウトモヒコ(トロンボーン)
*2 高橋幸宏(歌)
*3 高橋幸宏(ドラム)
山本リンダ(松戸競輪場) 2016. 8. 19 (Fri.)
山本リンダのヒット曲は4曲ぐらいしか思い出せませんが、「ぼやぼやしてたら〜」で歌いだす歌以外のだいたいのヒット曲4曲を熱唱されていかれました。振り付けも若干おとなしめながらほぼ全盛期のそれ。おみそれしました。
表彰式では上位3選手にチューの熟女マニアには堪らないご褒美、そうでなければ罰ゲーム的なパフォーマンスもご披露。惜敗で苦渋の表情だった稲垣裕之選手(京都)もこれには苦笑い。3着で満面の笑み、有頂天だった中村浩士選手(千葉)も我に返らされたようでした。
はちみつぱい
ほか(Fuji Rock Festival '16 3日目) 2016. 7. 30 (Sat.)
最終日も概ね好天でまずはビールとソーキそば 。初日から、肉味噌カレー、関西風ビーフカレーに分類できる森のハイジカレーという流れからか、そんなことは忘れて最初はインドカレーの店に並んだのですが、突然気が変わって隣の店のソーキそばという選択。
だし汁に癒されてグリーンステージで始まった2CELLOS というドラムとチェロ2台で奏でる吉田兄弟みたいなインストゥラメンタルロックを少し聴いて、フィールドオブヘヴンへ。
今年初めて最前列(付近)に陣取ってラムコーク1杯待つとはちみつぱい のリハーサルが始まりました。
お爺さんが7人。ドラムのかしぶちだけ死んでしまいましたが、ムーンライダーズのサポートドラムでおなじみの夏秋にかしぶち息子も参加のダブルドラムで9人の大編成。
1曲目の「こうもりが飛ぶ頃」では、パートごとの即興演奏を何周も交えて15分ぐらいやったでしょうか。
これで尺を稼いで少ないレパートリーをカバー。最後はムーンライダーズ「スカンピン」の元歌「煙草路地」で「サァ煙草に火を、点〜けて どこへ、どこへ、行こう〜。サァ煙草の煙を、くゆ〜らせて どこへ、どこへ、行こう〜」のリフレインを延々繰り返して大団円。日本語ロック黎明期からもうすぐ50年という感慨もひとしおでありました。
終演後、いよいよ天国バーガーを食べよう!と張り切ってところ天国に移ったのでしたが、なんとすでに売り切れ販売終了。致し方なくおやつに心太(ところてん) をいただきました。しかも黒蜜も売り切れで酸っぱいやつ。黒蜜派のわたくしですが、青のり風味が効いてておいしくいただくことができました。
グリーンステージに戻るとアンプの調子が悪いなか、Ken Yokoyama が熱演。海外での仕事が多いんで日章旗を掲げてらっしゃることが多いのですが、音楽に政治問題で一言言わずにはおられなかったのでしょう。「中国も韓国も日本もアメリカも政府は糞だ」という至極まっとうな国家観などを述べておられました。
このあと、BABYMETALやRED HOT CHILI PEPPERSや電気グルーヴなどが控えていたのですが、混む前に退散。ゲート外のショップエリアで湯沢東映ホテルのステーキ丼 をいただいて帰宅したのでした。
EGO-WRAPPIN' BECK
ほか(Fuji Rock Festival '16 2日目) 2016. 7. 29 (Fri.)
年々巨大化する津田が「言いたいこと聞きたいことがあったらみんなも参加されたし」的なことを言って始まったアトミックカフェトーク。そのせいか38歳男の乱入(要約すると「選挙なんか行くな」)があったりしたのですが、津田が適当にあしらって、結局乱入男のおかげで「意見の違う人と話すのは面倒だけど頑張らないとよくならない」的結論を導き出し、最後に奥田君が3分ほど熱めに語って大団円。
ちなみに乱入男は客から「おまえは帰ってよし」の意見を導き出して途中で退散していたのでした。
アトミックカフェトーク終演後、天国バーガー をめざしてところ天国に向かったのでしたが、本日分売り切れ! そこで、これまで行列で敬遠していた森のハイジカレー をいただきました。
普通のビーフカレーでしたが、煮込んだ牛肉たっぷり。さらに唐揚げ、チーズ、たまごのトッピング(要追加料金)などが人気の秘密だったのだとフジロック20年目にして初めて気づいたのでした。
森のハイジカレーをおいしくいただいていると、となりのホワイトステージから迫力満点の「くちばしにチェリー」が聴こえてくるではありませんか。森のハイジカレーをたいらげるや否や、ホワイトステージに急行してEGO-WRAPPIN' を鑑賞。思っていたより全然パワフルで可愛くて熱くてかっこよくておもろかったです。おみそれしました。
グリーンステージに戻るや、BECK 登場。中盤のアコギのコーナーで一瞬意識を失いましたが、2枚目ぐらいまでしか持ってない、熱心な聴き手ではないものにもわかりやすい演目による、ださかっこいいパフォーマンス。
どうしても最終の新幹線で今日中に東京に帰りたいというBECKの意向で19時半開演21時終演。後ろの時間帯をFRF 20th SPECIAL G&G Miller Orchestra が埋めます。
「茶色の小瓶」とかグレンミラーなスイングジャズやったあと曾我部恵一 が出てきてビートルズを3曲ほど。続いてego-wrappin'中納良惠 が出てきてこの日最大の楽しみにしていた「買物ブギ」。原曲通りのオチ「わしゃつんぼで聞こえまへん」をナマで聴かせてもらって自由を満喫。さらに加藤登紀子 を交えて3人で「田舎へ行こう」で忌野清志郎をしのび、「Power to the People (邦題「人民に力を!」)」でレノンをしのんで音楽にたっぷり政治を持ち込んで帰宿。
MWAM 奥田愛基(SEALDs)
ほか(Fuji Rock Festival '16 2日目) 2016. 7. 28 (Thu.)
2日目はレッドマーキーのHomecomings からスタート。残響ギターポップに切なげな女声ボーカルが乗ってこういうのが売れてほしく思ったりするのですが、惜しむらくは歌詞がカタカナ英語。
世界のビールからジャマイカのRed Stripes というのを選んで定番のフィッシュ&チップス で気合を入れなおしてそのままレッドマーキーのavengers in sci-fi 。
テクノロジーをそこはかとなく活かした宇宙ポップ。かっこいいような悪いような微妙な味わいでした。
昨日もモヒートを作ってもらったいつもの黄色いカクテル屋で買ったキューバリバーで景気づけしながらグリーンステージに帰ってくると、曲間に「苗場限定モンスター、マンウィズアミッションでーす」と名乗られたMAN WITH A MISSION の皆さんが開演。
暑い時間帯でしたが、人狼の頭部で頑張っておられました。
ギターの人がメインヴォーカルのようで、時折歌う頭部がアップでスクリーンに映し出されるのですが、なぜか鼻より上しか投影されない、そういうことになってるみたいです。
若干のうたた寝をはさみつつMan with a Mission の皆さんの熱演を楽しんでジプシーアヴァロンへ。道中、歌唱力以外はジェームズブラウンの浜謙率いる在日ファンク の皆さんの熱演をチラ見。
おやつのぐるぐるウィンナー を食べ終えたところで年々太る津田大介 、環境保護運動の吉田明子 とともに話題の奥田愛基 登場。(つづく)
LEE “SCRATCH”PERRY
ほか(Fuji Rock Festival '16 初日) 2016. 7. 27 (Wed.)
とくにこれといった、命がけでも見たいという出し物がなかったんで雨が降ったら帰ればいいやという気楽な気持ちで臨んだのですが、おかげさまでほとんど雨は降りませんでした。
到着して1杯目のビールに突入するや謎の打楽器集団BOREDOMS がアヴァンギャルドに太鼓を叩き出したので、逃げるようにフィールドオブヘヴンへ。
一昨年のワールドハピネスで見たけど何がいいのかわからなかった奇妙礼太郎 が出ているので、とりま急行。
やはり何がいいのかわからないまま終演予定時刻を10分も残して退場され、ますます何がいいのかわからなくなりました。
肉味噌キーマカレー で気を取り直してホワイトステージのKOHH という東京都北区王子出身のラップを聴かされながらグリーンステージに退却。
今回、シールズ奥田君登場について「音楽に政治を持ち込むな」的な統一自民ネットサポーターズっぽい隠れ半島臭漂うネット発言が記者クラブメディアでも取りざたされましたが、親孝行と地元愛を音楽に持ち込むのもほどほどにしてほしいと、日本のヒップホップを聞くたびに思わされます。
グリーン退避後、Jake Bugg のイギリス人なのにアメリカ人っぽい歌声を楽しみながら若干うたたね。
終演後、おやつにスペイン風メンチコロッケ的なエンパナーダ とモヒートをいただきました。エンパナーダは美味かったのですが、ワールドレストランにその老舗があるのにパエリアをメインに出店してる店で購入。2日目以降も列はできてなかったことから察して老舗に完敗。来年の出店はないと思われると、エンパナーダだけ食べておいて得した感を味わわせてもらえました。
エンパナーダを買ってる間にトータス松本や奥田民生をゲストヴォーカルに擁するRout 17 Rock'n Roll Orchestra 登場。もう少し粘れば八代亜紀を見られたのですが、余裕をもってフィールドオブヘヴンへ。
Jump with Joey というラッパ主体のジャズっぽい感じのスカ楽団。思ったよりジャズっぽくなくて、もろスカだったんでちょっと思ってたのと違ってましたが、ロコモコ丼で気を取り直したところでLee "Scratch" Perry の楽団登場。
たっぷり1曲半ぐらい楽団だけでダブっぽいレゲエの演奏をしたところでおもむろにペリー爺さん80歳がなんか言いながらド派手な衣装で登場。その昔、年季の入った浮浪者をして「レゲエ」と呼ぶようになったのはどの浮浪者もリー"スクラッチ"ペリーと同じ風貌をしてたからという伝説の持ち主です。今は時折帽子をとって赤髪を垣間見せながら、その場その場で思いついたことをダブっぽいレゲエに乗せて口ずさみつつ、キックやパンチを交えながらステージ上を右往左往。往年の名作タイトルthe super ape を地で行くパフォーマンスを堪能して帰宿。
宵々山コンサート 2016. 7. 12 (Tue.)
昨今隆盛にあり「根付いたか否か」が議論にもなるフェス文化と、その源流にある70年代フォークジャンボリーとの間をつなぐものとして位置付けられるのが宵々山コンサート(京都円山音楽堂)。
日曜昼の開場に向けて土曜日学校が終わってから交代で列に並んだものの友だち5人かたまって座れたのは中央通路よりも後ろの方、みたいな全席自由席をめぐるフェスティバルな空間に若いころ2回参加させてもらいました。
第1回ゲストだった渥美清が客席の熱狂的歓迎に怖気づいて一度袖に引っ込んだという逸話が有名ですが、渥美清を呼べるのも主宰の一端を永六輔が担っておられたから。赤塚不二夫ゲスト回の警官漫談からもうかがいしれるように、また尺貫法闘争でおなじみのように、徹底して反権力・反官権の人でありました。
有名ゲストとしては既述の他にも淀川長治が小1時間映画の話をするなどのアナーキーなコンサート構成もさることながら、古典芸能はもとより、戦前からのジャズメン谷口又士とオールドボーイ・オールスターズなどをキャスティング。敵性音楽を演奏できなかった時代を想像させてくださりました。また、レコードのなかった時代にイムジン河を聴かせてもらったのも宵々山コンサートでした。合掌
ASH & ICE (THE KILLS) 2016. 6. 30 (Thu.)
ザ・キルズ約5年ぶりの新作。2,490円+税。相変わらず少ない音数でのスタイリッシュなガレージグルーヴ。ギターのおじさんが左手中指の腱を移植するほどの大けがをなされてギターの弾き方を変えざるを得なかったとのことですが、まったく変化がわからない相変わらずのスタイリッシュギターが引き締める音像空間に歌のお姉さんの艶々ヴォーカルが乗ってきます。
音像まとまってて傑作感強かった前作に比べると音作りの幅が広がったみたいで、ノリノリの楽曲と艶々ヴォーカルに聴き入らせる緩い楽曲の振れ幅が大きい仕上がりになってて、前作ほど緊張感なくゆるりと聴かせていただきました。
廣瀬社長減給10%1か月 2016. 6. 23 (Thu.)
参院選公示前日でそっちにニュースが偏る21日、東京電力が5年も前のメルトダウン関連情報隠ぺいを認め、現社長に減給10%たったの1か月という清原より安い処分が下されました。むろん隠ぺい当事者はお咎めなし。
宗主国の原子力政策(リスク高過ぎなんで植民地に押し付けて特許料だけいただく。おかげで東芝大ピンチ)、植民地統治政策に由来する治外法権っぷりがあらわになってます。
今後、これにならって武器輸出から戦争経済での儲けを企む人々は大いに勇気づけられたことと推察いたします
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ランバート・アンド・スタンプ 2016. 6. 6 (Mon.)
親父さんが高名なクラシック音楽家でオックスフォード卒、ドイツ語とフランス語も操るブサメンがキット・ランバート。船頭の息子という労働者階級出ながら兄貴が映画俳優として成功する長身のイケメンがクリス・スタンプ。
この凸凹コンビの出会いと成功と没落(キットのみ)を関係者インタビューで構成したドキュメント映画を通常税込1,800円のところ、1,200円の前売り割引鑑賞券を調達して見てきました。
映画制作の野望を抱くキットとクリスはAD仲間。出自の違いにかかわらず意気投合した2人は、60年代前半当時台頭するロックグループに目をつけ、芽の出そうなロックバンドを見つけて売り出し、それをベースに映画を作れば映画界で名を売れるぞ!というわけでTHE WHOのマネジメントを買って出、売り出します。
結局、フーの売り出しに大成功するのですが、フーで稼いだ金で設立したレコードレーベルのマネジメント、プロデュース業だけで映画制作には至らぬまま、ありがちな金銭トラブルでフーとは袂を分かち、インテリ・キットは薬と少年愛で身を持ち崩したまま他界。イケメン・クリスは後にフーと和解して現在に至るという波乱万丈とバンド内外の様々な揉め事と解決を、今も健在なイケメン・クリスのインタビューを中心に振り返ります。
いいとこのボンなのに死人が出たアマゾン探検隊にカメラ担当として参加するほどの根性で映画制作資金を稼ぐインテリ・キットは、金はないけど家の信用をカサに金を調達してバンドにサラリー制を導入、ギター破壊の修理費も捻出します。また、モッズを巻き込んだ売り出し方、聴衆をパトロンだと考えるようになるタウンゼントの作曲観への影響などキットがフーの偉業に寄与したところは大きいのですが、トミーが映画になるのは袂を分かった後。映画の製作総指揮にクリスの名はあってもキットのそれはありません。
そんなこんなの60年代英国文化産業のエネルギーと悲哀の悲喜こもごもを堪能できる作品なのですが、惜しむらくはわかりやすい構成にはなってない編集でいささかわかりづらいです。また、秘蔵映像もフーの演奏に限ってはあんまり出てこないのも惜しまれますが、キットがドイツのテレビ向けに語るドイツ語で語る文化論や、フランスのラジオでのフランス語で語る遅刻言い訳ジョークなどが聞けました。
New Order (新木場 sudio coast) 2016. 5. 30 (Mon.)
卓球DJで相当疲れたところでニューオーダー登場。2012年のサマソニは見てませんので、わたくし的には初めてのジリアンシンセ入りヒゲベース抜き。
新作のなかから不穏なベースとシンセのイントロがJoy Divisionっぽい「Singularity」でスタート。2曲目の1981年作品「Ceremony」で周囲がモッシュ状態に陥り死にそうになりました。20年ぶりぐらいの来日公演のときも2曲目の「Regret」で死にかけましたが、「Ceremony」は死ぬほどモッシュが盛り上がる楽曲ではありません。結局この1曲だけだったジリアンのギターをなかなか凝視できないでいたのですが、ほどなくモッシュは落ち着き九死に一生を得ました。
そんなふうに客が盛り上げますが、3曲目以降、何かのバランスが悪いのか新作中心の楽曲はイマイチ聴きづらく感じておりましたが、わざとだったのか? 中盤の「Bizarre Love Triangle」からシークエンスサウンドが大胆に導入され大音量で迫り来る名曲の数々を堪能させてもらいました。
ところでライブの見どころといえば、膝までストラップを伸ばして低すぎるベースで高い音を弾くヒゲのベースだったのですが、代わりの人もやや低めで高い音を弾くときだけ前方に出てきてそこそこカバーできてたように思います。
NO
songs
LP
25
1
Singularity
9th"Music:Complete"(2015)
2
Ceremony
single(1981)
3
Academic
9th"Music:Complete"(2015)
4
Crystal
7th"Get Ready"(2001)
5
586
2nd"Power, Corruption & Lies"(1983)
*1
6
Restless
9th"Music:Complete"(2015)
7
The Game
9th"Music:Complete"(2015)
8
Your Silent Face
2nd"Power, Corruption & Lies"(1983)
9
Tutti Frutti
9th"Music:Complete"(2015)
10
Bizarre Love Triangle
4th"Brotherhood"(1986)
11
Waiting for the Sirens' Call
8th"Waiting for the Sirens' Call"(2005)
12
Plastic
9th"Music:Complete"(2015)
13
The Perfect Kiss
3rd"Low-Life"(1985)
14
True Faith
single(1987)
15
Temptation
single(1982)
encore
e1
Atmosphere
(Joy Division cover 1980)
*2
e2
Love Will Tear Us Apart
(Joy Division cover 1980)
e3
Blue Monday
single(1983)
*3
*1) 25日は2曲目にRegret | 6th"Republic"(1993)で586なし
*2) 25日はなし。代わりにアンコール最終曲がSuperheated | 9th"Music:Complete"(2015)
*3) 25日はアンコール1曲目
New Order (新木場 sudio coast)
special guest DJ : 石野卓球 2016. 5. 28 (Sat.)
ニューオーダー29年ぶりの単独公演ということで入場料なんと1万円。大奮発して27日(金)の追加公演の方に行ってまいりました。
スペシャルゲストDJ石野卓球というのは知っていましたが、開演予定時刻直前に入場したところすでにDJパフォーマンスが始まっていました。前座の前座かと思いきや、目の前で約2名が踊り狂うDJブースのすぐ横を通り抜け、かきわけかきわけ客席最前列(付近)で陣取ったところで、どうやらすでに石野卓球がDJをしていたことに気づいたのでした。
よく知らない女声ボーカルのポップソングのリズムがブルーマンディのそれ、みたいなならではのおもしろいところもところどころありましたが、延々1時間、立錐の余地のない客席で卓球DJを楽しむ苦行を経て、ニューオーダー登場。(つづく)
水曜日のカンパネラ 2016. 5. 11 (Wed.)
報道しない自由を謳歌する記者クラブメディア各社でさえ、どーでもいいニュース中心のなかにパナマ文書報道を控えめにせざるをえないなか、徴税回避大金持ちの検索で忙しくなるはずが、すっかりカンパネラ研究に忙殺されてしまいました。
水曜日のカンパネラ2013年発表の楽曲「ヒカシュー」が「名無しの権兵衛」に改題されてのことです。
ヒカシューの巻上公一先生によりますと、「彼らの楽曲名を見渡してみると、有名な人物名などを意図的に使用し、誤認誘導させる企てのものがほとんどでした。」とのことであります。
35年ほど前のニューアカデミズム期、意味を解体する意味を持つ楽曲を多く生み出されつつ世に出た巻上公一先生の影響下にある楽団「いまわし部族」を主宰するわたくしも大いに共感するところでありまして、意味解体後の楽曲でも水曜日のカンパネラの歌詞と唱法が多少でも、せめて相対性理論ぐらいおもろければ許せる誤認誘導もなんともおもしろくなくさらにその思いを強くしたのでした。
他にも星一徹とかラモスやモスラなどが出てきますから、あまり売れるとまずいことになりそうです。
CHAOSMOSIS (PRIMAL SCREAM) 2016. 4. 29 (Fri.)
シークエンスサウンドに悪魔を憐れむパーカッション。そこにまぶさるワウギターとゴスペルな女声コーラスの冒頭1曲目。この曲自体はいいのですが、米南部臭、ストーンズ臭濃い楽曲が続くのかと思いきやこの1曲のみ。以降はロック系も織り交ぜつつ、テクノ色豊かな楽曲中心に展開されていくプライマルスクリームの新作。2,400円+税。
社会や人間の邪悪なところにも触れつつも、概ねジャケットデザイン同様力の抜けた歌詞と音作りでプライマル史上最も聴きやすい作品になったといえましょう。中盤にはアコギとチェロを主たる伴奏にプライマル的には珍しいメロディを聴かせる楽曲や、近年のニューオーダーがやってるようなポップチューンを伴奏にした楽曲などもまぎれこんでバラエティを豊かにしています。
今までになくメロディにこだわってる感がなきにしもあらずですが、あんまりそうは感じさせないところもギレスビーの魅力の一つだと思います。
ADORE LIFE (SAVAGES) 2016. 3. 31 (Thu.)
ニューウェーヴ期の音像を残しつつオルターナティブなギターがまぶさる伴奏に乗ってレズっぽい美人のお姉さんが詠唱するSAVAGESの2枚目は、直訳すると「生を崇拝する、熱愛する」なるエロースなタイトルで2,400円+税。
冒頭3曲は1枚目よりさらにエッジを効かせて迫り来るパンキッシュサウンドなのですが、4曲目「ADORE」で世界は一変。
大いに生を崇め奉られる歌なのですが曲調はタナトゥス。その後も1曲おきぐらいで難解な旋律やノイズとも言えなくもない無調な伴奏が入り交じるなかでの詠唱というスタイルで、エロスとタナトゥスが織りなす実存を抉り出さんとする意欲作とあいなりました。
おととし苗場プリンスホテルの駐車場でSAVAGESのみなさんとすれ違ったのですが、時間帯から察してビョークのステージに向かわれてたのだと思われます。なわけで、タナトゥス漂う難しい音像はビョーク的世界と相似するものといえましょう。
歌詞の中には性的なところがちらほら出てくるのですが、そこには「男」の影が。わたくしがSAVAGESを取り上げるたびに「レズっぽい」と言うがためのあてつけのような気がしないでもありません。
META(METAFIVE) 2016. 2. 29 (Mon.)
高橋ユキヒロとメタファイブでライブバンドとして昨年1年間を過ごした6人組がメタファイブとして一体化して世に問うスタジオ録音盤。とは言えパソコンで楽曲が作れるこの時代、6人のメンバーが2曲ずつ原型とフィニッシュに責任をもって仕上げられて全12曲2,800円+税。
たぶんイーノとハイドの共作盤みたいな滋味深い昼寝テクノができあがったのだろうと覚悟してましたが、予想を上回る会心作に仕上がってます。
のっけから小山田(コーネリアス)作の摩訶不思議な構成のテクノファンクで度肝を抜かれます。とてもライブではできなかろうと思わせといてスタジオライブのプロモーションビデオ。初めは機械をいじってた高橋ユキヒロがドラムソロから後は生ドラムを叩いてます。
2曲目は砂原(まりん)のシンセベースが弾んでうねるテクノシティポップ。1曲目ではLEO今井(キモノズ)の気合のこもった歌声だったのが、2曲目ではおなじみ高橋ユキヒロのひきずる歌声でバンドとしての幅の広さを見せつつも、ゴンドウ(ラッパの人)のラッパやたぶんテイトウワ(ディーライト)が入れてるんだろうSE、そしてコーネリアスのギターでバンドとしての一体感が醸し出されてます。
また高橋以上に今井が歌うことでベテランだらけのバンドとは思えないファーストアルバムとして今後に期待が高まるのですが、とくにコーネリアスの歌声をリクエストしたいと思います。
ホログラムを登る男(平沢進) 2016. 1. 30 (Sat.)
平沢進師匠の作品は高校の音楽の時間の自由発表で「子供たちどうも」と「ランドセル」のカバーをやらせてもらったぐらいでかれこれ35年のつきあいでしたが、タイ方面に向かわれた前世紀末ごろからはあまり新作を熱心には聴いてませんでした。去年のベスト盤で反省して迎えた最新作は久々の会心作で3,000円+税。
冒頭、久々の平沢マーチで壮大に始まります。3曲目に1曲だけタイに向かわれたころから増えてきた音圧浴にたたずみ静かに内省する楽曲が挟まりますが、その他これまでの来歴を一気に集約するよなヴァリエーション豊かなヒラサワ節の数々。語呂重視でストーリーのないSF映画を描写するかのような文語調詞は依然難解ですが、6曲目の「回路OFF 回路ON」では以下にご紹介するような初期P-MODELにあったパンキッシュな社会性を垣間見せてくださっています。
ジャンキーから神へのロープウェイは火だるまで
ジャンバラの峠はデリバティブ行き
ヒューマンの原理はファンドの不燃ゴミ
ヒューストンの快挙はクロマキーでOK
リスキーなゲームで地球は大惨事
レスキューのロープをバイトが引く
曲調も軽快パーカッションと短音シークェンスが忙しい90年ごろの解凍直後のP-MODELのようであります。
終盤9曲目に壮大で大袈裟なタイトル曲「クロマキーを登る男」でここまでの歌詞に複数回出てきた「ヒト」「幸い」といったテーマらしきものが一気に破壊される絶望を歌われたかと思うと最終10曲目「鉄切り歌(鉄山を登る男)」でバカコーラスによる労働歌で一見能天気な大団円を迎えます。我々がついつい格闘するそれぞれのクロマキーの虚実を師匠は暴こうとなさっているのではなかろうかと、神妙に受け止めさせていただきました。
電気グルーヴ、石野卓球とその周辺。
(電気グルーヴ×アイデア/誠文堂新光社)
2016. 1. 15 (Fri.)
久米某と雑誌アイデア編集部による電気グルーヴ関連ヴィジュアルグラフィック大図鑑。本体2,000円+税。2013年春の発刊でわりとすぐに購入したのですが、ちびちび楽しんでついに読了しました。
CDジャケットはもちろん、フライヤー、尻も出るアーチスト写真などの販促物、プロモビデオからのカット、発刊物表紙などヴィジュアルぎっしりの212ページ全ページ隠しノンブル。老眼では読めない関係者コメントが随所に散りばめられ、折と折の合間には変型紙の挟み込みという、採算を心配させる豪華な造りで満腹になりました。
ご本人も「この話はヤメにしましょう」と言う天久画伯の人生編集盤「Substance III」のジャケットデザインなどの失敗作、凡作も0.5%ぐらいは紛れ込んでいますが、その他すべて電気グルーヴをして超然たる孤高の存在たらしめるスタイリッシュで滋味豊かなアイデアとデザインのひっくり返ったおもちゃ箱。
中盤に24ページだけ光沢のない用紙に変わって新撮りの制作スタジオ写真が入るのですが、そこに写る機材からのみようやく音楽関係の仕事を生業にしてる人々だとわかるぐらい、旧来のミュージシャン像をぶち壊したところにも電気グルーヴの90年以降に価値を見出すこともできるでしょう。
2013年の発刊なので当然入っていませんが、昨日ご報告した映画がらみの編集盤ジャケットがあったとしたら無論0.5%の失敗作または凡作の部類に入るでしょうから、意思疎通がなかったかおまかせでできてしまったのでしょう。
DENKI GROOVE THE MOVIE?
-THE MUSIC SELECTION- 2016. 1. 14 (Thu.)
先月公開された映画にまつわる編集盤。税込2,700円。映画が1,800円でそのとき買ったパンフレットがたしか800円。今回のCDをあわせて5,300円もってかれたことになります。
映画で使われたライブや長めにかかった楽曲を中心に概ねLPから1曲ずつという選曲。それが冒頭とエンディングを除いて発表順に並べられています。
映画で再構築された電気ヒストリーを楽曲で振り返るつくりとなっていてベスト盤としてはいささか物足りないかもしれませんが、ライブ音源も程よく織り交ぜられつつ電気とともにあった90年以降の歴史を振り返る全15曲。
NO
songs
LP
1
25 Raw Beats (movie edit)
25 (2014)
2
Hello Mr.Monkey Magic Orchestra
(live@Fuji Rock Festival '14)
VOXXX (2000)
3
電気ビリビリ
662BPM BY DG (1990)
FLASH PAPA (1991)
4
Mud Ebis (Onimimix)
UFO (1991)
5
新幹線 (movie edit)
VITAMIN (1993)
6
虹 (live@Mayday mix)
DRAGON (1994)
7
ママケーキ
ORANGE (1996)
8
Shangri-La
A (1997)
9
Volcanic Drambeats
(live@Yakyu Disco 1987)
A (1997)
10
Flash Back Disco
(live@Fuji Rock Festival '14)
VOXXX (2000)
11
弾けないギターを弾くんだぜ
SINGLES and STRIKES (2004)
12
Twilight
(電気グルーヴ×スチャダラパー)
電気グルーヴとかスチャダラパー (2005)
13
少年ヤング (single)
J-POP (2008)
14
Shameful
人間と動物 (2013)
15
N.O.2016 (新録)
662BPM BY DG (1990)
VITAMIN (1993)
Sound and Vision 2016. 1. 13 (Wed.)
Scary Monstersの1曲目の「新聞は書き立てるさぁ」のところを和訳した三浦久先生に駿台京都校で英語を教えてもらってたときにボウイ来日時のエピソードなどを聞かせてもらえました。その一つに、ライブハウスの客席にボウイがいるにもかかわらずしれっと演奏していたP-MODELでしたが、楽屋に現れたとたん楽器にサインを求めたというものがありました。サインを求めたのが平沢進師だったかどうかは、そのへんには三浦先生は疎かったのでわからずじまいです。
それはともかく、12,3年前に作りかけて完成していない構想10年超の「電光blue」という仮称の自作の歌にSound and Visionから一節パクリ、もとい引用させていただいているのですが、ご本人に聴いていただく機会を完全に逃してしまいました。合掌