今を生きる思想 宇沢弘文
新たなる資本主義の道を求めて
（佐々木実/講談社現代新書）　　2023　10.　11　(Wed.)

講談社現代新書が最近バンバン出してるライト伝記から数理経済学の巨匠宇沢弘文のそれを買って読んでみました。全6章120ページで800円＋税。
経済人類学を祖とする競輪人類学的に経済学は古典派も近代経済学も新古典派総合も似たり寄ったり、それらをもって言及できるところは浅く狭いと考えるのですが、シカゴ学派由来の新自由主義が政策と結びつく現在においては切実な問題です。
心ある天才数学者ゆえ新古典派にあって新古典派を精緻化することで新古典派とくにシカゴ学派の宗旨を批判することとなりアメリカを去らざるをえなくなり、社会活動家のようになってノーベル賞をもらい損ねた不遇の天才は若いときから不遇でした。
訳あって朝日生命内勤職員組合の御用組合っぷりはその一端を存じ上げてるのですが、朝日生命で若き保険数理士だった宇沢翁は労使なれ合いの指摘から退職、経済学の道それも当初志していたマルクスではなく近経への道に進まれたのでした。
天才数学者ゆえすぐにスタンフォード大学に転じ、偉大な業績を成して悪の巣窟シカゴ大に移られます。ここでスティグリッツら後のマシな方のノーベル賞受賞者らを指導されるのですが、心があるゆえ同僚がケネディ政権に参画しベトナム戦争を拡大させるアメリカから去る。というところまでが前半。
後半、公害問題から社会的共通資本の発想へと、同じ根にあるシカゴ学派とはまったく逆の道を進まれ、わが師の師の師カールポランニーの経済人類学に近づかれていく様が描かれます。

スポーツの日　　2023　10.　10　(Tue.)

いつの間にか10月10日は体育の日でなくなってしまっていまして、9日（月）はスポーツの日でした。
が、こんな日にスポーツをやったらメンバーのほとんどが風邪を引いただろう晩秋並の低温でかつ本降りの雨降りでしたが、皆さんのお住まいの地域はいかがだったでしょうか。
10月10日は晴れの特異日というのにまったくもったいないことだと思います。

凱旋！岡本太郎（川崎市岡本太郎美術館）
　　2023　10.　8　(Sun.)

東京都美術館などで開催されてた「展覧会 岡本太郎」に貸し出されてた作品が返ってきたということで川崎市岡本太郎美術館では「凱旋！岡本太郎」と題しての蔵出し展示会が開催されました。
他では2千円近くした入場料が800円！
他との違いとしては最初期まだ岡本一平かの子夫妻の子だったパリ時代の比重が大きかったように感じました。
痛ましき腕に結実するシュルレアリスムとリボンをモチーフにした作品が多数展示されていました。





以降、(2) 戦後の前衛として
(3) 画壇のアヴァンギャルド
(4) 日本再発見−伝統と創造
(5) 今日の芸術
　　−建築・デザインとの協同
(6) 明日の神話と太陽の塔
(7) 眼の宇宙
(8) 見ることから描くことへ
と題されての8章構成。時代とともに活動領域を広げる岡本太郎の生きざまを振り返ります。
日本再発見のコーナーでは例によって縄文土器や沖縄民俗の写真が中心ではありましたが、日本庭園にも関心を向けてらっしゃっり、かつその本質を見抜いてられていたことがわかり、わたくしにとっての再発見でした。

古今東西をとわず、たとえどんな自然主義であろうとも、見るものの精神を打ち、とらえる創造的な作品には、かならず反自然的な技術が使われています。（中略）庭の諸要素のうち、もっとも自然にいどみ、積極的に反自然の気配をおびているのは石組でしょう。それらはたいていのばあい、いちおう自然らしくよそおうて配置されています。だが、そう見せながら、じつはきわめて人工的な再構成、統一であって、逆に自然にいどんでいるのです。（『日本の伝統』p206-207）

残暑　　2023　10.　7　(Sat.)

1999年でしたか2000年でしたか、11月ぐらいまで暑くて12月になると急に冬になった年がありました。
今年もそんな勢いでいくのかと思いきや、まだ10月も初めというのに急に晩秋ぐらいの気候になって腹具合が冴えなくなってしまいました。
ご自愛ください。
それにしてもセリーグはいわゆるレギュラーシーズン終了からポストシーズンまで間が空きすぎ。JERAが悪いと思います。

第1回オールガールズクラシック総括
　　2023　10.　5　(Thu.)

めでたく佐藤水菜選手（神奈川）の優勝で幕を閉じた第1回オールガールズクラシックでしたが、女子競輪ばかりの1日12レースはどうだったのでしょうか？
売上的には主催者の目標を超えたみたいで、3日で30億円強。ここんとこ記念(GIII)競輪が4日で50億いったりいかなかったりですから、その8割ぐらいにあたるでしょうか。
加瀬加奈子と中村由香里がしのぎを削ってたのがほんの10年前のことですからよくここまで育ったという感慨は禁じ得ないのですが、競輪の魅力においてライン戦の占める割合の大きさもまた感じざるを得ないのでした。
世界の中野さんマークから直線だけで何億も稼いだ鬼脚井上茂徳みたいに佐藤水菜マークから直線勝負ができるようなマーク追込み選手の出現を待ちたい気がします。